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小学生の頃ノートに記した「人工こはく」を10年後に完全再現!

おたくま経済新聞 / 2018年9月25日 11時29分

小学生の頃ノートに記した「人工こはく」を10年後に完全再現!

画像提供:ニケルxpさん

 小学生の頃に考え出した「人工こはく」を大人になって、見事に完成させた人がいます。それが、このレジン工作者であり、化学を専攻している大学生のニケルさん。

 今までにも、ブログの工作日記では、ピアノの自動演奏ができる装置を作ってみたり、ジャガイモからデンプンを取り出しそれをお菓子のボーロにしてみたりと様々なことに挑戦してきました。

 今回ニケルさんが投稿したツイート「ぼくが小学生の頃に考えた「人工こはく」の作り方と、10年後に得られたソリューションです」が、瞬く間に40,000件を超えるリツイート、136,000以上「いいね」されるほど話題を呼んでいます。

ぼくが小学生の頃に考えた「人工こはく」の作り方と、10年後に得られたソリューションです。 pic.twitter.com/Bk6vCyjUP2

— ニケルxp (@ni28_xp) September 14, 2018

 リプライの中には「層と層の間に境界線がないのはすごい」「継ぎ目がないこと、色むらがないことにも驚きです」と、その品質の良さに感嘆する声も多くあがっていました。

 そもそも琥珀とは、古代の樹木の樹脂が固まってできた化石。本来なら地層の中で数千年から数億年もかけて化石化するものです。ちなみに、偽物かそうではないかを見分ける方法もあるそうで、飽和食塩水を作って、その中に入れて浮けば、琥珀、コーパル(若い琥珀)、スチレン樹脂でできたもの、ガラスやプラスチック、セルロイド、カゼイン、フェノール樹脂等でできたものは沈むそうです。他にも熱した鉄針を標本に当ててみたり、実際に傷をつけてみたりと確かめる方法は様々あるようですが 、ニケルさんが作った「人工こはく」は、レジン(合成樹脂)で出来たもの。

 この小学生のニケルさんが記したノートの中には、カップに水のり(液体)を入れて、乾かしてた後に、また水のりを入れて層にし、ありを入れて固めるといった工程が書かれており、小学生が考案したとは思えないほどの綿密さ。「人工こはく」が考案されてから10年後、忘れずに子どもの頃の構想を実現させたニケルさんにお話を伺いました。

――10年前の子どもの頃に思いついたとのことですが、何故それをレジンで再現しようと思ったのですか?

 ノートには水のりで作るアイデアを記していますが、それは実現性が無いのでレジンで作りました。

――レジン内に入れるセミの脱け殻は、どこで調達しているのですか?

 近所の森や緑地公園で採集しています。アブラゼミ、ニイニイゼミ、ツクツクボウシの抜け殻を主に集めています。

――製作時間はどのぐらいかかりますか?

 積層と硬化で2日、研磨で1日の計3日程度です。通常このサイズのレジン作品を作るには積層で1週間程度かかることもありますが、独自に研究して得た知見を駆使して2日に短縮し、量産を可能にしました。

――琥珀の色に近づけるためにどのような工夫をされているのですか?

 顔料の濃度と配合比の試行錯誤を重ね、この色が完成しました。

――作るために何か努力したことはありますか?

 脱泡技術や温度・圧力の制御など、ノート5冊分ほど実験を行い、同じクオリティの作品を量産できるように技術を完成させました。

――レジンに目覚めたきっかけのようなものはあったのでしょうか?

 いりこをレジンに固定した「いりこ標本」を作ったのがきっかけです。

――子どもの頃の発想から今現在に役立っていることはありますか?

 アイデアを思いついたときにメモしておき、機が熟したら実行する習慣は現在でも役に立っています。

=== ===

 今の時点では実現不可能なことも、あることをきっかけに後々役に立つこともあるんですね。そのためにも、日々様々なことにアンテナを張っておくことが一番必要なことかもしれません。

<取材協力>
ニケルxpさん(Twitter:@ni28_xp/Blog:http://nickelab.blog.fc2.com/)

(黒田芽以)

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