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乾杯するときグラスをカチーンとしていい場合ダメな場合

おたくま経済新聞 / 2017年8月10日 20時0分

乾杯するときグラスをカチーンとしていい場合ダメな場合

ビールで乾杯

キンキンに冷えたビールのジョッキを勢い良くぶつけ合って乾杯するのって気持ち良いですよね! それだけで何だか親交が深まる気がしますし、あのぶつかり合う音は爽快です。
でも、中にはカチーンとしちゃダメな場合もあるんです。
今回はそんな乾杯でのマナーや、グラスに関しての逸話についてちょっとご紹介したいと思います。

■勢い良く乾杯するのは毒が入っていないか確かめるため

中世のドイツでは、勢い良く乾杯することは相手のビールが自分のジョッキに入り、それを飲んで「毒を入れていない」ことを表明し確かめ合うためのものでした。
ドイツでは乾杯後、一度テーブルの上にグラスを置くという風習もあります。これには多くの説がありますが、毒を盛るような険悪な仲の一族同士の団欒でイヤイヤ乾杯する気持ちを一呼吸置いて切り替えるため、という理由も起源の一つとして伝承されてきました。

■乾杯の音は魔除けの音

そして、乾杯の音そのものは欧米では魔除けの効果があるとして、結婚式など縁起の良い集まりで盛大に行われています。
特に結婚式ではシャンパンのグラスをカチーンとぶつけ合って新郎新婦のために魔除けをしつつ、2人の幸せを祝うという風習があります。

イタリアでは乾杯の際ではありませんが、結婚式で新郎新婦が花瓶やグラスを割る風習があるんですよ。これは割れた破片の数が、幸せな結婚生活の年数を表すというもので、粉々に割れたほうが良いようです。
また同じくイタリアでは、ウェイターがグラスを割ると客が拍手喝采するという文化があります。これはミスをしたウェイターを励ますためのもので、拍手で悪運を吹き飛ばすという意味合いがあるそうです。
ワインをこぼした場合も「ポルタフォルトゥーナ」(幸運がやってくるよ)と言い合いって頬や手などにワインを付け合う風習があることから、お酒を飲む楽しいシーンでは皆が一緒に楽しく盛り上がろうという気持ちから生まれた文化が根強く残っているようです。イタリア、本当に素敵ですね。

■あれ……でもワイングラスってぶつけちゃダメじゃ?

でもワイングラスって、口唇に心地よく触れて美味しくワインを飲ませるために薄いガラスでつくられているからぶつけちゃダメなんじゃ? と思った人は多いと思います。

実は、ワイングラス製造販売の老舗・リーデル社を運営するリーデル家10代目当主マキシミリアン・リーデルは、ワインは色や香り、味わいだけでなく【音も含めて】五感で楽しんでほしいと語っていることから、必ずしもワイングラスをぶつけ合って乾杯することがNGではないようですよ。

しかし、ワイングラスをカチーンとする場合は口に当たる部分を避けて、丸い腹のボディ部分をそっとぶつけ合うことがグラスを傷つけないコツだそうですよ。

同様に薄いカクテルグラスも、乾杯の際にはぶつけ合わないようにするのがマナー。
たしかにカチーンとしたほうが盛り上がりますし、その相手とさらに仲良くなったような気分になれます。
しかし、そこでグラスが割れてしまったら楽しい雰囲気も台無し。イタリアの風習のように拍手をしてくれるような風習は日本にはありませんし、お店にも迷惑がかかってしまいます。
乾杯の際には、目を合わせ、脚の部分を持って軽く持ち上げるだけでOKです。

■ビジネスシーンでは難しい問題

ただし、ビジネスシーンでは非常に難しい問題なんです。日本はビールを飲むことが多く、勢い良くジョッキやグラス、コップをぶつけ合う文化が根付いています。
そして、高齢になるほどグラスをぶつけ合いたい人が多いため、グラスが薄かろうが関係なくカチーンとしてくる上司などに困惑する人も。しかし、いまだに上司に意見することが禁忌である職場なんてザラにあるため、訂正させること難しいのです。

相手が上司でなくても、せっかくの雰囲気で乾杯するとなったときに「いや、このグラスではカチーンとしちゃダメですよ」なんて言いづらいはず。

このような場合は例外として薄いグラスでも軽くぶつけ合って乾杯し、雰囲気を壊さないことがマナーなのかもしれませんね。
ただし、くれぐれもグラスを割らないように気をつけてくださいね!

<参考>
リーデル・ジャパン社公式サイト
ドイツビール
シャンパン
イタリア風習
TBS『世界の日本人妻は見た!』2017年2月7日放送

(貴崎ダリア)

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