東京駅で東日本大震災「3.11メッセージフォト展」開催
おたくま経済新聞 / 2018年3月9日 19時1分
展示された写真
東日本大震災から7年。日常を取り戻しつつある被災地の方々を写真家の平間至さんが捉えた写真を展示する「3.11メッセージフォト展 未来をつくりだす力は、東北にある。」が、東京駅八重洲口で3月9日から3月11日までの3日間、開催されます。3月9日にそのオープニングイベントが行われ、知花くららさん、撮影した平間さん、モデルになった被災地の方々が登壇しました。(取材・咲村珠樹)
今回被災地から来場したのは、岩手県久慈市の小袖海女センターから大向広子(おおむかい・ひろこ)さんと中川やえ子(なかがわ・やえこ)さん、宮城県石巻市のcafeはまぐり堂から亀山貴一(かめやま・たかかず)さん、福島県福島市のカトウファームから加藤絵美(かとう・えみ)さんの4人。
撮影した平間至さんは宮城県塩竈市の出身。震災を機に東北の人々を撮り始めたといいます。この7年の間に様々な変化があり、笑顔も増えてきたとか。
知花くららさんは、震災により生活環境が一変してしまった福島の子供たちに、祖父の故郷である沖縄県慶留間(げるま)島の美しい海を見て元気になって欲しいと、子供たちを慶留間島へ招待する「げるまキャンプ」という取り組みを続けています。
大向さんと中川さんが暮らす小袖は、NHKの朝ドラ「あまちゃん」の舞台になった、海女による素潜り漁の北限とされる場所。現在生活の糧として素潜り漁を行う「本気」の海女さんは約20名、そして観光用に海女の技を見せ、伝えていく役割を果たしているのは大向さん、中川さんら3名だといいます。
2011年の津波の後、大向さんと中川さんは久慈の海に潜ってみました。この時はいつもの観光用の海女装束が流されてしまったため、本気で使っていたウエットスーツで潜ったところ、岩場は一面津波によって運ばれてきたヘドロなどで覆われ、上がってきた時には顔まで真っ黒になっていたそうです。それが瓦礫が撤去されるなどしたおかげで徐々に改善され、ウニやアワビなどの海産物もまた採れるようになってきたとか。それでもまだ完全には戻ってはいないそうです。
当時を思い出し涙する場面も石巻市でカフェを営む亀山さんは、震災までは水産高校の教師だったといいます。津波で漁業の環境が失われ、水産をする余裕がない中、人々が集まって笑顔になれるような空間を作りたいと、自宅を改装してカフェを始めたそうです。写真が撮影されたのは、住人が引っ越すことになって買い受けた隣家。現在はギャラリーなどとして使っているそうですが、将来は改装してお客さんに泊まってもらえるような形にしたいということです。平間さんの手によって素晴らしい写真になっているので、お店のスタッフたちからは「キャラじゃない」とからかわれたとか。
福島市で加藤さん夫妻が営むカトウファームは、福島県で作出されたコメ品種「天のつぶ」を栽培する農家。将来的にはもっと栽培面積を増やし、多くの人に福島の美味しいお米を食べてもらいたいと語っていました。
撮影時のエピソードで、加藤さんの笑顔が素敵なところに風が吹いてきて、素晴らしい写真になった、と平間さんが語ってくれました。また、このカットを撮影した直後、後ろに立っている旦那さんに、平間さんが「後ろから抱きつくようにしてください」とリクエストし、旦那さんがそれに従ったところ、加藤さんは本気で嫌がって手を払いのけたとのこと。会場一同笑いがこぼれました。
最後に、この写真展を主催する復興庁の浜田昌良副大臣が壇上で挨拶し、現在被災地では2つの「風」にさらされていると紹介しました。即ちそれは心ない「風評」と、記憶の「風化」だといいます。7年たって、被災した人々以外からはその記憶が薄れつつある昨今、復興庁としても全力を傾けて被災地を支援していくので、皆さんもこの写真展に来場して、被災地の「今」を感じて復興のお手伝いをして欲しいと話していました。
「3.11メッセージフォト展 未来をつくりだす力は東北にある。」は、東京駅八重洲中央口のイベントスペース(新幹線中央改札口前)で3月9日〜3月11日の期間、10:00〜19:00(9日のみ15:00〜19:00)の時間で開催しています。被写体となった方が自筆で書いたメッセージにも注目です。
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