相原実貴の「ホットギミック」 山戸結希監督、堀未央奈主演で実写化
おたくま経済新聞 / 2018年9月25日 6時0分
映画「ホットギミック」主要キャスト
揺れ動く女性心理を詩的な映像表現で描き出し、見る人の心に強い印象を与えることで定評のある映像作家、山戸結希さん。メジャーデビュー作となった「溺れるナイフ」以来となる、待望の劇場最新作が動き始めました。2019年公開予定となるその作品は、相原実貴さん原作の「ホットギミック」。主演は、これが映画初出演となる乃木坂46の堀未央奈さんです。
女性、特に感受性が鋭く尖りゆく年代である少女の心を巧みなカット割りと空間表現で描写し、心に直接語りかけてくるような映像を撮ることで知られる山戸結希監督。大きな話題を呼んだ2016年のメジャーデビュー作「溺れるナイフ」以降、様々なメディアで作品が発表される中、新たな劇場用の長編作品が待ち望まれてきました。
そんな山戸監督が劇場用作品として手がけるのが、相原実貴さん原作の「ホットギミック」。原作は2000年~2005年に「Betsucomi」(小学館刊)で連載され、既存の少女まんがの枠を超えた“重い”テーマ設定で、連載中だけでなく完結後も読者に強い記憶を残す作品です。
企画が動き出したのは、メジャーデビュー作となった「溺れるナイフ」以前のこと。2014年12月に「おとぎ話みたい」(MOOSIC LAB 2013 グランプリ作品)完全版を鑑賞した当時東映の若手社員だった現プロデューサーの2人が、その濃密な世界観に衝撃を受けて、衝動的に山戸監督と連絡を取ったことから始まります。「若者の胸に突き刺さる鮮烈な、新しい時代の青春映画を作りたい」という情熱が合致し、本作の企画が進んでいったといいます。
3人の男性がストーリーの進行に伴って少しずつ立場を変え、その間で思いが揺れ動く主人公の少女、成田初(なりた・はつみ)には、これが映画初主演となる乃木坂46の堀未央奈さん。乃木坂46の14thシングル「ハルジオンが咲く頃」のMVを山戸監督が手がけた際、みずみずしい存在感が印象に残り、キャスティングの過程で存在が浮上。映画初出演にも関わらず、主演の大役を任されることになりました。
堀未央奈さん堀未央奈さんは「私自身、映画は初主演と言う事で不安な気持ちはありますが、クランクインして、監督の演出、共演の皆さんとのお芝居、その1つ1つの撮影が本当に楽しいです。実は人見知りなので、最初は現場に溶け込めるか不安でしたが、共演のみんなも年が近く話しかけてくれるので、ほっとしています。 元々、山戸監督とは、乃木坂46のMVでご一緒したことがありましたし、作品もいくつか拝見していました。ずっと、もっと一緒にお話ししてみたいなと思っていたのですが、今回、撮影が始まる前に2人でじっくり話せる機会がありました。この映画にかける思いを本気で話すことができ、カメラの前に私がいる時の気持ちも、汲み取ってくれているんじゃないかな?と、思っています。 原作は、凄く面白い作品。誰かと付き合っていたとしても、ほかの誰かに気持ちが迷ってしまう事、誰にでも起こりうることじゃないかなと思っています。そんな初のリアルな心情、心の揺れを新鮮にリアクションしていきたいです」 と、映画初主演の意気込みを語っています。
初の周りでそれぞれ思いや痛みが交錯する男性キャラクター3人には、映画界で注目の男性たちがキャスティングされました。初の住む社宅におけるヒエラルキーで最上位である幼馴染、橘亮輝(たちばな・りょうき)には、映画「渇き。」(2014年)で注目を集め、「ソロモンの偽証」(2015年)、「ちはやふる」(2016年)と立て続けに話題作に出演する演技派、清水尋也さん。そして、ある複雑な思いを抱くもう一人の幼馴染である小田切梓(おだぎり・あずさ)には、人気ヴォーカルダンスユニット「M!LK」のメンバーであり、映画「ソロモンの偽証」で準主役を務め、その後もドラマ「精霊の守り人」や映画「響-HIBIKI-」にも出演している板垣瑞生さん。初の優しい兄であるけれども、その生まれの秘密によって翻弄される凌(しのぐ)には、映画「全員死刑」で主演を務め、NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」にも出演する間宮祥太朗さんがキャスティングされました。
清水尋也さん(左)板垣瑞生さん(中)間宮祥太朗さん(右)原作の相原実貴さんは「映画館で、私が造ったキャラクターたちが動く世界を観せて貰える機会に感謝しつつ、漫画とはまた別の実写版ギミックを読者の皆さんと一緒に楽しみにしたいと思います」とコメントを寄せています。
自ら脚本も手がける山戸監督は、作品に寄せて「たったひとりの女の子のために、漫画を描き続けてきた相原先生の心の美しさに、せめてこの作品を作っている間だけは、どうか共鳴しながら、心から美しいと感じるキャストの皆さんを、その感覚そのままに、スクリーンに映し出せることを祈っています。 なにも良いことがないと地獄のような日々を生きている、たったひとりの十代の女の子が、近所のショッピングセンターの中にある シネコンに、ふらりと劇場に迷い込んだときに、たった一回出会えるような作品にしたいと願っています。たったひとりの十代の女の子へと、お手紙を書くように、この映画を撮りたいとずっと思っていました」というコメントをしています。
山戸結希監督登場人物それぞれの立場が変わりつつ、それによって翻弄されていく初の思いはどうなっていくのか。映画「ホットギミック」のクランクインは2018年9月中旬、そして2019年に全国公開の予定となっています。
情報提供:東映株式会社
(咲村珠樹)
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