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「煙のない音楽フェス」に挑んだサマソニ2018レポート

おたくま経済新聞 / 2018年8月21日 12時0分

「煙のない音楽フェス」に挑んだサマソニ2018レポート

煙のない音楽フェスへ

 今年も多くの夏フェスが開かれましたが、2000年から毎年開催している都市型ロックフェス「SUMMER SONIC(サマソニ)」で、「煙のない音楽フェス」という、ちょっと面白い取り組みを行うという情報がリリースされてきたので、その様子を見に行ってきました。

 毎年夏、東京(千葉・幕張)と大阪(舞洲)で開催されている都市型ロックフェス「SUMMER SONIC」。「サマソニ」の愛称で親しまれている夏フェスですが、毎年数多くのアーティストと、大物ヘッドライナーの登場で注目を集めています。2018年8月18日・19日に開催された今回は、元オアシスのノエル・ギャラガー率いる「NOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS」と、アメリカの音楽シーンを代表する「BECK」が日替わりでヘッドライナーを務めました。

 取材にやってきたのは8月18日の東京会場。千葉市のZOZOマリンスタジアムと幕張ビーチ、そして幕張メッセに大小7ステージが設けられ、実に60組以上ものアーティストがライブを行いました。

 まずお話をうかがったのは、今回「煙のない音楽フェス」という取り組みについて、サマーソニックの主催者である株式会社クリエイティブマンプロダクションの小池邦彦マーケティング部/運営部統括部長と、協力するフィリップ モリス ジャパン合同会社の坂牧真美マーケティング&コミュニケーションズ担当のお2人。

坂牧さん(左)と小池さん(右)

 小池さんによると、音楽フェスというものはお酒とたばこというものが付き物になっていて、たばこに関しては非喫煙者に配慮し、喫煙所を設けて分煙を図っているけれども、屋外ということもあり、どうしても出る煙によって完全な分煙ができなかったといいます。非喫煙者も喫煙者も一緒に楽しめる音楽フェスを考えたときに、まずは非喫煙者のことを第一に、その上で喫煙者への環境を整えていくべきだと思い、従来の紙巻きたばこから加熱式のたばこへ移行して共存する方法を模索していたところ、フィリップ モリス ジャパンとSUMMER SONICの思いが一致して、今回の取り組みに至ったといいます。小池さんも喫煙者で、紙巻きから加熱式に切り替えたところ、紙巻きたばこの煙が気になるようになり、非喫煙者の気持ちが判るようになったとのこと。

 フィリップ モリス ジャパンの坂牧さんによると、現在同社における紙巻きたばこと加熱式たばこ「IQOS」の販売量はほぼ半々になっているとのこと。フィリップ モリス ジャパンとしては紙巻きから加熱式へのスイッチングを促進したいと考えており、加熱式たばこを経験したことのない喫煙者の方にIQOSを経験してもらう機会を設けたいという意図があったといいます。加熱式はたばこ葉を燃やす紙巻きに比べて有害物質の発生が約90%削減でき、喫煙者の健康被害を低減できるとともに、有害な副流煙を外に出さないために非喫煙者への影響も抑えられることから、喫煙者を守る有効な選択肢だと考えているそうです。

 どちらも考えているのは、非喫煙者と喫煙者が不快な思いや無理をすることなく、お互いに共存できる音楽フェスということ。今回会場内に加熱式たばこIQOSを無料でレンタルできるステーションと、IQOS専用の喫煙所を設け、喫煙者が気軽にIQOSを試すことができるようになっています。

 レンタルができるステーションでは、現在発売されている7種類のヒートスティックをテイスティングしてもらい、自分の好みに合ったものを選んでもらいます。そしてそのヒートスティック1箱と、IQOSのキットをレンタル。会場内の「IQOS SPOT」と名付けられた専用の喫煙所で楽しんでもらい、帰る際にキットを返却していもらいます。もし気に入ったら、会場限定の特別価格でIQOSのキットが購入できる仕組み。



 すでにIQOSのユーザーとなっている人に対しては、同じく会場内のサービスステーション(レンタルステーションも併設)で、キットのクリーニングなどのメンテナンスや充電サービス、キットへの刻印サービスを実施。キットやアクセサリーの販売も行っていました。


 実際にIQOS専用の喫煙所に行ってみると、会場外に設けられた紙巻きたばこ用の喫煙所が、遠くから見ても煙でモウモウとなっているのに対し、近づいて手元を見てみないとたばこを楽しんでいるとは判りませんでした。使い終わったヒートスティックは、回収ボックスに入れる仕組み。灰皿のように頻繁な清掃が必要がないのも、管理する側にとっては楽かもしれません。


 さて、本題の音楽フェスの部分ですが、豪華かつバラエティ豊かなアーティストが次々に登場するので目移りしてしまいます。ステージのタイムスケジュールとステージ間の移動距離を考えないと、ちょっと大変。移動するファンの中には、今日のヘッドライナーであるノエル・ギャラガーにちなんで、オアシスのTシャツを着ている人をよく見かけました。

 また、熱中症予防に、会場各所にはミストシャワーを設置。ウォーターミストを振りまくトラックも会場を巡回していました。

 一番幕張らしさを味わえたのは、幕張海浜公園の砂浜に設けられたBEACH STAGEだったかもしれません。浜辺の風を感じながら楽しむライブは格別。筆者の個人的に好きなアーティストも出ていたので、ちょっと仕事を忘れて聴き入ってしまいました。



 サマソニで楽しめるのはロックやジャズだけではありません。幕張メッセ内に設けられたJUNGLE STAGEでは、アイドルや声優ユニットによるライブも行われました。中でも日本各地の温泉をキャラクター化したメディアミックスプロジェクト「温泉むすめ」から誕生した茜屋日海夏さん(伊香保温泉:伊香保葉凪役)、小澤亜李さん(嬉野温泉:嬉野六香役)、山下七海さん(城崎温泉:城崎亜莉咲役)、鈴木絵理さん(伊東温泉:伊東椿月役)による声優ユニットpetit corolla(プチコローラ)は、これが初ステージ。いきなりのフェスデビューでしたが、集まったファンの声援に応えて一体感のあるステージを見せていました。

 フェスといえば、そこで食べられる様々なメニューも注目です。サマソニでは「ソニ飯」と称して、数多くのメニューが提供されていました。フルーツが載ったかき氷や、定番の焼きそば、ガッツリいきたい人向けの肉メニューなどなど。中にはカフェや、ハンドトスで生地を伸ばす本格的なピザもありました。





 もちろん、飲み物も多彩。オフィシャルのバーのほか、アルコールやソフトドリンク、翼が欲しい人のためのドリンクなどがオフィシャルショップを出して、それぞれ販売していました。さらにはアパレルのブースもあります。


 音楽だけでなく、様々なものがあるのもサマソニの特徴。子供連れの来場者が楽しめるキッズスペースや、ワイヤレスヘッドホンで楽しむ「SILENT DISCO」、ライブでアート作品を制作する「SONICART」、麻雀などが楽しめる「SONIC VEGAS」といったコーナーも。





 変わったところでは、会場でイメージチェンジができる床屋さんや、疲れた体を癒やす整体まであるんです。1日いて飽きることがないですね。

 そんな盛りだくさんの1日を締めくくるのが、ZOZOマリンスタジアムに設けられたMARINE STAGEに登場したNOEL GALLAGHER’S HIGH FLYING BIRDS。ノエル・ギャラガーのボーカルとステージングに、観客は酔いしれていました。

 今回「煙のない音楽フェス」という取り組みを行ったSUMMER SONIC。非喫煙者も喫煙者も無理なく楽しめるという点では、非常に興味深いもの。子供連れの来場者も目に付いたので、他のイベントにも広がってほしいと感じさせるものでした。

取材協力:フィリップ モリス ジャパン合同会社/株式会社クリエイティブマンプロダクション

(咲村珠樹)

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