「不安をあおる情報ほど拡散される」 災害時における予言の扱いは危険!
おたくま経済新聞 / 2018年6月18日 16時37分
イメージ写真/写真ACより
予言と言われる存在。何でも無い時には人の好奇心をみたしてくれるなかなか楽しいものですが、いざ災害が起きた非常事態のときには人の心を惑わせる「やっかい」な存在へと変貌します。
その予言の一つが、6月18日に発生した大阪での地震をきっかけにネット上で出回っています。それは予知夢で災害を知らせる予言者ジュセリーノが言ったという「6月21日大地震説」。この予言では6月21日に東海地方で巨大地震が起きると言われています。な、なんだってー!
もともとはオカルト系媒体で5月末頃から話題になっていたようですが、6月18日午前7時58分に大阪府北部で震度6弱が発生したことをうけ、再び大注目を集め、人々の不安をあおっているようです。
■予言とは……オカルトマニアにとって一種のレクリエーションです!
筆者実は長年のオカルトファン。この方のことも勿論存じておりますが、その知識で言わせていただくと、「的中率90%以上」という触れ込みの予言者ジュセリーノさんは、世のオカルトマニアの評価では「的中率10%以下」、つまり「はずれ率90%以上」と真逆のことを言われています。
しかも当たったとされる予言の多くは、事前に公表があったものではなく、後出しで公表されたものと言われています。このためあらかじめ公表された予言の場合には「外れる確率が高い」とすら言われているのです。まぁ、予言なんてそんなものです。
そもそも平常時においては、オカルトマニア間のレクリエーションみたいなものですから。普段なら、予言→マニア間でざわつく→外れる→ブーイングまでがセットです。
■なんでもない時はワクワクする。でも事がおきると面倒な「予言」
予言は何でも無い平常時においては、本当にワクワクします。ただし今回のように何か起きると大騒動になることもあるわけで……。
実際、2016年には2ちゃんねる(現:5ちゃんねる)に降臨した未来人の行動から、勝手に地震を紐付けた「5月17日南海トラフ地震発生説」が発生。しかも爆散され、当時Twitterトレンドに「未来人」「南海トラフ」が登場するほどの騒ぎとなり、一部機関に真偽を確認する問合せが殺到する出来事までありました。
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【2016年未来人騒動】
匿名掲示板2ちゃんねるに登場した、自称2062年からやってきた未来人。彼は、東日本大震災の約3か月も前に発生を示唆していたとされる人物。その彼が2010年11月時点の2ちゃんねるへの投稿で「次に行くのは2016年4月15日」と宣言していた。奇しくもその前日に、熊本地震の前震が起き、ネットでは「未来人が来る時には地震が関係ある」という噂が流れた。
そんな彼が「次は5月17日に来る」と言い残したのでさぁ大変!噂に尾ひれがついて「5月17日南海トラフ地震発生説」となって爆散され、NHKにまで「明日(5月17日に)地震が来るのか?」といった問合せがきたもよう。このため、NHK生活・防災の公式Twitterが「公的機関以外の情報は「デマ」と考えられます」といった異例のコメントを出す事態に発展した。
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そもそも日本は地震大国と言われるほど、地震が多い国です。毎日どこかで地震が起きているといっても過言ではありません。しかし、こうした事態が起きたときに一番怖いのが「人の心理」。
不正確な情報でも「不安をあおる情報」ほど拡散されやすい傾向にあります。不安な時だからこそ冷静になって、自分が得た情報で回りに不安を与えないかしっかり考えて、行動・伝達(リツイート含め)することが必要です。またオカルト界隈の話題はうかつに拡散させないこともポイント。遊びと認識しているオカルト系の人間であれば問題ありませんが、認識していない人の場合は驚くほど簡単に信じて、不安を抱えます。特に、小中高生の子たちはその傾向が顕著。冗談か冗談じゃないかの線引きがきちんとできない場合が珍しくないため、十分に注意してあげてください。冗談が冗談じゃ済まされなくなります。
■不安な予言が拡散されたらこう思おう「防災グッズの見直しタイミング」
いつもこの手の話題が出ると呼びかけているのですが、大地震など含め不安な情報が拡散された場合には、「噓!!」と単に言い切るのではなく、「防災グッズの見直しタイミング」に利用すればいいのです。普段はどうしても忘れてしまいがちですからね。「あー、こういう予言がながれてるなぁ。一応確認しとくか」位に。
備蓄しているお水や食料は十分か、乾電池はちゃんと使えるか、もし使えないならば買い換えの良い機会に。また、この機会に以前にも話題になった東京都が出版した防災ハンドブック「東京防災」は都民向けではあるものの、震災や水害時など災害の時に役に立つ知識が集約されています。また、iPhone版、Android版の同アプリには都民に向けた内容に特化しているものの、ハンドブックに収録されている絵や図を見る事ができます。iBooksやkindleなどの電子書籍版とアプリ版、使いやすい方をあらかじめインストールしておくといざという時に慌てずに防災時の手順を確認する事ができます。
6月18日に起きた大阪での地震は今後余震が起きることが考えられています。特に関西にお住まいのみなさまは、この機会に全ての防災グッズを見直して、いつもより備蓄をすることを考えてみてはいかがでしょうか。「備えあれば憂いなし」ですよ。
<参考>
東京都防災アプリ|東京都防災ホームページ
電子書店一覧|東京都防災ホームページ
(宮崎美和子)
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