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アメリカ、B-2による新型核爆弾の投下試験を実施

おたくま経済新聞 / 2018年7月2日 14時6分

アメリカ、B-2による新型核爆弾の投下試験を実施

2014年核爆弾投下訓練でのB-2

 2018年6月29日(アメリカ東部時間)、アメリカエネルギー省(DOE)傘下の国家核安全保障局(NNSA)は、アメリカ空軍と新型核爆弾「B61-12」の核を搭載していないデザインモデルを用いた、ステルス爆撃機B-2からの空中投下試験をネバダ州のトノパー試験場で6月9日に実施した、と発表しました。

 B61は、1966年から配備されているアメリカ軍の核爆弾。核爆弾(起爆装置)である本体と先端部、尾部安定翼の3つのパーツで構成されており、先端部と尾部安定翼を交換することで、高空からの投下や低空からパラシュートを用いたレイダウン投下など、様々な投下シチュエーションに対応することができます。B61-12は、現在配備されているB61-11(1997年配備開始)を更新するために開発中の最新バージョン。これまでになく精密に目標へと誘導できる性能を持つとされます。

 核兵器は、その強大な威力ゆえに目標地点から多少外れても、攻撃の効果範囲が大きく、通常兵器に比べると「大ざっぱ」な命中精度でもOK、とされてきました。しかし現在、核兵器削減の動きが加速しており、大型の核兵器で大ざっぱに狙って広範囲を攻撃するよりも、なるべくピンポイントで狙って効果を集中させて使おうという考えが出てきています。

 B61-12は、そういった要求を達成するための爆弾です。一般に命中精度が2倍になれば、目標に対する核兵器の威力は8倍に相当するとされます。命中精度を高めた「小型」のB61-12で、少ない量でも攻撃の効果を維持しよう、という構想です。このB61-12開発計画は「B61-12寿命延長計画(Life Extension Program=LEP)」と呼ばれるもので、アメリカの核戦略・安全保障計画における最重要計画と位置付けられています。

 今回行われた試験では、NNSAが設計したB61-12の爆弾部(起爆装置)とアメリカ空軍の尾部ユニットを組み合わせた非核試験用アッセンブリ(実際の重量・バランスと同じにした爆発しない模擬弾)を、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地の第412試験開発飛行隊に所属するB-2A爆撃機に搭載し、実施されました。これはB-2Aでの運用をテストするものでした。

 B61-12の核爆弾部(起爆装置)は、サンディア国立研究所とロスアラモス国立研究所で設計され、NNSAの核安全局(Nuclear Security Enterprise)で製造されています。尾部ユニットは空軍核兵器センターから委託されたボーイングが設計と製造を行なっています。

 このB61-12寿命延長計画(B61-12LEP)での最初の投下試験は、2017年3月14日にネバダ州のトノパー試験場でF-16Cを用いて行われたもの。目標への命中誤差は最重要機密なので明らかにされていませんが、試験結果は非常に良好だったと発表されています。

 B-2での試験も問題なく成功したと発表されており、B61-12の開発計画が順調に進んでいることがうかがえます。このまま予定通りに進めば、B61-12の製造は2020年に開始され、既存のB61を更新する予定です。また、将来的にはB83のようなメガトン級の核爆弾も置き換えられる可能性がある、とも言及されています。

Image:USAF(見出しを含め、使用している画像は過去に撮影された参考画像です)

(咲村珠樹)

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