「かくれんぼ刺繍」がSNSで話題に どれが刺繍か見つけられる?
おたくま経済新聞 / 2018年3月20日 11時22分
アーモンド/yacmiiさん提供
丸い木枠に布を張って、さまざまな色の糸で紡いでいく「刺繍」。カバンや洋服のワンポイントとして縫い込まれているものはよく目にしますが、今回紹介する刺繍は、それとは全く違う新しい刺繍のカタチ。本物と見分けが付かないほど精巧に作られた刺繍を、本物の中にまぜたアート作品。どれが刺繍かな?と思わず探したくなるために、「かくれんぼ刺繍」と呼ばれています。
見出しのアーモンドの中にも刺繍のアーモンドが混ざっていますが、どれが本物でどれが刺繍か見分けがつきますか?あくまでアート作品なので、答えは書きませんが……よーくよくよく見ないと見分けがつかないほどの精巧さです。
一般的な刺繍のイメージを覆すアート作品を生み出し、TwitterやInstagramで話題を呼んでいるyacmii(ヤクミィ)さんに話を伺ってみたところ、「語りだすと止まらないもので……」との言葉そのままに、溢れる作品愛を語っていただきました。
―一般的には、刺繍というと布に縫い付けるものが多い中、アーモンドや、イリコなど立体的な刺繍作品を作ろうと思ったきっかけを教えてください。
もともと、多摩美術大学にて彫刻科を専攻していました。大好きだった恩師に「何を素材にしてもいいが、彫刻家であることを忘れないで製作に向き合いなさい」との言葉をいただき、「彫刻家の刺繍」をテーマに製作を続けてきました。ある時少し気晴らしに製作した「かくれんぼ刺繍」(本物のマッチ棒に刺繍で製作した作品を混ぜて撮影)をInstagramに投稿したところ、作家仲間の友人から「もっと作って!面白い!」と言われ、通常縫っていた動物の刺繍の合間にリアル刺繍を縫うようになったことがきっかけです。
―Twitterで作品を拝見し、アーモンドの刺繍が、特に本物と偽物の区別がつかないほど精巧だったのですが、本物に近づける工夫はどのようなことをされているのでしょうか?
「リアルに近づけることはできても、本物にはなれない」という思いが常にあるので、人の持つ固定観念「アーモンドってこうだよね」という部分に近づけるように心がけています。そのために本物を観察、デッサンするのは当然として実物を撮影することでわたし自身が一旦、客観視すること。あとはネット検索で上位に上がってくるような画像をなるべく多く観察しています。
―作品はアーティスト活動をしてこられて何点ぐらい制作されたのですか? ちなみにこちらの作品は購入できるのでしょうか?
刺繍のアート作品としては大小含めて50点ほどでしょうか。販売しているブローチを含めるともっと多くなると思います。基本的には展示会場のみの販売を行っています。また、職人の手仕事から生まれる日用品を取り扱う倉敷の老舗雑貨メーカー「倉敷意匠」さんのオンラインショップにてご購入頂けます。こちらでは、倉敷意匠さんから2つのテーマ(覗く猫、覗く動物たちの目)をいただき、ブローチを製作しました。
―作品は一作品作るのにどのぐらいかかるのでしょうか?大作でどれぐらいなど目安があれば教えてください。
今までで一番長かったのは6~7ヶ月。羊の頭を縫いました。血と肉から表現したかったので、ベースの赤、ピンクの糸から縫い始めて白い糸を植え付けるように縫う作業は気が遠くなりそうでした。
―ひとつの作品を手掛ける前に、自分の中にルールを決めてやっていることや、これは外せないというこだわりはありますか?
当然のことかもしれませんが、アトリエのお掃除からスタートします。糸をぐしゃっと仕舞ったり、大切に保管していなかったりすると、糸の状態が悪くなり思うように進まないので、すべて大切に管理しています。道具にもこだわって揃えています。
―展示会など今後のご予定があれば教えてください。
2018年5月に「ほぼ日」さんの運営されているTOBICHI京都にて展示会を予定しています。2019年にはまた新作を携えて岡山にも行きます。
最後に、制作において一番大切なことはと問いかけたところ「自分が一番に楽しむこと」、技術面においては「立体を平面で表現すること、青を青ではない色で表現すること、縦の線を横の線で表現すること」を意識して制作にあたっているとのこと。ちなみに、制作に煮詰まった時は、愛犬をひたすら愛でたり、愛犬の被り物を製作したり、お料理をしたりすることで、気持ちをうまく切り替えているそうですよ。
「展示会でみんなが、クスッと吹き出して思わず二度見してしまうような作品を作ることができたら、最高に幸せ。ご覧いただくみなさまの顔を思い浮かべては嬉しくてワクワクします」と展示会に向けて、さらにユニークな作品を計画中のようでした。
<取材協力・画像提供>
yacmiiさん(Facebook:@yacmii)
(黒田芽以)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
本物かと思ったら…… “予想外の方法”で完全再現された「風神雷神図屏風」、その“まさかの正体”に9.4万いいね 「ヤバすぎる」「拡大してようやく」
ねとらぼ / 2024年9月20日 12時0分
-
【日本初公開となる「Mythology」シリーズも】大阪芸術大 美術学科 客員教授による霧島アートの森特別企画展「清川あさみ展『ミスティック・ウィーヴ:神話を縫う』」
PR TIMES / 2024年9月17日 13時15分
-
1年ぶりの大阪開催!精巧に作り込まれた虚構の世界に迷い込む「ミニチュア写真の世界展」10/18~開催
@Press / 2024年9月13日 10時30分
-
女優の板谷由夏さんが、源氏物語の姫君をイメージした日本刺繍の着物姿で日本橋高島屋にて開催中の「草乃しずか日本刺繍展」に来場!
@Press / 2024年8月30日 13時15分
-
等身大カルガモ、チェンソーで作りました 間伐材を活用、「本物みたい」作品17点を展示
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年8月25日 5時20分
ランキング
-
1【自腹レビュー】非常時の備えって“発電”こそ重要なのでは?Ankerの7000円台ソーラーパネルが使えるのか試してみた
&GP / 2024年9月22日 21時0分
-
2「悪口言われたんだけどなにこれ?」 花札に挑戦してみたら…… 突然の“辛辣な言葉”に爆笑する人続出 「クソおもろい」「笑ったw」
ねとらぼ / 2024年9月22日 20時45分
-
3iOS 18で追加された基本アプリの地味だけど便利な機能5選
&GP / 2024年9月22日 19時0分
-
4「これ私もやらかしてる」 Androidの「カメの絵文字」→iPhoneで受け取ると“衝撃のビジュアル”に大変化 思わぬ盲点に21万いいね 「びっくりした」
ねとらぼ / 2024年9月22日 20時0分
-
5「アンパンマンのパン」焼こうとしたら…… まさかの完成品に「声出たwww」「親戚のおじさん」と爆笑の声 今でもパンを焼いているか聞いてみた
ねとらぼ / 2024年9月22日 12時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください