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「民放が2局しかない」「よくはぶかれる“一部地域”」 宮崎の田舎JKが作詞した『田舎女子高生』が面白い

おたくま経済新聞 / 2017年12月16日 16時0分

「民放が2局しかない」「よくはぶかれる“一部地域”」 宮崎の田舎JKが作詞した『田舎女子高生』が面白い

「田舎女子高生」を作詞したチーム

 霧島山のふもとにある宮崎県小林市の高校生が、地元出身のアーティストNOBUさんと一緒に小林市のPRソングを作ろうというワークショップ型プロジェクト『日々のうたごえプロジェクト』。このプロジェクトから生まれた楽曲『田舎女子高生』のMVが完成し、小林市の公式YouTubeチャンネルで公開されました。

 この『日々のうたごえプロジェクト』は、宮崎県立小林秀峰高校の商業科・経営情報科の3年生24人を対象に、2017年6月から約5ヶ月にわたって行われたワークショップ。講師は地元小林市出身のアーティスト、NOBUさんです。

 24人は4人ずつの6チームに分かれて「高校生のあなたが想う小林市を歌にする」というテーマで、小林市のPRソングの作詞に取り組みました。まずは歌詞がどんな要素でできているのか、なぜこのような言い回しを使っているのか、などといった歌詞の仕組みを考察。そしてキーワードを探して、実際に歌詞を作ってみる……というステップを踏みながら、NOBUさんから歌詞作りのノウハウを学んでいきます。

 そして出来上がった6つの歌詞にNOBUさんが曲をつけ、デモ楽曲が完成。これを全校生徒に投票で決めてもらうため、NOBUさんによるシークレットライブ「コバ歌バトル」が11月25日に開催されました。

 投票の結果、優勝したのは220票を集めた『田舎女子高生』。女生徒4人による作品で、見事にMV化を勝ち取りました。

 歌詞には彼女たちならではのリアルな思いが綴られています。フジテレビの人気ドラマが地元のテレビ宮崎(UMK)では深夜ドラマになってしまう「月9が火曜の深夜1時」、「民放が2局しかない」(宮崎では別の民放にチャンネルを変える際「反対にして」といえば通じる)、「良く省かれる地元“一部地域”」などといったテレビの悲哀から楽曲ははじまります。次に「自動改札でピッってしたい」「今日も無人駅 駅員はいない」、さらには「終電逃したらどうしようと言ってみたい」(小林市を通るJR吉都線は非電化路線で、電車ではなくディーゼルカーが走り、鉄道で通学することを「汽車通」という)という願望も切実。他にも「プリクラが古すぎて今日も盛れない」なんて女子高校生らしい悩みも……。

 このワークショップを通じて、NOBUさんは次のようなコメントを寄せています。

 「とにかく、小林市の女子高生のリアルを追求しました。『田舎の良いところ』より『田舎への不満』の方が生き生きと意見が出てきたんです。その先には必ず、良い側面が輝いて見えるはずだと思いました。曲を最後まで聴くと『良いとこなんてまだわかんねぇ 当たり前すぎてまじ気づかねぇ』というセリフがあります。ここが重要です。どうか最後まで聴いて頂き、このメッセージの意味を感じていただけますと幸いです。そしてこのような企画に参加させていただき、本当にありがとうございました。 高校生の『今』を教えていただいて、自分自身も、新しく気付くことが沢山ありました。小林を離れたからこそ気付くこと、小林にいるからこそ気付くこと、この高校生とのプロジェクトには、それが詰まっております。皆さんも、それぞれの立場だからこそ感じられることがあると思いますので、是非聞いてください」

 宮崎県小林市というと、フランス人が地元の西諸弁(小林市など旧薩摩藩地域である西諸県地方の方言で、宮崎弁より薩摩弁との共通性が高い)をしゃべっているんだけどフランス語のように聞こえる……という『ンダモシダン小林』、宮崎の他の地域の人でも聞き取りづらいことで知られるこの西諸弁を逆手に取った『西諸弁ワカール予備校』、また同じく女子高生の発想で作られた『サバイバル下校』などといった、ユニークなPR動画で知られています。そして、今回ワークショップが開かれた県立小林秀峰高校は、男子新体操の強豪校でもあります。このMVを見て、小林市に足を運んでみるのもいいですよ。

画像提供:小林市

(咲村珠樹)

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