まんが家ゆうきまさみが語る「オタク」の興味の掘り下げ方に共感続々
おたくま経済新聞 / 2018年11月7日 15時0分
画像提供:ゆうきまさみさん(@masyuuki)
俗に専門家と呼ばれる人や、古くから活動しているオタクの人と話していると、その話題の豊富さ、そして専門外の分野での見識の広さに驚くことがあります。あれは一体どうしてなんだろうと思うことがあるのですが、まんが家のゆうきまさみさんがTwitterで示したイラストが、その理由を的確に表していると話題になっています。
これまで「鉄腕バーディー」や「究極超人あ~る」、「機動警察パトレイバー」に「じゃじゃ馬グルーミンUP!」、「白暮のクロニクル」といった人気作を次々と送り出しているゆうきまさみさん。現在は小学館の「月刊スピリッツ」で若き日の北条早雲(伊勢新九郎盛時)を描く「新九郎疾る!」を連載中です。
そんなゆうきさんが2018年11月7日に、いわゆるオタクや、物事を深く知っていくマニアックな人が知識や教養を深めていくイメージを図示したツイートが、非常に判りやすいと話題になっています。それは、「オタクというか、物事にマニアックな人というのは、興味の対象をこんな風に掘って行くのではないかと思っていて。最初はたしかに興味分野を掘り始めるのだけど、掘ってくうちに興味の対象外分野まで否応無く掘り返してしまう、掘り返さざるを得なくなるというイメージ。」というもの。
オタクというか、物事にマニアックな人というのは、興味の対象をこんな風に掘って行くのではないかと思っていて。最初はたしかに興味分野を掘り始めるのだけど、掘ってくうちに興味の対象外分野まで否応無く掘り返してしまう、掘り返さざるを得なくなるというイメージ。 pic.twitter.com/bnByaMEv5O
— ゆうき まさみ (@masyuuki) November 6, 2018
マニアックな人々というのは、興味のある分野を掘り下げていく「ドリル」が円錐状になっていて、深く掘り進めていくと、その周辺分野まで一緒に掘られていき、結果として教養の幅が増えていく……というイメージ。これは確かによく判る例えです。
筆者の場合、大学で民俗学を専攻していましたが、その時の師匠(教授)に言われたのが「周辺領域まで手を広げていかないと、ちゃんとした学問にならないよ」というもの。専門分野だけを突き詰めていくと結果的に「井の中の蛙」になりがちで、特に民俗学の場合は周辺領域から見た比較検討が非常に重要な研究手法として確立されています。「それだけしか知らない」というのは、むしろデメリットになる学問だったのです。このため、大学では人文地理学や歴史学、芸能や書誌学などに関する講義も受講して単位を取ったものでした。
ゆうきまさみさんも普段から幅広い分野に興味・関心があり、博覧強記の人物として知られています。ゆうきさんのTwitterアカウントがフォローしているアカウントをチェックしてみても、同業のまんが家さんや編集さん、出版社などといった仕事関係のアカウントだけでなく、幅広い分野のアカウントが並んでいます。
そういったところも関係するのでしょうか、例えば「機動警察パトレイバー」の「レイバーの憂鬱」というエピソードでは、描かれている産業の機械化と外国人労働者、そして経営者側の軋轢が、今の状況を平成初頭の時点で的確に予測していたと話題になることもあります。
筆者は「月刊OUT」以来の「ゆうきまさみファン」でもありますが、やはりその作品だけでなく、周辺の分野へと興味が広がっていきました。例を挙げるならば「機動警察パトレイバー」から、レイバーの発想の元となっている「極限作業ロボット」や制御工学といったロボット技術、また「機動警察パトレイバー劇場版」から、都市計画や近代建築史の方面へと興味が広がり、現在その方面で記事を書くことができるのは、そのおかげと言っても過言ではありません。
もちろん、この例とは違いまっすぐに脇目も振らず、ボーリングマシンのように専門分野だけを掘り進めていく人もたくさんいます。ただ、個人的な感想ではありますが、周辺の分野にも興味が及び、その視点から自分の専門分野を見てみると、新たな発見があり直面している問題に対するブレイクスルーへのきっかけをつかむ例も、古来から多々あります。周りへと目を配る余裕も、専門分野を深く知るためには必要だと思えてなりません。
<記事化協力>
ゆうきまさみさん(@masyuuki)
(咲村珠樹)
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