看護師がみた患者さんとドラクエのお話にホロリ
おたくま経済新聞 / 2017年10月5日 7時0分
![看護師がみた患者さんとドラクエのお話にホロリ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/otakuma/otakuma_20171005_02_0-small.jpg)
ゆつきさん(@momoirocanzume2)より。
入院療養を経験した事がある人は結構いるかと思います。筆者も2回の出産以外に入院した事が2回あります(いずれも命に別状がない短期間の入院でしたが)。そしてその入院している人を看護していた看護師でもあります。病棟では小さな出来事から大きな出来事まで様々なドラマが日々展開されています。
病棟看護師のゆつきさん(@momoirocanzume2)は、病棟勤務の傍ら漫画家のご主人のお手伝いや病棟での出来事を漫画にしてツイッターに投稿されています。病棟で遭遇した不思議な出来事などを漫画にまとめていらっしゃいますが、最近投稿されたある患者さんの事が大変反響を呼んでいます。
最近、病院であった特に不思議ではない出来事 pic.twitter.com/XFTmIp4GXV
— ゆつき (@momoirocanzume2) 2017年10月2日
「ゆうしゃ としき の ぼうけん I」と題された漫画に綴られているある病棟での会話です。
3種類目の抗がん剤治療のため入院されているTさん(84歳)はタブレットを使いこなしてドラクエの情報収集にいそしんでいました。
そんなある日の検温時に交わされた会話。
ナース「ドラクエお好きなんですか?もうすぐ新作出ますよね。」
Tさん「ああ、次はオンラインじゃないらしい。期待しているよ。だけど来年の夏か……」「ドラクエは発売延期が定番だろ……。それまでもつかな。VIIやIXみたいに年単位で延期されたら……」
余命がドラクエをプレイできるまで持つかどうか、Tさんは心配なご様子。
心の中で「スクエニがんばれ ……超がんばれ!」と思うナース。
めっちゃよく分かります。
そして続く物語「ゆうしゃ としき の ぼうけんII」ではその後日談が。
2017年7月29日。ドラクエXIが発売。新作ゲームコーナーに並ぶドラクエを見ながら「TさんもドラクエXI買えたかな」と何となく思っていたナース。
その数日後……
ナースステーションを訪ねる一人の患者さんの姿が。車椅子に乗って後ろを押してもらいながら、酸素のチューブを鼻に装着してゲーム機をてにしている、Tさん。そのゲーム機に表示されているのはドラクエXI!かなりやつれてしまっているTさんですが、
「……これ」「始めたからには、クリアしないとな!」
生きる希望をゲームに込めたTさんの姿に思わず感動するナース。「今回のドラクエは長編だといいなと思いました」と漫画の中で語っています。
Tさんが無事エンディングを見ることができたらいいなぁ、と筆者も心から思いました。
すこしでも長く、すこしでも多く生きる心の支えに……。
多くの共感がこの漫画に寄せられました。
「漫画拝見して、この仕事(ゲーム開発)に就こうと思った切っ掛けを 思い出しました」という方、「たとえ不治の病であっても、何かしら日々に楽しいことを見つけるひとたちに感動しました。そして、わたしもこうありたいと思いました」という方、素敵なお話、ジーンときた、泣けたという声の数々。筆者も執筆中に涙ぐんでしまっています。
何でって、昔出会った患者さんたちの事を色々と思い出してしまったから……。もうこの世を去ってしまった人、無事に退院して外来で再会し、元気になった喜びを分かち合った人、辛い症状にどう向き合っていけばいいんだろうと一緒に悩んで試行錯誤したあの患者さん、若くして肺がんで小さい子どもと永遠の別れになってしまったあの人、色々な思いが一気に去来しています。
そして、思ったのが「やっぱり看護の仕事っていいな」。
いろんな患者さんの人生に触れる事ができる、思いに触れる事ができる、家族の次に近い存在にいる事ができるかもしれない看護のお仕事。命をダイレクトに扱うお仕事だし体力仕事だし大変な事も多い仕事ですが、こういう魅力があるからやれるお仕事だなぁと改めて思いました。
そして、いろんな人の心の支えになるゲームの製作のお仕事も改めてステキだな、って思ったのでした。
<記事化協力>
ゆつきさん(@momoirocanzume2)
(看護師ライター・梓川みいな)
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