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重症ほど歩いて来る……「ドクターに言われた衝撃的な言葉」タグから語る看護師の衝撃体験

おたくま経済新聞 / 2018年2月20日 18時5分

重症ほど歩いて来る……「ドクターに言われた衝撃的な言葉」タグから語る看護師の衝撃体験

救急車イメージ / 写真ACより

 ツイッターのハッシュタグ「#ドクターに言われた衝撃的な言葉」が盛り上がっています。笑えるものからそれこそシャレにならない話まで、この手の話は皆さん色々とお持ちのようで。

 筆者、看護師として病棟や内科外来での勤務経験などもありますが、外来時代に医師や先輩看護師から「重症ほど歩いて診察受けに来るからね」とよく注意事項で聞かされておりました。とはいえ、救急車に乗って来なければいけない程の症状ですぐさま入院!という人も勿論います。

■救急車を呼ぶレベルなのに徒歩で来院した患者さん

 そんな勤務経験の中、記憶に残るある患者さんがいます。50代男性のその患者さん、何となく胸のあたりが変な感じだったので近所の町医者にかかったそうです(しかもそこは外科と小児科・皮膚科)。まずかかる医者が内科ではなかったのがそもそも……というところなのですが、それでもそこの外科医師は「うちではなく総合病院でみてもらってねー」と紹介状を書いてその患者さんに持たせて私が勤務する総合病院の内科外来へ回してきました。

 そして、患者さんは距離にして500mかそこらの距離を歩いて当院へ受診。受付で紹介状を見た看護師は「これって順番待たせないほうがよくない?」と複数ある診察室で一番早く診察ができそうな医師へ。ちょうど予約患者もあまりいなかったのでじゃあそのまま中待合へ~となり、診察。

 その時の患者さんの様子はというと、普通に歩けるものの顔色は何だかあまり良くなく表情は若干苦しそう。動悸と脈のおかしな感じを訴えていました。
問診後、聴診したその医師の顔つきが一気に変わったのは後にも先にも私が見た中では初めてなくらい、一気に緊迫した表情に。すぐさま内科から救急外来へ車いすに乗ってもらって回ってもらい、心電図や採血など詳しい検査を経てそのまま入院となったのでした。

 「まさかこの状態であのクリニックから歩いてくるなんて」と診察した医者の言葉。さほど距離は離れていなかったとはいえ、「救急車を呼んで来院してもらうレベルだったのに何で紹介状渡しただけで歩いて受診させるんだよ!」と珍しく頭に血が上っているようでした。つまり本来であれば歩けない、いつ意識を失ってもおかしくない超緊急状態での自力来院だったわけです……。

■普段元気で健診もメンドクサイという人ほどアブナイ

 ちなみに先述のハッシュタグでも似たケースが報告されており、結果的に「心不全」と診断され、どうやらいつ命にかかわってもおかしくな状態での来院ケースが報告されています。珍しい症例もこのタグを見ていると色々と出てきていますが、普段元気で健診もメンドクサイ、という人ほど重症化して受診に来るケースはやはり多いように思います。

 勤務先に属している人であれば半年に1回、健康診断を受ける機会があるかと思いますが主婦や勤め人ではないフリーランスの人や自営業など、保険証が国民健康保険の人などは自主的に健診を受けに行かないとなかなか健康状態を継続して把握するのが難しいかと思います。

 私の母は、いわゆるがんサバイバー。きっかけは市の健診でやっていた無料の大腸がん検診。もう20年近く前の話ですが、自治体で無料健診が始まったので軽い気持ちで受けてみたところ何と大腸がんの疑いが。そこで総合病院で精密検査をしたところ、500円玉大くらいの大腸がんが。診察室で医師に「大腸がんですね~。切ってなおしましょう」と実に軽ーく言われたそうです。がんの告知ってもっとこう、ズーンと重い感じじゃないの?と母はかなり拍子抜けした模様。その話を聞いた私も「まぁ今時の大腸がんって治るの多いからじゃない?」とこれまた軽ーく返したような記憶が。

 大腸がんは男女ともに上位3位以内に常にランクインしているくらい、がんの中ではポピュラーな疾患。母数も多いので大腸がんによる死亡数も多く統計されていますが、早期発見で普通に治っている人も実はかなり多いのです。私の母もその治ったほうの一人。上行結腸にできた500円くらいのがんと一緒に転移が疑われそうなリンパ節も一緒に除去、しばらく抗がん剤を投与し日常生活に支障がないくらいまで回復したところで通院による抗がん剤治療に切り替え、最終的には内服の抗がん剤で経過観察していました。

 現在は「ホントにがんを患っていたの?」と思えるくらいにめちゃくちゃ元気。あの時健診受けていてくれて本当に良かった、自治体GJ!という気持ちでいっぱいな訳です。

■自分の体は自分が一番わかっていない

 今回流行っているハッシュタグを覗いてみてそんな事を思い出したわけですが、皆さんも「自分の体は自分が一番わかっていないのかもしれない」っていう事を頭の中に入れておいて、年に1回は健診に行きましょう。

 また、昨今では「不要な救急車出動」が問題視され、本来必要な人が遠慮してしまう事態が懸念されています。本当に具合が悪ければそれは「必要な救急車出動」です。「なんとか歩いていけるから……」と我慢せずに救急車を呼びましょう。もし判断に迷うことがあれば、救急車を呼ぶ前の健康相談窓口、救急安心センター「#7119」に相談してみましょう。ただし!救急安心センターは現在普及の途中。自治体によっては24時間やっておらず、独自で窓口を開いていることもあるので、お住まいの窓口状況がどうなっているか、いざという時のためあらかじめ調べておくといいでしょう。

 でもでも、電話をかけてもどんな反応されるか……。と不安な時は、消防庁がリリースしているアプリ「Q助」(無料、iOS/Android/WEB)をスマホに入れておくと便利です。こちらはWEB版もあります。質問に答えることで「救急車が必要かどうか」緊急度を判断してくれます。実際このアプリで助かったという例がありますので、万が一に備えて入れておくといいですね。

<参考>
最新がん統計:[国立がん研究センター がん登録・統計]
全国版救急受診アプリ(愛称「Q助」)

(梓川みいな/正看護師)

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