未来のミサイルは「群れ」で行動する?アメリカ空軍の新型巡航ミサイル
おたくま経済新聞 / 2018年1月9日 14時6分
グレイウルフの想像図(SOURCE:Lockheed Martin)
2017年12月27日(現地時間)アメリカ空軍の研究所(AFRL)は、新型巡航ミサイル「グレイウルフ」の開発を1億1000万ドルでロッキード・マーティンに発注しました。グレイウルフ(ハイイロオオカミ)の名の通り、ネットワーク化され、互いに情報交換しながらオオカミのような「群れ」で行動するといいます。
グレイウルフはオープンアーキテクチャーの制御プログラム、モジュール化された部品構成で全体のコストを圧縮した、お手頃価格の亜音速巡航ミサイル。さらにネットワーク化され、互いに情報交換をしながら「群れ」として行動し、防空システムをかいくぐって目標に到達します。
これまでの巡航ミサイルは、単独での情報処理能力は持っているものの、ネットワーク化されていないために、複数のミサイルを発射してもそれぞれバラバラに飛んでいる状態でした。このため、各自が防空システムに引っかかり、各個撃破されてしまうという危険性があります。グレイウルフはネットワーク化されているため、数発まとめて発射されたミサイルのうち、どれかが防空システムのレーダー波を探知すれば、その情報は即座に他のミサイルにも伝わり、それに対応した動きを取ることができます。結果、防空システムをかいくぐりやすくなり、目標への到達率を上げることができるという訳です。
ロッキード・マーティンのアドバンスド・ミサイル・プログラム・ディレクター、ハディ・ムーラッド氏は「多連装ロケット砲並みの高品質・低コストで、JASSM(防衛省が現在導入を検討している長距離巡航ミサイル)やLRASM(ハープーンの後継として開発中の対艦ミサイル)並みの効果を得ることができる」とグレイウルフの性能と低コストをアピールしています。
グレイウルフ開発計画は、全部で4つのフェーズで構成されており、今回の予算は2019年末までに完了する予定の第1フェーズにつけられたもの。最初のデモンストレーションはF-16に搭載して行われる予定ですが、このシステムはF-35、F-15、F/A-18、B-1、B-2、B-52にも対応するよう設計されます。
・画像:Lockheed Martin
(咲村珠樹)
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