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マレーシアとアメリカが新型長距離対艦ミサイルNSMを発注

おたくま経済新聞 / 2018年6月19日 14時17分

マレーシアとアメリカが新型長距離対艦ミサイルNSMを発注

沿海域戦闘艦コロナド(LCS-4)に仮設されたランチャーから発射されるNSM

 2018年6月1日(現地時間)、ノルウェーのコングスベルグとアメリカのレイセオンは連名で、自社の開発した長距離対艦巡航ミサイル「ナーバル・ストライク・ミサイル(NSM)」がアメリカ海軍の沿海域戦闘艦と将来の新型フリゲート用の兵装として採用されたと発表しました。

 ミサイルとランチャー、そして火器管制装置を合わせて1億4800万ドル。ミサイル本体と火器管制装置をコングスベルクが製造し、レイセオンはランチャーの製造を担当します。この契約は、オプションを含めると総額8億4760万ドルという規模。ナーバル・ストライク・ミサイルは、2018年4月18日(現地時間)に、マレーシア海軍が6隻建造予定の新型沿海域戦闘艦(ゴウィンド級コルベットをベースとした拡大型)用の兵装として、総額1億2400万ユーロで導入することを発表したばかりです。

 ナーバル・ストライク・ミサイル(Naval Strike Sissile=NSM)は、ノルウェーのコングスベルクが開発した長距離巡航対艦ミサイル。元々はノルウェー海軍の要求により開発されたもので、現在ではノルウェー海軍のほかポーランド海軍でも導入され、運用されています。

 複合材料を使用したミサイル本体の全長は3.96m(156インチ)。重量は407kgで、チタン合金の外装と鉄製の爆風破片効果用の内容物が含まれた弾頭には、炸薬として100kgのTNT火薬が使用されています。最大有効射程は200km以上あり、飛行中の速度はマッハ0.7~0.95。最大有効射程距離の場合、地球の曲面から目標が水平線の下になって直接視認できないため「オーバー・ザ・ホライズン・ウエポン(超水平線射程兵器)」に分類されます。

 発射直前に目標データをダウンロードしたNSMは、発射時にロケットモーターで加速した後、小型のジェットエンジンで飛行します。目標近くまでは慣性誘導(INS)と人工衛星からのデータを併合して水面、もしくは地表面ギリギリの高度(地形追従機能を装備)を飛び、目標への最終段階では2種類の波長を用いた高精細赤外線カメラで誘導されます。目標のデータには各艦の「急所」のデータも含まれており、対空防衛システムの攻撃を避けるため、ランダムに進路を変えながら飛行します。垂直上昇すら可能なほどのエンジン推力と丈夫な複合材製のミサイル本体は、かなり急激な進路変更も可能となっており、より撃墜されにくく、狙った「急所」に60cm(2フィート)以内の正確さで着弾します。

 アメリカ海軍向けのNSMは、ランチャーの製造をケンタッキー州ルイビルにあるレイセオンの工場で行い、システムの最終組み立てもアリゾナ州ツーソンにあるレイセオンの工場で行われます。コングスベルグとレイセオンは50年にわたる協力関係にあり、アメリカ海軍にとって「慣れ親しんだ企業」であるレイセオンが窓口となる、という形になります。これに対し、マレーシア海軍向けのNSMは全てコングスベルグが製造し、納入される予定です。

Image:U.S.Navy

(咲村珠樹)

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