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【新作アニメ捜査網】第二回 はなまる幼稚園

おたくま経済新聞 / 2010年2月1日 15時35分

【新作アニメ捜査網】第二回 はなまる幼稚園

新作アニメ捜査網

新作アニメ捜査網皆さん、こんにちは。コートクです。2010年1月に始まったテレビアニメも1箇月を過ぎ、皆さんも「お気に入りの番組はこれだ!」というものをお持ちのことと思います。今回、本コラムでは、テレビ東京系列で放送中のテレビアニメ『はなまる幼稚園』を取り上げようと思います。この番組は、幼稚園を舞台にして、新米の男性教諭・土田先生(声・日野聡)と園児達のほのぼのとした交流を描いた作品です。本作は、世代によって異なる見方ができるのではないかと思います。

1つ目は、子供向けアニメとしての視点です。本作は地上波では深夜に放送されていますが、AT-Xでは土曜の朝と平日昼にも放送されており、時間帯としては子供も観られる番組となっています。園児側のストーリーの中心となっている杏(声・真堂圭)は、友達と戯れ、担任の土田先生を「つっちー」と呼んで親しみ、楽しく過ごしています。最新の第4話では、他のクラスの担任である山本先生(声・葉月絵理乃)のお手伝いをし、「今日は杏ちゃんが手伝ってくれて助かりました。ありがとう」とねぎらわれることで、大きな喜びと充実感を得ていました。『はなまる幼稚園』で描かれている日常には、園児達の幸福な姿があったのです。
 もう1つ、若者の視点で見ると、新米教諭の奮闘を描いたストーリーとして見ることもできます。教諭側のストーリーの中心となっている土田先生は、第1話で保護者の前で大恥をかいてしまったりしていますが、保護者は「悪い人じゃなさそう」と応じ、園長先生(声・青山桐子)も土田先生のことを良い方向に導いていこうとするのでした。園児達が幸福であるように、土田先生もまた幸福であり、周囲の温かい眼差しに囲まれつつ、幼稚園教諭としての成長を誓うのでした。慈愛に満ちた番組の語り口は、深夜アニメを観る世代であろう現実世界の若者達への応援歌とも言えるものです。
 この他、本作の見どころとしては、毎回毎回趣向を凝らした週替わりのエンディングが挙げられます。第2話では痛快な宇宙SF活劇(1968年の映画『2001年宇宙の旅』のパロディもやっていましたね)、第3話では落ち着いた自然の風景が繰り広げられました。エンディングからも目が離せません。
 最後に1つ指摘しておくと、本作は登場人物が全員心優しき人々であり、土田先生や杏が苦難に見舞われることもありません。視聴者に安らぎを与えるファンタジーとして徹底されていると言えるでしょう。ここで比較対象として挙げられるのが、2007年に独立UHF局で放送されたアニメ『こどものじかん』です(よく似た題名の『こどもの時間』は全く別の作品)。『こどものじかん』は、小学校を舞台とし、本作と同様に教師と生徒の交流を描きながらも、同時に教育現場に潜む深刻な問題をも直視していました。現実の暗い面を避けて視聴者に一時の夢を見させる『はなまる幼稚園』と、現代の教育現場における教師・生徒・保護者の苦悩ぶりを描き、その原因と解決方針を探る教育評論番組とも言うべき『こどものじかん』を見比べると、より興味深い視点が得られるのではないでしょうか。

●関連URL
▼すたちゃまにあ「はなまる幼稚園」ページ
http://www.starchild.co.jp/special/hanamaru/

■ライター紹介
【コートク】
戦前の映画から現在のアニメまで喰いつく、映像雑食性の一般市民です。

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By おたくま経済新聞編集部 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2010020101.html

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