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自衛隊も参加・多国間訓練「コブラゴールド」もうひとつの重要任務

おたくま経済新聞 / 2018年2月15日 15時5分

自衛隊も参加・多国間訓練「コブラゴールド」もうひとつの重要任務

アメリカ海兵隊のAH-1ZとUH-1Y(Photo:USMC)

 2月13日(現地時間)、タイでタイ軍とアメリカ軍がホストを務める多国間合同訓練「コブラゴールド2018」が始まりました。タイ軍、アメリカ軍のほか、日本の自衛隊を含む全7カ国による東南アジア地域最大の合同訓練です。

 多国間合同訓練「コブラゴールド」は今年で37回目。元々はタイとアメリカの合同訓練として始まりました。今年は日本、インドネシア、マレーシア、シンガポール、韓国の計7カ国が参加。2月23日まで各種訓練を行い、参加各国間の連携強化を図ります。

 13日にはタイのリゾート地、パタヤ近郊にあるウタパオ国際空港でオープニングセレモニーが行われ、参加各国の部隊が一堂に会しました。


 一般的な報道では、コブラゴールドは「軍事演習」という形になっていますが、実は軍事演習という言葉で想像される戦闘訓練だけでなく、もうひとつ重要な側面があるのです。

 タイ中部、チャチューンサオ県。オープニングレモニーが行われたウタパオ国際空港のあるチョンブリー県に隣接する県です。1月31日、コブラゴールドの重要な任務のひとつである、学校建設の開始式典が行われました。校舎の柱を建てる前に、僧侶による祈願が行われます。日本でいうところの地鎮式ですね。アメリカ軍、タイ軍、インドネシア軍の工兵部隊の「訓練」によって建設されるこの校舎は、幼児教育に使われる予定で、40人の子供が学ぶことができるといいます。同時に、この学校で学んでいる子供達に机や椅子、ランドセルのように学習用具を入れて学校に通うためのバックパックに、ノートや筆記用具も寄付されました。

陸上自衛隊も参加した学校建設式典(Photo:USMC)

 建設「訓練」に携わるインドネシア軍工兵部隊の指揮官、ハナント大佐は「我々のここでの任務は、タイの人々の手助けをすることです。インドネシアとアメリカは、何年もこの共同訓練を続けてきました。今回我々が建設するこの校舎は、この地方における教育の質を高める助けになると思っています」とコメントしています。

 そして、同じくチャチューンサオ県にあるバンナイサン村。ここでは2017年、ゾウによる食害や、圃場を踏み荒らされたために、農業が壊滅的な被害を受けました。また、森で収穫した果物を家に持ち帰ろうとしていた男性がゾウに襲われ、亡くなる事故も起きています。この地方の保安官を務める女性、マイモンコルさんは「この村は312世帯、およそ1000人が暮らしています。ゾウを食い止めようとしても、ゾウはおかまいなしなのです。村の周囲をフェンスで囲み、さらにその周囲にゾウの食料となる植物を植えることができれば、ゾウと人間がうまく共存できると思うのですが……現在は試行錯誤が続いています」と、ゾウの被害について語っています。

村に種イモなどを寄付するアメリカ軍(Photo:USMC)

 マイモンコク保安官とバンナイサン村のソパポーン村長は、今年のコブラゴールドにおける人道支援プロジェクトの責任者であるアメリカ陸軍のバンダーチュイン大佐にこの件を相談したところ、周囲にフェンスを建設することになりました。アメリカ軍とタイ軍は、あわせてゾウの被害に遭った住民たちに、農業で使うための種芋や、稲の種もみを寄贈しました。

 この他にも、様々な人道支援が「訓練」の名目でコブラゴールド期間中、タイ各地で行われています。軍隊の訓練といっても、様々な側面があるということは忘れないでいたいものです。

Image:USPACOM/USMC

(咲村珠樹)

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