日々の生活をスマホが支援 NTTドコモのAIアシスタントアプリ「my daiz」担当者インタビュー
おたくま経済新聞 / 2018年7月11日 12時0分
NTTドコモの関﨑宜史さん(左)と近藤佳代子さん(右)
株式会社NTTドコモが2018年5月31日にサービスを開始した、スマホ向けAIアシスタント「my daiz(マイ・デイズ)」。これまで提供されていた「iコンシェル」の機能を強化したようなサービスで、アプリの形で提供されるため、ドコモの契約者でなくても使える(無料で取得できるドコモの「dアカウント」が必要)アプリという形式で提供されているのが特徴です。この「my daiz」について、担当者の方にお話をうかがいました。
お話をうかがったのは、コンシューマビジネス推進部の関﨑宜史エージェントサービス担当部長、近藤佳代子エージェントサービス 第一エージェントサービス担当課長のお2人です。
――まずサービス名称である「my daiz」についておうかがいします。この綴りは独特ですが、どういう意味を持たせているのでしょうか?
【近藤さん】まず発音の面で、お客様の日常に寄り添うサービスであるということで「マイデイズ」というものがあって、デイズの綴りは「ドコモAIソリューションズ(Docomo AI solutionZ)」という略を表しているんです。最後の「ズ」は本来「S」なんですが、ちょっとカッコつけた形で「Z」ということにしています。
――ユーザーそれぞれの毎日(my days)に寄り添うドコモのAIソリューション、というダブルミーニングになっているんですね。サービスの概要をうかがった時には、ライバルはスマートスピーカーかな、という風に思ったのですが……。
【近藤さん】スマートスピーカーをライバルと思っている訳ではないんですが、スマートスピーカーは家の中で使われるものだと思うんです。「my daiz」は、お客様にとってより身近で、毎日持ち歩くスマホの特性を考えて、より日々の暮らしの様々な場面で使っていただくことを考えて作っています。
――これまで、御社で提供されてきた「iコンシェル」では、おなじみの「ひつじのしつじくん」というキャラクターが、ユーザーの様々な要望に答えたり、お知らせをしたり、という役割を担ってきましたが、「my daiz」では新しいキャラクターになりました。どちらかといえば無個性な、と言いますか、白くて四角い形に黒い目がポツンとあるシンプルな造形になりましたが、このデザインになったいきさつは?
【近藤さん】一応「my daizくん」という名前があるんですが、キャラクターのデザインについては、結構たくさんの候補があったんです。それこそ「ひつじのしつじくん」のような具象的なキャラクターもありました。ただ、具象的なキャラクターだと親しみは増すんですが、そのイメージが強くなってしまう部分もありまして……。サービスが広範囲にわたりますので、より柔軟に、例えば天気の情報ではお日様の形にして一目で判るようにする、といった表示をさせたい時には、あまり具象的でない方が適している、ということで、今回のキャラクターの形になりました。具象的でないことで特定のイメージではなく、もっと普遍的に、サービスに対するお客様のイメージを投影しやすくした、という感じですね。実際、反応を見てみると「コンセント」だったり、「とうふ」だったり、某住宅メーカーのマスコットみたいというような、様々なイメージを持たれているので、うまくいっているのではないかな、と思っています。
――サービスのイメージを特定のキャラクター像に象徴させるのではなく、さまざまな機能を投影しやすいように、あえてシンプルな造形にしてユーザーの「my daiz」像を投影しやすくした、という訳ですね。ある種「形態は機能に従う」モダンデザインの考え方みたいですね。
【近藤さん】デザイン検討の過程で、線や図形だけでそれが形を変えることでお客様にお知らせする、というくらいにまでシンプル化した案もあったんですが、そこまで行ってしまうとお客様が愛着を持ってくれないんじゃないか、ということで、目をつけてキャラクター性を少し持たせることに落ち着きました。
――目のように見えるパーツがあることで、人間は擬人化して愛着を持ってくれるようになりますしね。ここまでシンプルにして、具象的なキャラクター像を廃した形にしたということは、「ひつじのしつじくん」の時のように、季節に応じた衣装とか、そういった楽しみはなくなる感じなんでしょうか?
【近藤さん】まだサービスを開始したばかりなので、その辺りについては決めていない部分もあります。お客様の反応を見て……という感じですね。ただ、クリスマスやハロウィンなど、季節感を完全に排除する訳ではないので、今後の展開に期待していただければ、と思います。
――「my daiz」の起動方法なのですが、デスクトップアクセサリのように、ずっと常駐しているような感じなんですか?
【近藤さん】起動方法については5パターンありまして、それぞれの方法により、アクセスしやすい情報が変わります。例えば、ホーム画面にいるmy daizくんをタップすると「何かご用ですか?」とインタラクティブなパターンで起動します。my daizくんが形状を変えている時は、その情報がまず表示される仕組みです。電車の形をしていれば列車の遅延情報とか、または天気情報とか……という感じです。アプリアイコンをタップすると「NOW画面」という、お客様の今にぴったりな情報が一覧表示される画面がでて、そこから選ぶ、という感じになります。また、ロック画面に表示される情報をタップすれば、その情報にアクセスできますし、音声でも「my daiz」と呼びかけることでインタラクティブな形で情報検索が可能です。今得たい情報や、話し相手になってほしい……など、要望に応じて起動方法を選ぶことができますよ。
――ロック画面に表示させる情報というのは、メニューで選べる訳ですか?
【近藤さん】そうです。そしてロック画面に表示させると良くない個人情報に関するものとか……たとえば、銀行の残高確認やクレジットカードの請求額通知ができる「マネレコ」などは、パスワードを入力しないと見られないようにしています。
――ユーザーにとっては、情報が得られやすいのはもちろんですが、通信量の方も気になると思います。その点はどうなんでしょうか?
【近藤さん】おっしゃる通り、プッシュ通知に関しては通信を行うので、その分の通信量を使用してしまいます。これはWi-Fiにつなぐ頻度が多いなど、お客様の使用環境によっても変化するので一概には言えないのですが、それほど大きなデータ量ではありません。
――「定期測位設定」は、日頃の行動パターンから先回りしてユーザーにとって役立つ情報を提供してくれるというのは便利だと思うのですが、このパターンを学習するまでにどれくらいの期間が必要でしょうか?
【近藤さん】そうですね、利用する頻度にもよるんですが……一応の目安として数週間、とお話ししているんですが、私が実際に使った感覚で言えば、一週間で問題なく使えるようになりました。特に「傘が必要ですよ」といったものは、一週間ぐらいで十分な精度が得られました。
――これらの情報ですが、旅行や出張など、出かけた先ではどうでしょうか?
【近藤さん】生活圏と旅行先などでは得たい情報が違うので、その辺りは位置情報を基準に情報を出すパターンを変えています。生活圏では観光情報はいりませんが、旅行先では必要になりますから。
――個人的には、仕事の関係で色々な場所に取材に行く時があるんですが、鉄道の便が悪いところなどで、近くにバス停はないか、そこからどこ行きのバスが出ているか、などの情報もあると助かります。地域によってバス事業者や担当営業所が細かく分かれていたり、複数の事業者のバスが走っていたりで、結構調べるのが大変だったりするので……。
【関﨑さん】一応、メニューの深いところにあってなかなか探しにくいんですけども、バスの時刻表は入っています。……確かに、バス路線の情報というのも必要かもしれませんね。うまくサービスに取り入れられるように、検討してみようと思います。
――「my daiz」の情報提供元となる「メンバー」についてですが、現在は高島屋や日本航空など、まだ少なめですけれども、これからどれくらい増えていくのか、見通しはどのような感じですか?
【近藤さん】現在のところ、再来年の2020年には150サービスが提供できるような形で進んでいます。自治体からもいくつか問い合わせが来ていまして、行政サービスの情報なども将来的には提供できればと考えています。
――サービスが多くなると、プッシュ通知の選択などがまた大変ですね。例えば高島屋では、男性にとって女性向けコスメのフェアがお知らせされても困るでしょうし、逆に記念日のプレゼントでコスメを選びたい男性もいるかもしれないし……。
【近藤さん】その辺りは工夫していきたいと思います。単純に性別や年代といった切り分け方をするのではなく、趣味ですとか、横断的にグループを作って、そこにターゲット配信をしていくような……。
【関﨑さん】確かに、普段はその情報が必要ないけれども、必要な場合という場面もありますね。うまく取り込んで効果的な配信ができるよう、検討していこうと思います。
――これらのプッシュ配信の元になるのは、やはりユーザーの反応によって精度を上げていくような形でしょうか?
【近藤さん】そうですね。インタラクティブなサービスなので、お客様がどのように反応したか、ということを蓄積して、さらにおすすめする情報の精度が上がっていきます。
――いわゆる「WEB広告」の表示がユーザーによって変わるような感じでしょうか。
【近藤さん】それに近いような形で、必要な情報が届きやすいようになっています。設定と学習のハイブリッドになっていまして、コンテンツにフィードバック機能がついて、お客様の使い方に沿った形で進化していきます。
――使えば使うほど、スマホがより自分の生活に密着して、頼りがいのあるパートナーになっていく感じですね。
【近藤さん】サービスが開始以来、いい反応が届いていますので、これからの進化にも期待していただければ、と思っています。
スマホに常駐することで、より生活に密着した「パートナー」になってくれるAIアシスタント「my daiz」。これからさらに情報提供元となるメンバーが増えるとのことなので、様々な場面で活躍してくれることになりそうです。
取材協力:株式会社NTTドコモ
(咲村珠樹)
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