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オストメイトに理解を 「多目的トイレ」を利用し非難されたケースも

おたくま経済新聞 / 2017年7月7日 10時4分

オストメイトに理解を 「多目的トイレ」を利用し非難されたケースも

多目的トイレのマーク

ショッピングモールや大きな駅、高速のサービスエリアのトイレなどで見かける「多目的トイレ(だれでもトイレ)」。

高齢者や狭い個室が使いにくい妊婦、オムツをつけた子ども連れが主に使うイメージが大きいかとおもいます。実際、だれでもトイレに付いているマークに杖を付いている人、赤ちゃんのオムツ替え、妊婦の絵などがあります。

しかし、その「多目的トイレ」の表示の中におなかに十字マークの絵が付いていたり、中に水道の付いた深い流しのような設備が付いているのを知っている人はどのくらいいるのでしょうか。
この設備は「オストメイト」と呼ばれる方々の為のものです。

■「オストメイト」とは

怪我や病気で排泄機能に障害が発生してしまい、おなかに人工的に排泄口(ストーマ)を造っている人の事を指します。健康な人は排泄を括約筋でコントロールする事が出来ますが、ストーマを作ってしまうと自分で排泄のコントロールが出来なくなるため排泄物を溜める袋を体につけなければなりません。

オストメイト用の設備があるトイレはまだまだ貴重で、ストーマを造っている人が外出するときは必ず事前に調べてから外出されている方が殆どです。一般のトイレではストーマからの排泄物の処理が非常に困難である為です。

■ストーマに関する社会の理解度

ストーマに関する社会の理解度については「全体でもまたストーマ種別や男女別で 見ても、総じて理解されていないと感じているオストメイトが圧倒的に多い」(第7回オストメイト生活実態基本調査報告書・平成23年3月より)とあるとおり、まだ一般にはきちんと理解されていません。

設備の増加とともにその認知度は徐々に広がりつつありますが、筆者が看護師として勤務するなかで、オストメイト当事者の話からまだ認知度が低いと知らされることがしばしばあります。

排泄機能の問題はオストメイト当事者たちにとって非常に言いにくい、あまり知られたいと思えない問題であり、当事者たちがなかなか声を上げにくいのが現状です。

■認知度が低いがゆえか…ストーマ処理の流しで洗髪する人も

また、認知度・理解度の低さゆえか、「多目的トイレ」内にあるストーマ処理用の流しで顔や頭を洗ったりする人もいたという報告もあります。

第7回オストメイト生活実態基本調査報告書によると、『今までにオストメイトのことが正しく理解さ れていないために困ったことはありましたか。』という質問をオストメイトの人達に行ったところ、ストーマ種別や性別に拘らず、30%前後の人達が『あった』と回答しているそうです。

『(困ったことが)あった』と答えた方に、『それはどのような場面で経験し ましたか。』と尋ねた結果、外出先で経験したとの答えが全体の63.4%という結果も出ています。

実際に若い世代のオストメイトの方が多目的トイレを使用した後に、他の人から非難の声を浴びせられたという話もあります。オストメイトの人達は一見すると他とかわりありません。そのため、多目的トイレを出てきた時に誤解して「普通のトイレを使え」と言われたようですが、「使わなければならない理由がある」にもかかわらず、いちいち他人の目を気にしなければならないというのは酷としか言いようがありません。

排泄の問題は先述したように、当事者たちが非常に言いにくいセンシティブな問題です。そして、大腸やぼうこうにガンが発生するのは誰でも起こりうる事でありその為にオストメイトになる事も誰でもありえます。先天性疾患で子どもの頃からオストメイトという方もいます。

事故や病気でこういう事も起こりえるのであれば、私たち一人ひとりが当事者意識を持って理解していく事が必要なのではと思います。

<参考>
日本オストミー協会
NPO法人チェック

(看護師ライター 梓川みいな / 画像・写真ACより)

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