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イギリス海軍のヘリ空母、女王に見送られて退役

おたくま経済新聞 / 2018年3月29日 10時36分

イギリス海軍のヘリ空母、女王に見送られて退役

オーシャン退役式典でお言葉を述べるエリザベス女王

 イギリス海軍のヘリコプター揚陸艦(揚陸ヘリコプター空母)、オーシャン(L 12)が退役することとなり、2018年3月27日(現地時間)にデヴォンポート海軍基地で、エリザベス女王臨席のもと、退役式典が行われました。

 オーシャンは1998年に就役したオーシャンは、イギリス海軍初の新造ヘリコプター揚陸艦です。「マイティー・オー(Mighty O)」の愛称で親しまれたこの艦の名付け親(Ship Sponsor)は、エリザベス女王。1995年の進水式、1998年の命名式にも臨席しており、この艦とは深い縁があります。今回はイギリス海軍の艦船、すなわち「女王陛下の艦船(HMS=Her Majesty’s Ship)」として最後のセレモニーにも、命名者として臨席することになりました。

 小雨がぱらつく中、21発の祝砲に出迎えられたエリザベス女王は、退役式典でお言葉を述べられ、式典を命名者として見守りました。







 そして女王は、オーシャン艦長のロバート・ペドレ大佐らとオーシャンの乗組員を閲兵。続いて艦内の視察を行いました。



 最後に海軍旗(ホワイト・エンサイン)を降納し、オーシャンは19年半にわたるキャリアを終え、イギリス海軍籍を離れました。最後の大きな任務となったのは、2017年にカリブ海のイギリス連邦諸島を襲ったハリケーンの被害を受けての、人道支援任務でした。就役後初めての大きな任務も、1999年のハリケーン・ミッチの被害に遭った、ホンジュラスとニカラグアへの人道支援任務だったので、最初と最後の任務はどちらも人道支援だったということになります。


 オーシャン艦内で行われたランチレセプションでは、女王は乗組員やその家族らと気さくに交流し、オーシャンにおけるこれまでの任務をねぎらいました。


 退役に際し、オーシャンの副長である ニック・ウッド中佐は「退役は我々みんなにとって悲しい日です。このフネは、本国を離れる際には我々の『家』だったわけですから。オーシャンと別れるのは寂しいことですが、我々が進むべき海軍の輝かしい未来に、悲しみの雲をかけ続けるわけにはいきません。オーシャンと入れ替わりに就役予定の空母プリンスオブウェールズは、オーシャンより大きく、そして優れた能力を持っているのですから」と語り、別れを惜しみつつも、新しいフネとの出会いにも目を向けていました。

 ランチレセプションの調理を担当した兵にとっては、自分の料理を女王が召し上がるという、最高の栄誉に浴すことになりました。そのうちのひとり、カール・チェスターさんは「これまで海軍トップである第一海軍卿をはじめとする、数々の賓客のために料理を作ってきましたが、やはり女王陛下に料理をお出しするというのは、この上もなく名誉なことです。これほど素晴らしいことはありませんよ。我々みんな、この名誉に非常に興奮しています」と、その名誉ある仕事について語っています。

 イギリス海軍を退役したオーシャンは、約125億円でブラジル政府に売却され、2018年6月からブラジル海軍で第二の人生を送ることになっています。

Photo:(c) Crown Copyright 2018

(咲村珠樹)

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