目がさめたら母が「クレイジー・ダイヤモンド」に どらららららららぁぁーーっ

画像提供：みぃ109さん（@mew_xxx_6）

　うとうとと寝起きにまどろむひとときは人生の至福のひとつに挙げられるかもしれません。同居している家族がいれば、起こすために部屋に入ってくることもあるでしょう。もしも寝ぼけ眼に飛び込んできたお母さんの姿が予想を超えていたら……そのときあなたはどうしますか。

　部屋に入ってきた母の姿を見てあわてて飛び起きたというみぃ109さん（@mew_xxx_6）のツイートは、14万2000のいいねがつき5万6000回リツイートされるという大反響をよんでいます。お母さんの全身を包む衣裳は、「グレート」が口ぐせの東方仗助のスタンドである「クレイジー・ダイヤモンド」をいちから造り上げたもの。「ジョジョの奇妙な冒険 Part4 ダイヤモンドは砕けない」に登場する主人公の東方仗助とクレイジー・ダイヤモンドは、世代を超えて根強いファンを獲得しています。

今日の朝、寝てたらお母さんがこの格好で部屋に入ってきたんやけど流石に寝起きの悪い私でも飛び起きたわ…

3ヶ月かけて作った「クレイジーダイヤモンド」らしいです。 pic.twitter.com/AC1X3fgXjS

— みぃ109🐝 (みぃちゃ！) (@mew_xxx_6) February 12, 2019

　クレイジー・ダイヤモンドの中の人であり製作者でもある母のクロナさん（@crona213）にも話を聞いてみました。ジョジョの奇妙な冒険の作品のコスプレをしたいと思い立ち、2018年の10月後半に造りはじめ、途中1か月の休止期間をはさんで完成したのが2019年の2月の半ば。制作期間が約3か月とは驚くばかりです。しかも、全身覆うタイプの衣装を作るのはなんと今回がはじめてだそう。

　造る上では様々な人たちの作品を参考にしたそうです。「今回は娘がツイートした「お母さんが」というワードの意外性に注目されてたくさんの方が目をとめてくださいましたが、高度な技術を持って素晴らしい衣装を作られるレイヤーさんはたくさんいらっしゃり、その方々の作品や作る過程を参考にさせていただいております。“アイデア”や“創意工夫”などは私が生み出したものではなく、その方々の知恵をお借りしておりますとお伝え致します」と、クロナさん。

　クレイジー・ダイヤモンドは多くの部分がCOSボードと1WAYストレッチ合皮で形成されています。塗装にはプラモデル用の塗料を使用しました。各パーツを繋ぐときに使用したマジックテープや強力磁石は重宝したそう。クロナさんは市販品もうまく転用していて、手の甲の黒く丸いパーツが百均のくるみボタン、手足の関節部分はそれぞれ肘用や膝用のサポーターです。

　最初の型取りから完成までは常に苦労の連続でした。特に基本のボードを形作るのは困難を極めたそうです。他にも想像しただけで思わず叫び声を上げてしまいそうなるような大変な経験をしたことがあったそう。Gボンドを取り扱うときにはいつもプラスチックカップに入れていたクロナさんですが、なんと溶解したボンドをテーブルにぶちまけてしまったこともあるそうです。洋裁、和裁、工具や塗料の取り扱いといったすべての工程で知識不足も苦労の要因だったとふり返るクロナさん。失敗しては検索して調べ……作業を続ける中で着実に知識も増えていったのでした。

　みぃ109さんも作ることが好きで小さい頃から裁縫や工作も得意だったそうです。祖父母も裁縫や工作が得意だったというクロナさんのもの作りのDNAは次世代に受け継がれました。クロナさん自身も裁縫や工作が得意で特に絵がうまかったので当然のように作る系の科目でよい成績を収めていて、ほぼ毎回一番いい評価ももらっていました。けれど、小さい頃に限れば、クロナさんは作ることは得意だけど面倒くさいから嫌いという、複雑な思いを内心に抱えていたそうです。

　みぃ109さんは素敵なエピソードを教えてくれました。小学校のときにクリスマスの朝枕元で見つけた、サンタ帽のぬいぐるみは今でもずっとベッドにいるそうです。使い込んだ彫刻刀の木の部分にクロナさんが白い絵の具を塗り、さらに可愛い絵を描いてくれたこともありました。クロナさん手造り世界にひとつだけの彫刻刀は、みぃ109さんの思い出に残るプレゼントになったのです。

　それぞれネットで発信していておたがいへのリスペクトも感じさせてくれるみぃ109さんとクロナさん。みぃ109さんのためにイベント用の簡単な衣装をクロナさんが制作したことはあったものの、本格的な親子コラボはまだないとのことです。実現の可能性について聞いてみたところみぃ109さんは乗り気で、クロナさんが手がけた衣装で「踊ってみた」動画を撮ってみたいそう。みぃ109さんが強く希望すればやらなくもないというクロナさんには、衣装制作を全部担当する可能性が高いなど気が進まない要素があるようで……。制作の負担がクロナさんにばかりかかる企画ではむずかしいかもしれませんが、親子がそろってわくわくするような題材や、作業分担の方法さえ見つかれば何らかの形で実現するのではないでしょうか。

　なお、クロナさんの次回作は東方仗助の衣装とのこと。さらに3月9日に開催される第15回日本橋ストリートフェスタの参加予定もあるそうですよ。

＜記事化協力＞
みぃ109さん（Twitter：@mew_xxx_6　/　YouTube：109 * Mii）
クロナさん（Twitter：@crona213）

（山口さゆり）