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アメリカ陸軍がロッキード・マーティンと「パワードスーツ」開発に合意

おたくま経済新聞 / 2018年12月4日 16時25分

アメリカ陸軍がロッキード・マーティンと「パワードスーツ」開発に合意

ONYX(画像:Lockheed Martin)

 2018年11月29日、アメリカ陸軍のナティック研究開発技術センター(NSRDEC)は、ロッキード・マーティンと外骨格型パワードスーツ「オニキス(ONYX)」をデモンストレーション用に機能拡張を図る総額690万ドルの契約に合意したと発表しました。AIを利用したこのパワードスーツのデモンストレーションは、2019年に予定されています。

 兵士は肉体を酷使する職業です。戦闘行為だけでなく、重い個人装備を携行して長距離を移動したり、弾薬の補給で重量のある砲弾などを運んだりと、肉体に負担がかかる場面が少なくありません。かつて陸上自衛隊に定年まで勤務していた筆者の親戚は、演習中の事故で砲弾の下敷きになり、重傷を負っています(この怪我のため、事故後に後方職種へと配置転換されました)。

 いざという時のために、兵士達は普段から肉体の鍛錬を行っていますが、戦闘など「いざという時」の為に、体力は温存しておきたいもの。また、長距離の行軍をした直後に戦闘が始まってしまった時、疲弊した兵士が最高のパフォーマンスを発揮できずに無力化されてしまうことも、用兵上は避けたいものです。このため、アメリカ陸軍では長距離の徒歩移動や砲弾など重量のあるものを取扱う際に、肉体の負担を軽減する「パワードスーツ」の研究を行ってきました。

パワーアシストスーツの実験風景(画像:U.S.Army)

 現在研究開発が行われているのは、一番疲労が溜まりやすい足腰の筋肉をサポートするタイプのもの。日本でも介護現場などで利用が始まっているような、外骨格式の「装着するロボット」です。今回の契約にあるロッキード・マーティンの「オニキス」は、装着型パワーアシストロボットメーカーのB-TEMIAからライセンス提供を受けて開発されたものです。システムにはAIを採用しており、筋肉の動きに追従して最適な出力で違和感なく筋力をサポートする仕組み。



 実際に装着して実験した結果によると、装着していない時と比較して、明らかに疲労軽減効果があったとのことで、兵士の負担が減ることが証明されています。問題は戦場のような過酷な環境で、確実に作動してくれるか、という点。これに関するデモンストレーションを行うため、さらなる改良を陸軍はロッキード・マーティンに要求したというわけです。


 オニキスは、駆動用のバッテリーを含めて非常にコンパクトなものとなっており、兵士が装着した際に違和感を感じないレベルになっています。近未来のアメリカ軍では、このような外骨格型パワードスーツ(パワーアシストスーツ)を装着した兵士が重量物を運搬したりする様子が見られるかもしれません。

Image:Lockheed Martin/U.S.Army

(咲村珠樹)

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