性の文化遺産「回転ベッド」の中でも珍しい せり上がる回転ベッド取材してみた
おたくま経済新聞 / 2017年6月30日 22時0分
回転ベッド
ホテルと言いつつ「ラブ」がつく、一部ではモーテルとも呼称される恋人たちの秘密の隠れ家「ラブホテル」。
現在あるラブホテルの形態は日本独自に発展した文化とされ、最近ではそれをまね海外でも一部似たようなホテルが展開されています。外観は普通のホテルなものの、内装は高級リゾート地をイメージしたものだったり、格安を売りにしているものであれば簡素なビジネスホテル風のものだったりすることもあります。
しかし一昔前にはさらに独自の文化があり、そこで生み出されたラブホテル文化の最たる発明はなんと言っても「回転ベッド」。
どういうわけか回転するベッドが大流行したのです。ボタンを押すとゆっくり回転するベッド。周りには必ず鏡が巡らしてあります。恐らくですが、行為中にゆっくり回転させることで視覚的に興奮をあおるアイテムとして使われていたようです。
以前別取材で聞いたラブホテル業界関係者の話によると1960年代頃に誕生し、1985年に風営法が改正されるまで日本各地のラブホテルに設置されたと言います。風営法改正以降は新規設置が難しくなり、ひいてはその数を徐々に減らしている最中なのだとか。
現在も現役稼働している回転ベッドは各地に多数ありますが、中でも珍種とされる回転ベッドが存在しています。
それは単に回るだけではなく、1階と2階を上下移動できる回転ベッド。現在では通常の回転ベッドよりもさらに貴重となり、現役で稼働しているのは世界でもごくわずかなのだとか。そのためある意味「幻の回転ベッド」であり「性の文化遺産」とでも言うべき存在。
その一つが佐賀県唐津市に存在しています。あるのは『ホテル・エレガンス』。場所はからつ競艇場の直ぐ近く、そしてJR東唐津駅からだと2キロちょっとの距離。
今や性の文化遺産とも言うべき存在。それはぜひ記録にも記憶にも残しておきたいということで、ホテル・エレガンスさんに頼み込み取材に行って参りました。
■らせん階段もある2階建て形式の室内
事前に相談して、女性二人で訪れた平日の某日。この日はあいにくの空模様でちょっと肌寒い曇り空でした。
そして目指すお部屋は126号室。部屋専用の駐車場があるホテルのため、部屋番号のついたガレージに車を入れてシャッターを下ろしたら、「この部屋は利用中ですよ」の合図になるのだそう。駐車場の脇には階段があってそのままお部屋に向かいました。
今回はホテルのフロントスタッフさん同行での取材。中に入ると電気のスイッチもどんどん入れてくださいます。
まず目に飛び込んできたのが、入り口入って直ぐに現れた白いらせん階段!室内は1階・2階に別れており2階に上がるためのものです。乙女時代、らせん階段に憧れた女子にとっては、テンションを高めてくれる設備ではないでしょうか。
そして視線を左に向けると、ベッドがありました。周囲に手すりがついてるベッド……。安全対策でしょうか?
■スタッフさんレクチャーのもと回転させてみた
スタッフさんが回転や上下の仕方を教えてくれたので、まずは回転しているところを2階から撮影させていただきました。するとスタッフさんから、「昔私たちが若い頃は回転ベッドが主流だったのよ」と教えてくれたのです。
筆者と、もう一人も回転ベッドは初体験。「昔は主流だったんだー」と思わず感慨深く眺めてしまいました。
回転は左右どちらでも大丈夫。試しにのってみましたが、目が回るとかそういった感覚もありません。むしろなんだかソワソワして落ち着かない感じの方が。そしていよいよベッドの上下運動開始ということで枕元にあるボタンを押してみました。
エアーで上下しているので、回転の静かなモーター音と共にせり上がって行くベッド。回転なしの上昇だけも出来ますが、この場合30秒ほどで上がり切ってしまいます。でも回転をかけると1分半。
2階も作りはロマンチック。ベッドを降りれば目の前にステンドグラス風の窓と可愛い照明。ベッド周囲も真っ白い柵に囲まれていて女の子の夢をかなえてくれそうなお部屋でした。
ちなみにこちらのホテル、90分2100円、8時間まででも3000円という料金。結構手頃なお値段でした。最後に今回案内してくださったスタッフさんに挨拶をし、お部屋を後にしようとして、入り口にある精算機に気が付きました。「昔は筒に入れてスポンとフロントに飛んでましたよね」と聞いてしまうとスタッフさんから「貴女その世代ね、その前は部屋の隅にある小窓からやり取りしていたのよ」と教えていただきました。ラブホテルって進化してる!
<取材協力>
ホテル・エレガンス(佐賀県唐津市原1222)
(天汐香弓 / 編集・おたくま経済新聞編集部 / 画像・PinkMagazine編集部撮影)
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