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現存最古と考えられる666年前の刀剣書写本 佐賀県立博物館で実物を展示

おたくま経済新聞 / 2017年12月26日 20時0分

現存最古と考えられる666年前の刀剣書写本 佐賀県立博物館で実物を展示

『銘尽(龍造寺本)』(龍造寺家政申状土代裏書)

 佐賀県立図書館が収集・保存する古文書の中から、現存最古と考えられる刀剣書『銘尽(めいづくし)』の1351(観応2)年の写本(龍造寺本)が発見されました。この『銘尽』が、2017年12月26日より佐賀県立博物館で、記載された刀工の刀剣とともに展示されることになりました。(画像提供・佐賀県)

 神代からの刀工の名や著名刀工名と茎(なかご)の図、刀工の流派の系図などが記された、日本最古の刀剣書とされる『銘尽(めいづくし)』。記載された内容から1316(正和5)年ごろに作成されたと考えられており、別名『正和銘尽(しょうわめいづくし)』とも呼ばれます。オリジナルは見つかっておらず、1910(明治43)に国立国会図書館が購入・収蔵した、1423(応永30)年の写本(観智院本)が重要文化財に指定されています(ネット上の『国立国会図書館デジタルコレクション』で閲覧可能)。

 この『銘尽』龍造寺本は、佐賀県立図書館が収集・保存している古文書などの歴史資料約13万点の中から、九州産業大学基礎教育センターの吉原弘道准教授により発見されました。肥前国(現在の佐賀県)を支配する戦国大名だった龍造寺家に関する古文書『龍造寺家文書』(佐賀県重要文化財)277点のうち、2点の『申状土代(龍造寺家政が足利直冬に宛てた、戦の恩賞として旧領の回復を願う訴状の下書)』の裏に、古代から中世にかけての刀工の名前などが墨書でびっしりと書かれています。この申状土代には「観応2年(1351年)」の日付が書かれており、それ以前から家中にあった『銘尽』の裏に書きつけたのではないか、と考えられます。当時は紙が貴重だったため、このように紙の裏を再利用するのはよくあることでした。

龍造寺家政申状土代
『銘尽(龍造寺本)』(龍造寺家政申状土代裏書)

 申状土代の裏書の存在については以前から知られてはいたものの、これまで詳細には検討されておらず、これが刀剣書『銘尽』の一部であるとは認知されていませんでした。調査の結果、収録されている刀工の名前は280を超え、その中にはこれまで現存最古とみられていた重要文化財の『銘尽(観智院本)』に収録されていない刀工の名もあり、非常に貴重であることが判りました。調査結果については、吉原准教授が日本古文書学会の会誌『古文書研究』84号(勉誠出版)に、論文「『銘尽(龍造寺本)』から見える中世刀剣書の成立とその受容―申状土代の裏に書写された現存最古の刀剣書」として公表予定です。

 この歴史的な発見を記念して、2017年12月26日から2018年2月4日まで『銘尽(龍造寺本)』の原本と、この資料に名前が出てくる刀工の銘がある太刀等3点の実物を佐賀県立博物館で展示します。刀剣書と、そこに名の出てくる刀工の作が一緒に見られるというのはまたとない機会。お近くの方はぜひご覧になることをお勧めします。

 ■場所:佐賀県立博物館 2号展示室(佐賀県佐賀市城内1-15-23)
 ■期間:2017年12月26日〜2018年2月4日
 ■時間:9時30分〜18時
 ※期間中の休館日:2017年12月29日〜31日、2018年1月9日・15日・22日・29日

(咲村珠樹)

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