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1冊のノートに描かれた「社畜紙芝居」がリアル過ぎてネット民号泣

おたくま経済新聞 / 2018年4月4日 16時52分

1冊のノートに描かれた「社畜紙芝居」がリアル過ぎてネット民号泣

「つらいだろうけど、がんばって 私もがんばるから」

 新年度になり新社会人に向けた言葉がネット上にたくさん飛び交うここ最近、ブラック企業に入ってしまったら逃げて!という声もあちこちで飛び交っています。それだけ現代の労働環境は深刻な状態。そんなブラックな労働環境に身を置いてしまったある「社畜」の様子が1冊のノートに描かれており、その動画がSNSで話題になっています。

 作者はNHK-Eテレの「Rの法則」で紙コップアーティストとして出演したこともある、しんらしんげさん。しんらしんげさんの作品は過去にもネットを賑わせており、2016年に発表した紙コップ3個を工作して作ったドラえもんの漫画を動画にしたものは、27万回以上のリツーイトを記録するなど大変な反響となりました。しかし、今回は一つのノートをつかって、立体紙芝居形式で一人の社会人の苦悩を描いています。

物語が描かれたノート

 その紙芝居の中に描かれている主人公は、毎日疲れた顔して通勤電車に揺られているサラリーマン。オフィスのホワイトボードには「死ぬまで働け」の文字。出社した主人公は、朝礼と思しき風景の中で、上司がホワイトボードの「死ぬまで働け」文字に大きくバツを付け、「死んでも働け」にする姿を眺めています。

主人公は毎日疲れた顔して通勤電車に揺られているサラリーマン
ホワイトボードの「死ぬまで働け」文字に大きくバツを付け、「死んでも働け」にする上司

 浮かない顔で必死に働く主人公たち。すっかり暗くなった頃、一人またひとりと退社していく中、最後にただ一人残業となる主人公。遅い帰りの電車の中、居眠りしながら自宅へ帰り、そのまま眠りまた翌朝。

すっかり日も暮れてただ一人残業
帰りの電車ではぐったり

 いつものように疲れた顔で出勤すると、この日の朝礼のホワイトボードには、「激務を誇れ」「社畜を誇れ」「有給休暇は都市伝説」と書かれています。その前に立つ偉そうな上司の話に付き合わされる主人公たちは黙々と仕事を続け、日が暮れるといつも通り残業となる主人公。


 一人残る主人公の元に現れた救世主の同僚は、主人公の仕事を半分持っていき手伝ってくれますが同僚の仕事のスピードの速さにびっくり。しかし……お先に、と帰る同僚は疲れから会社を出たところで車に轢かれてしまいます。


同僚が仕事を手伝ってくれた
しかし、同僚は会社を出たところで事故に……

 そして翌朝……疲れた顔で出勤したその隣はやはり空いており、ホワイトボードには「1日は24時間 3日分働け(8時間×3)」「サービス残業は社会貢献」と。隣のいない状態で働く主人公……その日も暗くなって帰宅した先に見えてきたのは……「楽になれる」誘惑。

翌日も普通に仕事は続く……
その日も暗くなって帰宅
一人帰った家で見たのは「楽になれる」誘惑

 天井から吊るされた紐でできた輪の中に見える、一面の花の楽園。この輪に首を掛ければ、楽園に行ける……誘惑のまま主人公は首に輪を掛けます。これで楽になれる……。しかし、花の楽園を見たのはほんの僅かな時間だけでした。首吊りに失敗し尻もちをついて青ざめ息を切らす主人公のスマホにかかってきた電話は、事故に遭った同僚からでした。

一瞬で我に返る主人公
そこにかかってきた同僚からの電話

「つらいだろうけど、がんばって 私もがんばるから」

 号泣する主人公に、電話の向こうから笑いかける傷だらけの同僚の笑顔。そして壁にもたれている主人公の姿でこのお話は終わります。

社畜ノート

ストーリーは適当です pic.twitter.com/J4erDnFF0H

— しんらしんげ (@shin___geki) April 3, 2018

 2分18秒の中に収められた物語は、現代の救いのなさをそのまま描いているような感じもあり、作者のしんらしんげさん自身も、続くツイートで「もうちょっとハッピーな展開にすれば良かった…」とツイートしていますが、何の解決もない、救いのなさに現実を感じる人も多くセリフのないこの物語からは海外からも含め様々な反響が寄せられています。筆者も書き起こしながらちょっと涙が抑えきれない……。

 無理に頑張らなくていい、辛ければ逃げてもいい。そう思える人が今の社会を変えてくれると個人的には思います。

 このお話はノートを90度の直角に見開いた状態で立体的に見えるよう描かれ、場面の動きなどが描かれた他の紙を所々に挿入して作られています。これを制作した切っ掛けを作者のしんらしんげさんに聞いてみたところ、今回初めてノートの角度や立体を生かした作品を作られたそうで「立体アートでストーリーを展開した作品などは見たことないので作ってみようとおもったのがきっかけ」という事です。

 また、ストーリーについては「仕事が忙しいときに思いついて考えた感じ」とリアリティが感じられますが、実際の勤務先はここまで酷くなくいい会社だったそうです。

 ツイッターの動画は最大2分20秒まで投稿できますが、「その尺に合わせて最後の展開を作ったところ、結果救いのない感じになってしまいました。自分ではもっと救いのあるいい感じの終わり方にすれば良かったなぁと少し後悔しています。」とも。逆にこの救いのなさが現実味を感じられる様な気がするので個人的にはアリだと思いますが……。

 最後にこの動画を見て共感した人へコメントをお願いしたところ「ツラい仕事を続けるのも辞めるのも度胸がいると思うのでそう意味で「がんばって」です。(動画ではそういう感じでは伝わらなかったですが。)」とメッセージを頂きました。

 首を吊るまで追い詰められている人に「頑張って」は逆効果ですが、そこまで行ってしまう前に、逃げる勇気を持って欲しい。ちょっと方向転換して自分の身を守れるようになって欲しい、そんな願いを感じました。

<記事化協力>
しんらしんげさん(@shin___geki)

(梓川みいな)

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