自分の体を知る事で防ぐ事が出来る病気は色々あるのです ~婦人科編~
おたくま経済新聞 / 2017年9月22日 10時34分
深谷朋昭さん(@FukayaTomoaki)より。
「多い日も安心」のキャッチコピーが生理用品の事を指すようになって随分月日は経ち、もうすっかりと定着していますがあんまり量が多いのも病気のサインだったりするのです。でも、生理の血の量がどれくらいまでなら普通なのかとか、どういう状態が普通ではないのかなど意外と知られていない事も多くて、気がついた時には子宮の病気が進んでいた……という話が女性ツイッターユーザーの間で広がりを見せています。
きっかけとなったのが、中医学の明寿漢方堂の深谷朋昭さん(@FukayaTomoaki)のツイートとそこに添えられた漫画形式の説明。
「月経計測チャレンジ」と題して、生理時の経血量を計ってみましょうというもの。使用前と使用後の紙ナプキンを用意し、取り替えるごとにはかりに乗せて重さを計測していきます。使用済みのナプキンから未使用の分の重さを引いて計測、生理が始まってから終わるまでのトータルの出血量を確認します。
正常範囲内であれば生理中全体の総量は大体20~140cc、という事です。普通サイズの紙ナプキンが1時間で交換しないと間に合わないくらいの出血であるかどうか、もひとつの目安となるそう。
他にも、
・親指大以上の塊が出る
・あきらかに臭う
・色がおかしい(明るすぎたり黒すぎたり)
というのも目安の一つと紹介しています。
そして、「人と比べられないからこそ自己観察が大切!!心配な方は専門機関へ」と締めくくっていました。
月経過多チェック~あなたの生理は多すぎる?~
1回の月経で排出される経血総量は20~140CC
それ以上出る事が数回続く場合
月経過多による消耗や貧血などが心配です
多い日用ばかり使う、1時間ごとに交換する人は
ぜひ一度計測してみてください!#過多月経 #生理 #月経 pic.twitter.com/mhRjZGQWJa
— 深谷朋昭 中医学の明寿漢方堂 (@FukayaTomoaki) 2017年9月19日
このツイートを受け、生理とそれにまつわる婦人科系の病気の反応が続々と。経血量の多さから子宮内膜症が発覚して治療を開始したとか、子宮筋腫が分かって手術になったとか、酷い生理痛もあって婦人科に行ったら大きな嚢腫ができていて手術になったとかたくさんの反応が寄せられています。
なかでも反響が大きかったのが、 佐月さん(@floater819)のツイート。
「子宮体がんで全摘した私ですが、1時間で75ccレベルの出血良くあったし、生理中じゃないのにいきなり手のひらサイズの塊出たこともあったし、明るすぎるのも暗すぎるのも見たことありました。病院に行くの怖くてただの生理不順と自分に言い聞かせた結果全摘。後悔してます。」
と、深谷さんの先のツイートを引用してご自身の体験を語っています。
子宮体がんで全摘した私ですが、1時間で75ccレベルの出血良くあったし、生理中じゃないのにいきなり手のひらサイズの塊出たこともあったし、明るすぎるのも暗すぎるのも見たことありました。病院に行くの怖くてただの生理不順と自分に言い聞かせた結果全摘。後悔してます。 https://t.co/r9hVhqryxY
— 佐月 (@floater819) 2017年9月19日
子宮体がんとは……放って置くとがんが転移してしまう為子宮丸ごと取らざるを得ないので、かなりショックも大きかった事と思います。
子宮のがんは子宮の入り口付近に出来る「子宮頸がん」と、子宮の内膜部にできる「子宮体がん」に分けられますが、このうち不正出血や経血量の異常な多さは子宮体がんにみられます。ちなみに、子宮頸がんの発症ピークは30~40歳代、20代での発症も少なからず見られています。
佐月さんが患ったという子宮体がんの発症ピークは50歳代で閉経前後の出産経験のない人などが特に多いようです。年齢が若い人でも充分なり得るのですが、がん化する前の段階として「子宮内膜増殖症」という状態があります。子宮の内膜の異常増殖でがん細胞化している場合も20~30%の割合で見られるようですが、これは子宮内膜異型増殖症と呼ばれ注意する必要があるそうです。
細胞の異常がなければ妊娠出産も普通に可能という事ですので、適切な治療を早めに受けることが大事です。
子宮体がんも子宮内膜増殖症も、生理時以外の出血が見られる(不正出血)や、経血量が普通よりも多い、出血の多さによる強い貧血やそれに伴う息切れ・動悸・だるさなどが見られます。
一方、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が主な原因となり、初期には症状が出ないことも多いのがくせものです。
不正出血に至るまで症状が進んでいると、がんとしてはかなり進んでいるという事になり治療も困難となってしまいます。性交時の出血や下腹部痛が主な症状で、セックスを介してHPVは感染します。
最近はセックスの低年齢化が進んできているため、HPVに感染する年齢も下がってきています。20歳代での子宮頸がん発症も珍しくなくなってきました。この為HPVワクチンの接種を小学6年生から定期接種として適用していましたが、マウスによる実験の結果(いわゆる池田班研究結果)が大きく報道されてしまったがためにワクチンの接種を見合わせるという事態になっています。
しかし、最新の研究結果によると、HPVワクチンの接種後に生じた神経症状を始めとする多様な症状はHPVワクチンによって必ず起こるものではない、と報告されています。
WHOは日本に対しHPVワクチンの接種の再開を勧告しており、諸外国の動きを見ても広く接種されワクチンに対する問題性も少ないとしており、HPVによる子宮頸がんはワクチン接種によって減らす事ができているという研究結果が報告されています。(HPVワクチンに関する 最近の動向 – 日本産婦人科医会参照)
副作用は気にはなるところですが、これはどんな薬でもワクチンでも起こりうる事であると念頭に置いておけば、ワクチン接種の有用性を否定できないかと思います。
ツイートの内容から少しそれてしまいましたが、がんに対する最大の防御は検診による早期発見早期治療、ウイルスで起こるものに対してはワクチンで予防。これに尽きると思います。
この記事が少しでも多くの人の心に留まってくれると嬉しく思います。みなさん、ちょっとでもあれ?って思う事があれば遠慮なく病院へ行きましょう!まずは自分の体をよく観察してみてくださいね。
<記事化協力>
中医学の明寿漢方堂の 深谷朋昭さん (@FukayaTomoaki )
佐月さん(@floater819)
<参考サイト>
MEDLEY
HPVワクチンに関する 最近の動向 – 日本産婦人科医会
(看護師ライター・梓川みいな)
外部リンク
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