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尾白鷲ファントム最後の日米共同統合演習「キーン・ソード」始まる

おたくま経済新聞 / 2018年11月2日 16時4分

尾白鷲ファントム最後の日米共同統合演習「キーン・ソード」始まる

三沢基地を離陸する第302飛行隊のF-4EJ改

 2018年10月29日、恒例の日米共同統合演習「キーン・ソード」が始まりました。これは陸海空自衛隊とアメリカ軍(一部訓練にはカナダ海軍の艦艇が2隻参加)が共同で行う統合演習。主に日本への武力攻撃事態などにおける自衛隊の運用や、日米が共同して対処する要領を確認し、戦術レベルで日米両国の即応性や相互運用性の向上を図るもので、今年度自衛隊が参加する実働演習では最大の規模となります。自衛隊からは、オジロワシの尾翼マーキングで知られる第302飛行隊のF-4EJ改も参加して三沢基地に展開。F-35Aへの機種転換訓練が進み、オジロワシのF-4EJとしては最後の演習参加となる見込みです。

 1985年度に始まった「キーン・ソード」は、実働演習と指揮所演習を交互に実施しており、今回は14回目の実働演習となります。自衛隊からは陸海空合わせて人員約4万7000名、艦艇約20隻、航空機役170機が参加。アメリカ側は海軍の太平洋艦隊、第7艦隊、空軍の第374輸送航空団、第18戦闘航空団、第35戦闘航空団、海兵隊の第3海兵遠征軍に在日アメリカ軍、総勢約1万名の人員が参加しています。

 このうち青森県の三沢基地では、アメリカ空軍第35戦闘航空団(第13・第14飛行隊)と航空自衛隊の第3航空団、第7航空団が参加し、戦闘訓練と捜索救助訓練が行われています。茨城県百里基地の航空自衛隊第7航空団からは、第302飛行隊のF-4EJ改が参加。

 現在302飛行隊は、三沢基地の第3航空団隷下に新編された臨時F-35A飛行隊に人員を移して機種転換訓練を行っており、2019年度には臨時F-35A飛行隊を改称する形で新生「第302飛行隊」となってF-4EJ改の運用を終了する予定です。臨時F-35A飛行隊は、F-35Aの愛称“ライトニングII”にちなんで雷神をモチーフにした部隊章を使用しており、F-35A飛行隊としての第302飛行隊にそれが引き継がれるものとみられているため、多くのファンに愛されている垂直尾翼にオジロワシの姿を描いたF-4EJとしては、これが最後の日米共同演習への参加となる見込みです。

 またグアム周辺海域においては、潜水艦を使った演習も行われます。アメリカ海軍からはグアムを母港とするロサンゼルス級攻撃型原潜4隻と、潜水母艦のエモリー・S・ランド(AS-39)とフランク・ケーブル(AS-40)2隻が参加。対潜水艦戦闘(ASW)だけでなく、損傷した潜水艦から乗員を救出する訓練も行われる予定です。

 このほか、フィリピン近海ではアメリカ海軍の空母ロナルド・レーガン(CVN-70)の空母打撃群(CSG-5)と海上自衛隊の護衛艦ひゅうが(DDH-181)らが参加して対空戦闘や、相互防衛援助(MDA)協定に基づく物品の相互輸送などの演習が行われています。

 空母ロナルド・レーガン艦上では、海上自衛隊の要員が空母での航空機運用を視察。カタパルトを使った発艦や、拘束索(アレスティングワイヤ)を使った着艦の様子を見守ります。



 護衛艦ひゅうがには、ロナルド・レーガンから補修部品のパッケージを携えたHSM-77“Sabrehawks”のMH-60Rが着艦。有事の際に相互間で物品を融通し合う際の手順を確認していました。輸送に関する書類にサインをするあたり、宅配便の受け取りとあまり変わらないことが判ります。



 この演習にはイギリス軍、オーストラリア軍、カナダ軍、フランス軍、韓国軍からオブザーバー要員を招待(カナダ軍は一部海上作戦演習にも2隻の艦艇が参加)し、各国と理解を深め、相互の関係強化にもつなげることとしています。日米共同統合演習「キーン・ソード19」は、11月8日まで実施されます。

Image:U.S.Navy/PACAF

(咲村珠樹)

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