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震災に便乗した迷惑メールにご注意を!地震速報にみせかけたものから救援物資募集まで

おたくま経済新聞 / 2018年9月7日 12時30分

震災に便乗した迷惑メールにご注意を!地震速報にみせかけたものから救援物資募集まで

震災に便乗した迷惑メール

 2018年9月6日午後3時ごろに発生した「北海道地震」。最大震度7、各地で土砂崩れや地盤の液状化現象、家屋の倒壊など多くの被害が出ており、死傷者のほか20名以上の安否不明者も出ています。また、発電所の被災により現在でも停電している地域が多くみられ、さらに最大で震度7の余震が発生する可能性も懸念されています。

 そんな災害時において毎度発生するのが、震災に便乗した詐欺。2011年に発生した東日本大震災の時も直後から発生していますが、今回の「北海道地震」でも発生直後からわずか数時間後には、震災に便乗した「迷惑メール」が無差別に送られています。

 実は筆者、いままであまり人には話したことがなかったのですが、この20年ほど「迷惑メール」や「詐欺メール」を読んだり集めたりすることを無駄に趣味にしています。最近ではキャリアやメールサービスのフィルタリングが強化され、そこまでおかしな迷惑メールが届くことはあまりないのですが、今回のような大きな災害の後には悪質な詐欺メールが届くことがあります。2011年の東日本大震災のおりにも注目されましたが、その内容は「地震速報」にみせかけるものであったり、「救援物資」をもとめるもの。ほかにも「募金」を求めるものもあります。

 こうした「便乗迷惑メール」は過去新聞などでとりあげられある程度認知されてはいますが、それでも今回の北海道地震発生後にも筆者のもとに2通も届きました。しかも便乗したものの内1通は、発生わずか4時間後の7時台に受信。筆者のこの趣味は普段は役に立たない無駄趣味ですが、もしかしたら今こそ役立つのでは?と思い、実際に届いた物を添えて紹介していきます。

■ 地震速報にみせかけた例

 実際にとどいた1通目が見出し画像のもの。差出人は「地震ニュース」、件名は「■土砂崩れの恐れアリ■」とだけかかれ、あとは本文からリンクで何らかのページに誘導しようとしています。

 冷静に見ると「詐欺」とすぐ疑うような内容のものですが、発生後わずか数時間後という状況を考えると、登録した心当たりのない送信先だったとしても、地震後のあわてた状況下で情報の少ない被災者の人や、ネット慣れしていないお年寄りの方の場合には、ついリンクを踏んでしまう人は少なくないでしょう。

■ 人の善意につけこむ例

 他にも発生から約16時間後の夜6時台には、今度は「佐川宅配」を名乗る発信者から「物資ご提供依頼」といういかにも救援物資を募集していますといった趣旨のものがとどきました。

 こちらは本文に「救援受付」という言葉とともに誘導リンクが張られています。これらは、被災地外の人へ向けた詐欺メールですね。「被災地の人たちに何かしてあげなきゃ!」という思いにつけ込むものです。しかしこれも冷静に見れば送信者は「佐川宅配」。よく知られる「佐川急便」とは名前が違います。

 なお、届いたどちらも送信アドレスなど調査しましたが、ドメインはごく最近つくられたものであり、後者の「佐川宅配」については、当たり前ですが「佐川急便」とは全くの“無関係”でした。

■ リンクを踏むとどうなるの?

 これらの詐欺メールは、記載したURLを踏ませフィッシング詐欺サイトに誘導する(誘導後に個人情報やカードの登録が求められるケースがほとんどです)、添付ファイルがある場合には、添付ファイルを開かせウィルスに感染させること等を目的にしています。どちらにせよ触っていいものではありません。

 このため、もし届くことがあったら、「リンクは踏まない(クリックしない)」「添付は開かない」ということを徹底するのが最大の防御ですが、内容が内容ゆえにもし開いてしまった場合には、まず個人情報の登録をもとめられたら無視。後にWi-Fiなどネット環境を一旦切って、セキュリティソフトで念のためスキャンをかける。添付ファイルを開いてしまった場合にも同じ対応を。その上で、さらに念のため「最寄りの消費生活センター」や「迷惑メール相談センター」などに相談をしてみてください。

■ ネット世代の子や孫よ、今こそ出番だ!

 この手の詐欺は、ネットを普段から使いこなしている人は比較的引っかかりにくいものとなっていますが、国民生活センターが2017(平成29)年に発表した資料によると、2012年度~2017年度にうけた迷惑メールに関する相談のn=170,211件の内、世代別では40歳代(23.5%)が最も多く、50歳代(20.3%)、60歳代(19.6%)と続いています。パソコンなどネット慣れしている40代でも結構引っかかるようです。

 しかし、年度別の推移でみると、2015年度以降、50歳代、60歳代、70歳以上の割合が増加。特に高齢者の場合には、自分が詐欺に引っかかったと気づかず、その後、被害に被害を重ねるケースもあります。

 もし家族の中で、ネットにちょっとうといかも?という家族がいたら、念のために「こういう詐欺あるから注意してね」その一言声がけだけでも詐欺被害を防げることがあります。

 また、パソコンやスマホに詳しい子や孫は今こそ出番です。親や祖父母に会ったときにでも「ちょっと見せてね」と、不審なアプリはないか、おかしなメールが届いてないかなどチェックしてあげるといいかもしれません。特に、祖父母世代は被害にあったことに気づいても「恥ずかしい」と思い、隠してしまうケースもあるようです。「大切な家族を被害にあわせない」、「被害を拡大させない」ためにもぜひサポートを申し出てみてください。

 なお、被害にあった、迷惑メールが届いてどこかに相談したいという場合には、先に紹介した「最寄りの消費生活センター」などが受け付けていますが、「そもそも番号がわからない!」という場合には、全国共通の「消費者ホットライン」に一度かけてみるといいでしょう。最寄りの相談窓口を案内してくれます。番号は「188(いやや)」です。

<参考>
独立行政法人国民生活センター「心当たりのないメール・SMSには反応しないで! 」(PDF)
消費者庁「消費者ホットライン」
迷惑メール相談センター

※画像は編集部で一部モザイク処理をおこなっています。

(宮崎美和子)

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