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安心お祓い済み!はとバス恒例「怪談バスツアー」体験してきた

おたくま経済新聞 / 2018年7月13日 9時37分

安心お祓い済み!はとバス恒例「怪談バスツアー」体験してきた

怪談噺

 夏といえば怪談。はとバスでは毎年「怪談バスツアー」というのが好評なんだそうです。その怪談ツアーが始まるのを前に、関係者が「東海道四谷怪談」で知られる四ツ谷の於岩稲荷田宮神社を参拝し、ツアーの安全祈願をしました。その様子と怪談バスツアーで行われる「怪談クルーズ」を、何かと怪談に縁のある記者が体験してきましたよ。

 たまたま有名な怪談「番町皿屋敷」の舞台や「真景累ヶ淵」の舞台に近いところに住んだり、そのほかにもまぁ色々と……、何故か怪談に縁のある筆者。そのせいか編集部から「怪談バスツアー」取材を仰せつかりました。

 まずやってきたのは、鶴屋南北作の怪談「東海道四谷怪談」の舞台、田宮家の跡にある於岩稲荷田宮神社。余談ですが筆者、この近くにあったラジオ局で仕事中、怪奇現象らしきものを体験したことがあります……。


 今年で90歳を迎えるという、お岩さんの末裔である宮司さんによって、ツアー関係者のお祓いが行われます。実際のお岩さんは賢妻として知られ、家が栄えたのでそれにあやかって家中の稲荷神社に参拝する人が多かった……というお話。「東海道四谷怪談」はお岩さんの時代から200年ほど経って、鶴屋南北が「仮名手本忠臣蔵」の外伝(スピンオフ)という形で書いた歌舞伎狂言なのです。そして、それを下敷きにして三遊亭圓朝が創作したのが、怪談噺の「四谷怪談」。境内には江戸時代からある井戸もあります(通常非公開)。


 とはいえ、賢妻だったとしたら、余計に怪談の主人公にされてるのはお岩さんに悪いですよね。お怒りにならないよう、バスガイドさん達が玉串を奉奠し、お祓いしてもらいます。

 お祓いが済んだ一行は、複数ある怪談バスツアーのコースの一つ、「怪談クルーズ」を体験するために日本橋へと移動します。移動はもちろんはとバス。筆者、実ははとバス初体験です。

 四谷から日本橋までの道中は、ちょうど国会議事堂や皇居など、東京の名所を通過します。はとバスの観光案内を少し披露してくれました。ちょっと気分は東京観光な感じです。

 日本橋からは船に乗り換え、怪談クルーズに出発です。日本橋船着場は2011(平成23)年4月に作られたもの。

 日本橋から日本橋川を下り、日本橋水門をくぐって、亀島川へ。ここには1904(明治37)年に原龍太の設計で架設された両国橋の中央部を1932(昭和7)年に移した南高橋があります。東京都内では、現存最古の鋼製トラス道路橋。2016年には土木学会選奨土木遺産にも認定されています。

 亀島川から隅田川へ入り、流れをさかのぼっていきます。永代橋の向こうに東京スカイツリーが見え、川面の景色も新鮮。新大橋のあたりから引き返し、福田武雄の設計で1927(昭和2)年に完成した、日本最古のフィーレンディール橋である豊海橋から日本橋川へ。辺りが暗くなってきたので、とある橋の下に入り、いよいよ怪談噺の開始です。

 船の舳先に設けられた見台付きの高座で演じられるのは、落語中興の祖である大名人、三遊亭圓朝作「もう半分(五勺酒)」。

 この「もう半分」の舞台となるのは、永代橋(小塚原刑場近くの千住大橋として口演する噺家もいる)。さっき通った場所で起こる怪奇な因縁を巡る怪談です。舞台を見て、しかもその死体が浮かんでいたという隅田川を船で通ってきたわけですから、臨場感は最高。

 怪談噺の口演が終わり、日本橋へと戻ります。川の上を血管のように張り巡らされた首都高速道路は、外国人観光客にとってはサイバーパンクSFのようで好評なんだとか。

 宵闇にライトアップされた日本橋へと帰ってきて、ツアー体験は終了。なかなかいい経験になりました。

 はとバスではこの他にも、三遊亭圓朝の墓所、谷中全生庵で圓朝が生前コレクションした円山応挙の幽霊図(脚のない幽霊を描いた最初期のもの)などを鑑賞するツアーや、「振袖火事」こと明暦の大火で亡くなった10万人を超える人を供養するために建立された両国の回向院で怪談を聞くツアー、気象庁近くにある将門の首塚(将門塚)を訪ねるツアーなどがあるそうですよ。

取材協力:株式会社はとバス

(咲村珠樹)

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