【無所可用】第22話 一日4往復~標津線の撮影に
おたくま経済新聞 / 2010年10月29日 16時8分
一日4往復~標津線の撮影に
毎度ピンポイントな話題すぎてついて来れない的なお話をおとどけしております不定期連載の「無所可用、安所困苦哉」。第22回目はふたたび「ローカル線の撮影」のお話。
国鉄末期、赤字ローカル線の廃止対象ということで、北海道では多くの路線が対象とされました。
北海道内では、天北線・興浜北線・興浜南線・名寄本線・羽幌線・深名線・湧網線・相生線・美幸線・渚滑線・歌志内線・万字線・白糠線・標津線・池北線・広尾線・士幌線・胆振線・富内線・岩内線・瀬棚線・松前線が対象となります。
このうち「代替交通機関がない」という理由で深名線が外されます。また、その距離の長さゆえ、通称「長大4線」として、天北線・名寄本線・池北線とともに標津線も廃止タイミングが先送りされました。
JRに継承されぎりぎり平成まで残った標津線は、道東という好きな場所であったこともあり、他のローカル線よりも多く訪れることが出来ました。
標津線は、2本の路線から成っていました。ひとつは釧網本線標茶を基点に、中標津を通って根室標津までの69.4キロ、根室本線厚床から別海を経て中標津までの47.5キロです。沿線人口は少なく、駅前に何もないというか道がようやくあるだけで人家が見当たらないなどということもままあり、「最果て」という言葉が似合う路線でした。また内陸部を走っていたため、北海道の茫漠とした景観も魅力でした。
何度か撮影に行ったものの、例によって運転本数の少なさが大きく立ちはだかりました。
標茶への路線は6往復ありましたが、厚床への路線は4往復しかなく、しかも釧路発根室行きの一番列車が厚床に到着する前に標津線の一番列車が出てしまうため、撮影チャンスは1回きりでした。しかし厚床~中標津間の景観はすばらしく、景観を楽しむのも目的に加える感じで、廃止を控えた標津線をめざしました。
標津線までのルートは、毎度おなじみ千歳空港への最終便~急行まりも~根室行き快速ノサップ、です。
7時半、厚床に到着しました。しかし残念ながら天候は曇。空一面の雲でした。
標津線の客となり、別海に着きました。
別海駅には駅員さんがいて、売店もありました。一日上下8本の中間駅としてはぜいたくなつくりでしたが、別海町の中心であるようで、駅前にはスーパー他の商店がありました。パンとクリームチーズ、飲み物を仕入れ、次の列車までの3時間、うろうろと歩きます。、少し歩いたところには町役場がありました。用は無いのですがなんとなく入ってみたところ、郷土資料館があり、かつてあった町営軌道の車輌も保存されているとのこと。近いところなので早速行って見ると、建物の前に機関車と牛乳鑵を運ぶ貨車、そして「自走客車」と呼ばれた気動車が保存されていました。
館内を見学していたら、館長さんにつかまってしまいました。お茶をいただいて30分くらいお話をしました。
いよいよ…といってもまだ1時間半くらいあるのですが・・・撮影に向かいます。地図を見ながら移動しますが、標津線は牧草地の中を通っています。起伏のある地形ではありますが、高い場所はなく、目印も無いのでどこを線路が通っているのやらどうもピンと来ません。また中途半端に起伏があるので、列車が写るのかも微妙です。しかも列車と書いたものの1輌ですので、隠れてしまっては意味がありません。
うろうろしましたが、場所が決まりません。さらに雨でこそないものの雲は重く、露出が厳しくなっています。
駅からだいぶ離れたのですが、思うような場所が見つからないまま、列車の時間まで30分くらいになってしまいました。標津線の広々とした景観を表現できるような場所を見つけられないまま、妥協点的な場所で三脚を立てました。
残念な写真になってしまいましたが、再度の訪問は叶わぬまま、標津線は廃止されました。
標茶側の撮影にも赴いていますが、その写真はまた今度。
■ライター紹介
【エドガー】
鉄道、萩尾望都作品、ポール・スミス、爬虫類から長門有希と興味あるものはどこまでも探求し、脳みその無駄遣いを楽しむ一市民。そのやたら数だけは豊富な脳みその無駄遣いの成果をご披露させていただきます。
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