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アメリカ空軍が新たな軽攻撃機採用に向け2社に基本提案依頼書を提示

おたくま経済新聞 / 2018年8月8日 16時0分

アメリカ空軍が新たな軽攻撃機採用に向け2社に基本提案依頼書を提示

アメリカから供与されたアフガニスタン空軍のA-29。アメリカ時代の番号が薄く残る

 2018年8月6日(現地時間)、アメリカ空軍は新たな軽攻撃機採用に向けた基本提案依頼書(DFRP)をシエラ・ネヴァダ/エンブラエルとテキストロン・アビエーションの2社に提示しました。より安価で効果的な地上攻撃機を求めるもので、現在も中東で継続中のテロとの戦争など、部隊規模の小さい非正規武装組織を相手にした戦いに投入することを目的にしています。

 現在、アメリカ軍が中東で継続して行なっている「テロとの戦い」で、空軍は武装組織と交戦する地上部隊の援護のため、上空からA-10やF-15E、F-16などの航空機で火力支援(CAS)を行なっています。しかし、これらの航空機は運用コストが高く、撃墜されはしないものの事故による墜落など損耗の可能性もゼロとはいえないので、相手にしている部隊規模からすると、予算面では少々過剰な装備といえます。

 これより下となると攻撃ヘリコプターや無人機が考えられますが、空軍では攻撃ヘリコプターを保有していません。また、無人機は遠隔操縦のため、運用者は限られた情報をもとに攻撃を行わざるを得ず、誤爆や同士討ちの危険があります。パイロットが瞬時に判断できるという有人機の利点は、まだまだ高いのです。

 このため、取得を含めた運用コストが安上がりで、より経済的な地上攻撃機が求められるようになったという訳です。かつてベトナム戦争で、アメリカはOV-10ブロンコなど、ゲリラなどの小規模な地上目標に対して攻撃を行うCOIN(COunter INsurgency)機を運用し、一定の効果をあげていました。テロとの戦いで、またCOIN機のコンセプトが陽の目を浴びるようになったのですね。

フィリピン空軍で現役のOV-10ブロンコ

 今回基本提案依頼書を提示した2社では、すでにこの種の軽攻撃機の母体となる飛行機を製造しており、軽攻撃機として使用されているものがあります。

 シエラ・ネヴァダ/エンブラエルでは、エンブラエルが開発したターボプロップ練習機EMB-314スーパーツカノに、地上からの攻撃に備えた増加装甲をつけ、軽攻撃機化したタイプがあり、アメリカ空軍はA-29として採用し、アフガニスタンなどに航空戦力として供与しています。

夜間出撃準備をするアフガニスタン空軍のA-29
レーザー誘導爆弾を携行してアフガニスタン上空を飛ぶA-29

 テキストロン・アビエーションでは、アメリカ空軍の初等練習機として、スイスのピラタスPC-9を母体にしたターボプロップ機のT-6テキサンIIを納入しています。原形機のPC-9はスロベニアなどで軽攻撃機として採用されており、このような軽攻撃機型であるAT-6Bウルヴァリンを作り上げています。

アメリカ空軍のT-6

 ヘザー・ウィルソン空軍長官は「空軍は過激派に対抗するため、より安価な戦力を確立しなければなりません」とコメントし、すでに候補となるシエラ・ネヴァダ/エンブラエルA-29、テキストロン・アビエーションAT-6Bウルヴァリンの飛行試験を通じて、今回の基本提案依頼書を作成したと述べています。

 最終提案依頼書(RFP)は2018年12月に提示される予定で、現在最終的な要求性能の調整が進められています。A-29スーパーツカノとAT-6Bウルヴァリン、非常によく似た見た目と性能を持つ機体だけに、どちらが最終的に採用されるのか、注目です。

Image:USAF

(咲村珠樹)

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