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ドイツ軍が無人偵察機(ドローン)「ヘロンTP」を採用

おたくま経済新聞 / 2018年6月20日 10時56分

ドイツ軍が無人偵察機(ドローン)「ヘロンTP」を採用

飛行するヘロンTPの想像図(画像:AIRBUS)

 2018年6月13日(欧州中央時間)、ドイツ政府はエアバスと滞空型無人偵察機(ドローン=UAV)として「ヘロンTP」を導入し、運用中のサポートも含めた契約を締結しました。この契約は2018年後半に予定される政府予算の議会承認を待って有効となります。

 ドイツ軍は既に、滞空型無人偵察機「ヘロン1」をアフガニスタン(2010年から)やマリ(2016年から)の派遣先で運用しています。今回の契約で、能力を増強した新しいヘロンに更新されることになります。

 ヘロン(Heron)は元々、イスラエルの国営企業IAIによって開発された中高度長時間滞空型(Medium Altitude Long Endurance=MALE)無人偵察機。機体後部に備えられたプロペラを駆動する、推進式プロペラ機です。機体には偵察用機材や航法機材、燃料タンクやエンジンがあり、推進式のレイアウトのために、尾翼は主翼から後方に伸びるブームの先にあるという「双ブーム式」の機体レイアウトを採用しています。

 今回ドイツ軍が採用を決めた「ヘロンTP」は、ヘロンの性能向上型。当初は「エイタン(Eitan)」という名前でアナウンスされていました。全長14m・全幅26m、最大離陸重量は5.4トンで、標準的な任務における積載量は1トンとなっています。エンジンはヘロンのレシプロエンジン(115馬力のターボチャージャー付きRotax914)から、ターボプロップエンジン(1200馬力のプラット&ホイットニー・カナダPT6)に変更され、大幅にパワーアップしています。これにより最高速度も倍近い220ノット、運用最高高度も民間旅客機が飛行する航路の上を飛べる4万5000フィートとなりました。

 操縦系統はトラブルに備えて3系統あり、衛星回線(SATCOM)経由で遠隔操縦できるほか、自動での離着陸(ATOL)システムも搭載しています。滞空時間は30時間以上。また、NATOが定める無人機運用に関するNATO標準化協定第4671号(STANAG 4671)にも対応しており、NATOのシステムに完全に対応しています。

 IAIはドイツ軍の提案要求に対し、ドイツ政府との実績の豊富なエアバスと共同でヘロンTPを提案していました。ドイツ軍は5機のヘロンTPを導入し、9年間運用する予定。ドイツ軍への納入はエアバスを通じて行われます。

Image:AIRBUS

(咲村珠樹)

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