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宇宙生まれのタイヤができるかも? グッドイヤーが国際宇宙ステーションで材料実験

おたくま経済新聞 / 2018年7月25日 14時30分

宇宙生まれのタイヤができるかも? グッドイヤーが国際宇宙ステーションで材料実験

アポロ計画の月面車用タイヤ(Image:GOODYEAR)

 2018年7月24日(アメリカ西部時間)、アメリカの大手タイヤメーカー、グッドイヤーは、国際宇宙ステーションのアメリカ実験モジュールで、タイヤ素材の実験を行うと発表しました。これはアメリカ政府の宇宙先端科学センター(CASIS)の実験テーマにグッドイヤーが応募し、それが採用されたものです。
※見出し写真:アポロ計画で使用された月面車用タイヤ(Image:GOODYEAR)

 グッドイヤーと宇宙のつながりは深く、初めて地球外で使用されたタイヤ(アポロ14号の月面活動で用いられた機器運搬車用タイヤ)はグッドイヤー製です。

月面に残されたアポロ14号の機器運搬車(Image:NASA)

 アポロ15号〜17号で使用された月面車のタイヤもグッドイヤー製。グッドイヤーは初めて地球外で使用されたタイヤと、初めて地球外で使用された自動車用タイヤを作ったメーカーなのです。

月面車用タイヤの製造風景(Image:GOODYEAR)

 グッドイヤーが行う実験は、タイヤ素材のうち補強材のシリカ(二酸化ケイ素)に関するもの。シリカはエコタイヤに多く使われており、タイヤの変形に伴う発熱を抑えてエネルギーロス(いわゆる「転がり抵抗」)を低減する作用があります。一般の生活に使われているものでは、除湿剤のシリカゲルや、最近バスマットやコースターなどの商品が販売されている珪藻土の主成分としてよく知られています。

 シリカは圧力や温度などの条件によって、その結晶の形が様々に異なるという特徴(結晶多形)があります。水晶もシリカの結晶ですが、これも結晶する温度によって四角形と六角形という、異なる形の結晶となるのです。

 この結晶の形が、国際宇宙ステーションの微小重力環境ではどのような変化を見せるのか。その中で未来のタイヤ素材として性能のいいものはないか……ということを実験を通して調べるというのが、今回の目的となります。すでに地上での予備実験では、微小重力下で今までにない形状の結晶ができる可能性が示唆されているといいます。

 実験装置は今年の後半に、宇宙ステーションへの補給船で打ち上げられる予定。首尾よく特徴的な結晶が得られれば、これまで以上に燃費性能(低い転がり抵抗)と走行性能(高いグリップ力)という相反する条件を高いレベルで両立したタイヤが生まれるかもしれません。

Image:GOODYEAR/NASA

(咲村珠樹)

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