レジンでできた「猫水まんじう」が話題 「もちっとぷるるん」の見た目に騙されそう!
おたくま経済新聞 / 2018年7月11日 14時47分
やまざきうなむー(Twitter:@unamuu2014)さん提供
貝猫商事として創作活動をしているやまざきうなむーさんの作品「猫水まんじう」がTwitterで話題を呼んでいます。
ちょっと笑った猫の表情がなんとも愛らしい「猫水まんじう」ですが、葛餅で出来ていると思いき、レジン(樹脂)で作られた水まんじゅう。でぷんっとした半透明の体の中からちょっと餡子の色が透けて見えるところも、水まんじゅうそっくり!……というか美味しそう。Twitterでもほとんどの方がその本物と遜色ない作りに動揺を隠せないようでした。
貝猫商事の夏の新作、「猫水まんじう」の試作を重ねております。
あんこの色を調整中です。 pic.twitter.com/d7icvVpJyP
— やまざきうなむー (@unamuu2014) July 6, 2018
こちらの「猫水まんじう」は、やまざきうなむーさんが「TANDEM TWIN」名義で参加する2018年7月29日開催のワンダーフェスティバル(千葉 幕張メッセ)で初お目見えするそうです。
以降は、10月21日にゃんともニャンズマーケット(大阪 京セラドーム)、10月28日ニャンフェス (東京 都産貿台東館)、12月16日トレジャーフェスタNEO(東京ビッグサイト)と、にゃんだフルな数々の展示会に出品予定とか。
そんな猫をモチーフに日々精力的に創作活動をしているやまざきうなむーさん。どうやったらこんな作品を作れるの? どんな人が作っているの? と気になることを余すところなくご本人に聞いてきました。
――手作りとは思えないほど精巧ですが、どのように制作されているのでしょうか?
制作方法はまずポリエステルパテ(通称ポリパテ 自動車版金用のパテです)で、原型を作ります。表面を綺麗に均して、サーフェイサー(塗装する前の下地塗料)を吹き付けて仕上げ、原型の完成です。後の丸い部品は餡子になります。それぞれの部品をシリコンで型取りします。アンコの型に茶色のレジンキャストを流して注型をし、複製品を作ります。
ポリエステルパテで原型をつくる
サーフェイサー(塗装する前の下地塗料)を吹き付けて仕上げ、原型の完成
部品をシリコンで型取り
――本物かと間違うくらいすごい作品ですね。さわり心地はどんな感じなんでしょうか?
レジン製なので固いです(笑)。
動物型まんじゅう
動物型まんじゅう その2
――レジンとは、通常どのようなものに使われているのでしょうか?
レジンキャストと言うものなのですが二液混合性の樹脂になります。A液とB液を混ぜるとプラスチックのように固まります。主にガレージキットと呼ばれる模型分野でよく使われる材料です。通常はA液とB液を混ぜた後にシリコン型に流し込んで鋳物のように複製品を作ります。
――そのレジンという素材が透明になるんですね。水まんじゅうだと少なからず気泡が入ってしまうと思うのですが、レジンはそのようなことはないのでしょうか?
普通は気泡が入ってしまいます。私はレジンをシリコン型に流した後に「加圧鍋」と言う装置に入れて空気を入れてシリコン型全体に加圧します。そうすると気泡が圧力に押し込まれて目立たなくなるのです。
――そんな技があるんですね! 知りませんでした。
先にお話したとおりにアンコは別の部品で作られています。そのアンコの部品を猫まんじゅうのシリコン型の中に針金で吊り下げて注型しています。
――では、外側に水まんじゅうの部分が液状のうちに針金で吊り下げて、中まで餡子を押し込むといったカタチでしょうか?
シリコン型の中にあらかじめ餡子を吊るしておいてから透明のレジンを流し込んでいます。レジンはシリコン型の上に開いている四角い穴から流し込みます。
四角い穴――ちょうど水まんじゅうの中心にあんこを配置するのは、難しくなかったですか?
アンコの位置の調整と葛に見立てたレジンの着色にとても苦労しました。葛の色が白すぎるとアンコが見えなくなるし、透明が過ぎると気泡が目立つようになったりと幾つも試作を重ねました。
――そうなんですね。すごい大作ですが、やまざきうなむーさんは普段から創作活動で生計を立てられている方なのでしょうか?
いえ、本職が別にあります。動物の形をしたまんじゅうを趣味で作っております。それらのアイテムをイベントで売っています。ウチには保護猫が沢山いるので猫達のゴハン代とか病院代の足しにしています。
――こちらも、本物のまんじゅうに見えますね。では、保護猫さんたちをモデルに作品を考えたりされているんでしょうか?
ヒントにはなっているかもしれません。後は動物園に行って動物を眺めている時にアイデアが浮かんだりします。これはハシビロコウのまんじゅうです(笑)。
――手で作る温かみがあっていいですね。実際、やまざきうなむーさんの作品をご購入された方はどのように使用されている方が多いのでしょうか?
こう言う作品は左右対称のきっちり出たデジタル造形よりも多少歪んだアナログの方が愛嬌がありますよね(笑)。
まんじうシリーズの底面には磁石が仕込んでありますので冷蔵庫のメモ止め等に使っていただけますが、大半のお客様はご家庭や仕事場のデスクに飾って楽しんでいただいているようです。会社のデスクのライトの支柱にくっ付けて飾っている人もいましたよ。紅白の猫まんじうは結婚式の時に飾ってくれたお客様もいらっしゃいました。
――やまざきうなむーさんにとって、猫の魅力的なところはどんなところですか?
もともとはガレージキットフィギュアの原型師を長年しておりましたのでポリパテやレジンキャストは慣れ親しんだ素材だったのです。猫は…気が付いたらもう生活の一部ですね。全部が可愛らしいと思います。捨てられた猫などはほっておけない性分なのでどんどん猫が増えました(苦笑)。
現在は、ガレージキットフィギュアの原型師の仕事とは畑違いの仕事をしているというやまざきうなむーさん。フィギュアの世界にも現代の波が押し寄せているようで、やまざきうなむーさん曰く「今の原型師さんはデジタル造形が主流になっています。盛ったり削ったりのアナログな造形はもうマスプロの世界では通用しないのかもしれませんね。私はオジサンなのでデジタル造形は理解出来なくて(笑)」とのこと。
しかし、さまざまなモノが機械化されていく中で、相反して手作りのものに惹かれるのは、一見同じように見えても少しずつ違う、そこに人は魅力を感じているのかもしれませんね。
<取材協力>
やまざきうなむー(Twitter:@unamuu2014)
(黒田芽以)
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