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いじめ問題に対してある教師がとった対応に称賛の声 そして生徒の指導に悩む先生たち

おたくま経済新聞 / 2017年11月14日 15時48分

いじめ問題に対してある教師がとった対応に称賛の声 そして生徒の指導に悩む先生たち

ぽにょさん(@qMhr1ErWKH8FVnK)より。

 いつの時代も、狭いコミュニティで起こるいじめの問題はなくなりません。若いうちから狭いコミュニティしか知らないと、その世界が自分の居場所の全てに感じてしまい、そこで起こるトラブルを苦に自殺する人も後を絶ちません。

 そんな中、ある学校で起こったいじめ問題に対して、生徒指導部長をつとめる先生がとった指導方法が素晴らしいとツイッターで称賛をあびています。

 中高一貫私学の教師であるぽにょさん(@qMhr1ErWKH8FVnK)のツイート。

「前任校でイジメが起きた時の生徒指導部長の台詞は未だ覚えている。イジメられた子に対し『本当に辛かったね。君は悪くない。堂々と学校で勉強するんだ。何かあったら私たちにすぐ言いなさい。学校が全力で君を守る。』と言った。彼は教室に登校。そして加害者たちを別室登校指導にした。」

というこの内容に、 3万8千以上のリツイートと6万以上のいいねが付けられ、リプライも様々な反応で溢れています。

 中には自分や我が子に起こったいじめ問題について語られる人も。多かったのが、「いじめられる側にも問題がある」という教師の発言や、被害にあった人を守らず加害者側をかばう様な教師の言動、一人の教師ではどうにもできず組織で事なかれ主義的にいじめを排除しようとする学校の体質など、学校という組織や子供に対する教師の無理解などが要因と思える事柄がたくさん寄せられています。

 幸い、このツイートの加害者生徒は別室登校が長くなったものの、先生方が一丸となって指導を続けた結果何が良くないのかをきちんと理解する事が出来、笑顔で卒業する事ができたそうです。一番メインとなっていじめを主導した加害者への指導はかなり困難だったようですが、それでも最終的に笑顔で卒業する事が出来たのは学校という単位で問題に向き合う姿勢が構築されていたからだと思います。また、一人の教師が必死にいいクラスを作ろうとしても、学校の先生全体のモチベーションが「一人ひとりの子供を理解し支える」方向に向いていないと難しいものであるとも感じさせられました。

 このツイートをされたぽにょさんに話をうかがいました。この先生の発言と加害生徒への対応、ぽにょさんが先生になった頃の学校での出来事でもう11年も前のことだといいます。しかし、未だこうした学校内のトラブルで辛い思いをしている人が多くいるという事は11年の歳月の間に多くは何も変わっていない、と言えるかと思います。

 いじめは肉体的にも精神的にも相手にダメージをもたらす、傷害行為であると言えます。そしてその傷害行為によって他の子供と同じように生活ができなくなり、のちの人生にも大きく影響を与える事となる人が多くいます。実は、筆者の長女もいじめを受けた事がきっかけとなり不登校へ、通常クラスでの学校生活も困難となり情緒支援クラスのある学校へ転入となり何とか小学校は卒業できたものの、中学校入学しばらくしてから適応する事が困難となり紆余曲折を経て現在は児童青年精神科の病院へ入院を余儀なくされています。小学校の先生方は頑張って守ってくれようと努力して下さいました。しかし、一度傷つけられた精神は体の擦り傷とは違ってそうそう治るものではないのです。強いストレスは脳の神経に大きく損傷を与えるという臨床研究もあり、いじめが起こる前に対処しないとこうした犠牲者が減らないのです。

 ぽにょさんが教師として見てきた中でも、やはり心に深い傷を負った子どもは適応障害を起こしたり、環境を変えて通信制の高校に進学してもなかなか上手くいかず、入退院を繰り返している子がいるという事です。

 そしていじめを起こす側に共通しているのが、何らかの心の問題を抱えているという事。ぽにょさんも「毎日がつまらない。面白くない。とか、親が厳しく親の前では自分が出せない子、など、そういうストレスを抱えている子が多いように思います。」と仰っていますが自分を理解してもらえない、自分をうまく表現できないストレスの捌け口としていじめという形になって現れてくるようです。

 親子関係に起因する事が大多数であり、保護者が子供を第三者目線で見る事が出来ていない場合、子供の話を正面から受け止めていない場合、子供は「親が自分のことを分かってくれない」と感じる事が多いように思います。努力を肯定してもらえない、出した結果を正当に評価してくれない、など不満に思う事は色々あると思います。ですがこれはきっと子供だけでなく誰しもが抱えているものではないでしょうか?自分自身を肯定できない、誰かに肯定してもらえない。そんな生活が続いていて楽しい訳がないですよね。自己肯定感の低さは、自己否定につながります。そして自己肯定感の低い自分を守ろうとして、他者への攻撃に転じてしまいます。こうした子供の抱える心の闇は、一番近くにいるその保護者がまず子供の心の闇に気が付いて対処していくことが重要なのですが、親目線フィルターを通してしまうと「うちの子がそんな事あるわけない」「うちの子に限って」となってしまいがち。

 ぽにょさんはいじめた加害者親子へこう対応していたそうです。「保護者への対応は、保護者にまず全容を本人同席で報告します。そして、いじめの件に関して家に帰ってから話し合い、その内容を報告書に本人と親両方が書いて、次の日持参するように伝えます。保護者によっては、あまりきちんと書いてくださらない方もいます。そういう場合は、次の日この程度の話し合いでは困る。まだ足りない。ということを保護者に伝えました。もちろん不満に思う親もいます。親は加害者であっても自分の子供が一番ですから、自分の子供を守ろうとします。でも、いじめをする要因は彼らの心に問題があるということ。この問題に家族で取り組むことが彼らの人生にとって必要な時間であることを伝えていました。」という方法。子供だけの問題ではなく、親子で問題に気が付いてどう改善していけばいいか取り組んでもらう方法です。

 大概の親は、我が子が一番。それ故、自分の子供がやった事であってもどこかに「自分の子供が悪いばかりではない」という相手側の落ち度を見出そうとする事が往々にしてあります。でもそれでは何も解決にはならないのです。
「自分の心の辛さを、一番そばにいて一番安心できるはずの親が分かってくれない」
これが子供にとって一番の心の辛さだと思います。保護者はそこを理解し、子どもが抱えている問題を一緒に解決していく姿勢を出して行動していかないと何も解決にならないのです。

 筆者の話をもう少ししますが、長女の不登校と相次いで小学生の次女も不登校になりました。根底にあったのは、学校や親への不満、関わってくれている他の大人への不信感や嫌悪など。誰に会うか分からない怖さが、不登校から引きこもりへと変化していきました。元々は友達と遊ぶのが大好きな子だけに、居場所が自宅しかない状態が続いているのは親としても辛いものがありました。校長、教頭、支援級の先生が年度替わりで交代していくなかで学校の雰囲気も変わってしまい「この子一人だけに割く時間は作れない」とはっきりと言われたことも。長女の時はこんな事なかったのにと辛い気持ちのまま、しばらく自宅で勉強とゲームだけの次女を見る毎日。

 しかし、筆者の事情がきっかけにはなるものの、引っ越して新しい環境で新し学校で頑張ってみようか?と次女に話をしたところ、新しい環境で頑張ってみたいと前向きに。この原稿を書いている半月前に引っ越して、知らない学校へ登校し始めて1週間ちょっと。彼女は友達もできて新しい環境で楽しく学校生活を送ることができています。転入するにあたりこれまでの経緯を学校にも話したところ、「今まで大変でしたね。よく一人で頑張ってきましたね。これからは学校全体でバックアップしていくので何でも仰って下さいね」と言われた時は今までの張りつめていた気持ちが一気に緩んでボロボロと泣いてしまいました。親がしっかりとして大きく構えていないと、子供だって不安を打ち明けにくいですもんね。環境を整える事の重要性を身をもって覚えましました。

 学校は今、生徒指導や情緒面でも難しい子供の対応、親への対応、部活やその他の業務と様々な事に追われていてなかなか一人ひとりに目を配るのが大変な状況だと思います。そんな大変な状態でも、こうして子供たちの事をおもい頑張ってる先生方がいる事と、そしてこういう先生方ばかりの学校環境になってくれることを願ってやみません。

前任校でイジメが起きた時の生徒指導部長の台詞は未だ覚えている。イジメられた子に対し「本当に辛かったね。君は悪くない。堂々と学校で勉強するんだ。何かあったら私たちにすぐ言いなさい。学校が全力で君を守る。」と言った。彼は教室に登校。そして加害者たちを別室登校指導にした。

— ぽにょ (@qMhr1ErWKH8FVnK) 2017年11月8日

<記事化協力>
ぽにょさん(@qMhr1ErWKH8FVnK)

(梓川みいな)

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