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イギリス空軍の無人偵察機、初の大西洋横断飛行へ

おたくま経済新聞 / 2018年6月26日 13時41分

イギリス空軍の無人偵察機、初の大西洋横断飛行へ

イギリス空軍プロテクターの飛行想像図

 2018年6月25日(現地時間)、イギリス空軍とアメリカの航空機メーカー、ゼネラル・アトミクス・エアロノーティカルは、ゼネラル・アトミクス・エアロノーティカル製の無人偵察機(UAV/ドローン)、MQ-9BスカイガーディアンRPA(Remotely Piloted Aircraft=遠隔操縦航空機)が7月10日から11日にかけて、初の大西洋無着陸横断飛行を行うと発表しました。

 これは2018年7月13日~15日の期間に、イギリスで開催される世界最大のミリタリー・エアショウ「ロイヤル・インターナショナル・エアタトゥー(RIAT)」に合わせて行われるもの。ゼネラル・アトミクス・エアロノーティカル社が所有するMQ-9BスカイガーディアンRPAは、7月10日にアメリカのノースダコタ州グランドフォークスにある同社の飛行試験・訓練センターを離陸し、およそ20時間かけてノンストップで大西洋を横断。翌11日にRIATの会場であるイギリスのグロスターシャーにあるフェアフォード空軍基地に着陸する予定です。この間、操縦は機体を直接視認できない場所から遠隔操縦で行われます。着陸したのち、機体はRIATで静態展示されます。

 MQ-9Bは中高度長時間滞空(Medium-Altitude, Long-Endurance=MALE)型の無人機。このタイプの無人機が大西洋を無着陸で横断するのは初めてのことです。すでにMQ-9Bは、アメリカ連邦航空局(FAA)やイギリス軍航空局(MAA)、NATOの航空機安全基準(STANAG 4671)をクリアし、型式認定を受けています。これにより、法的にはアメリカやイギリスなどの飛行規制が設定されていない、民間機が飛行できる通常の空域でも監視用のチェイス機のいない単独飛行をすることが認められ、大西洋横断飛行が可能な状態になっているのです。また、事前の試験で48時間以上の連続飛行にも成功しており、航続距離が十二分にあることも証明されています。

 操縦はインマルサット社のSBB(スイフトブロードバンド)衛星通信システム(SATCOM)を用いて行われます。赤道上空の静止軌道にある3機のインマルサットI-4衛星を中継する高速大容量通信システムで、世界中どこからでも上空のMQ-9Bを操縦可能。そして離着陸は自動で行います。すでに自動着陸システムは昼夜問わず、様々な天候下で9万回以上の着陸をこなしており、信頼性は確立されています。

 イギリスはMQ-9Bをベースにした次世代型無人偵察システム「プロテクターRG Mk.1」を2020年初めに導入する計画が進んでおり、今回の大西洋横断飛行は、その技術の実証実験も兼ねています。今回の飛行で初めてイギリスに無人機が飛来することになり、将来イギリス周辺空域を無人機で哨戒飛行する際の地上管制設備の検証や、空域を飛ぶ他の航空機とどのように住み分けを行えばいいのか、という確認をすることになります。

 プロテクターRGは、イギリス空軍が領空に接近する国籍不明機、了解に接近する不審船の監視のほか、上空にとどまり続けることで遭難の早期発見、捜索救難の支援にも使われる予定です。数多く飛ぶ民間機の動きを妨げず、無人機が共存できるか。無人機の新たな可能性を広げるための挑戦が、この大西洋横断飛行には込められているのです。

Image:Crown Copyright 2018

(咲村珠樹)

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