他の航空機の目や耳となる軍用ドローン「エアパワー・チーミング・システム」をボーイングが公開
おたくま経済新聞 / 2019年2月27日 15時45分
オーストラリアで公開された無人機「ボーイング・エアパワー・チーミング・システム」(画像:Boeing)
2019年2月27日(現地時間)、オーストラリアのメルボルンで、ボーイングは新たな軍用ドローン(無人航空機)「ボーイング・エアパワー・チーミング・システム(Boeing Airpower Teaming System)」を発表しました。これはAIと各種センサーを搭載し、有人・無人を問わず、他の航空機とデータリンクでつながって共同作戦を行える、チームの「目」や「耳」となる情報収集機です。
この無人航空システムは、ボーイング・オーストラリアが開発したもの。「ボーイング・エアパワー・チーミング・システム」はボーイングにとって、アメリカ国外における最大の無人航空システム(UAV=ドローン)開発計画となっています。
全長11.7m、ジェット戦闘機に似た外観を持つこのドローンは、およそ2000海里(3600km)あまりの航続距離を誇ります。機内には索敵・情報収集・測量・電子戦などを行える統合センサーパッケージが搭載されており、AI(人工知能)を用いて自律的に飛行。データリンクでつながった有人・無人の各種航空機に、自身が取得した情報をリアルタイムに送信することで、敵の脅威から離れた場所にいても相手の状況把握ができるという仕掛け。いわば部隊の「目」となり「耳」となる存在です。
これまでの偵察ドローンは、リアルタイムの情報が送られるのは遠隔操縦している場所であり、作戦機はその情報をもとに出撃していました。つまり攻撃隊は刻々と変化する情勢においても、出撃時点の「少し古い情報」を頼りにしていた訳です。
しかし、このシステムを使用すれば、出撃後でも常に最新の情報で更新され、それに応じて作戦内容を柔軟に変化させることが可能。無人航空機を使えば、人的被害なしに作戦遂行が可能となります。無人航空機もこれまでのように単独で使用していると、そこに搭載された機器による限られた情報しか得られないため、目標の誤認は避けられませんでした。「ボーイング・エアパワー・チーミング・システム」と連携すれば、目標を立体的に捉えることができ、目標の誤認に基づく誤爆などの被害を最小限に抑えることができます。
ボーイング・インターナショナル代表のマーク・アレン氏は「この航空機は、ボーイングにとって歴史的な試みです。アメリカ国外での開発というだけではなく、世界中のお客様に、それぞれの要望に応じたものをお届けできるのです。ボーイング・エアパワー・チーミング・システムは、オーストラリアをはじめとするお客様の防衛需要に対し、柔軟に対応できる能力をご提供します。この計画のパートナーとなることで、増大する領土防衛の必要性に対し、ハイテクの労働力でお助けします」と語り、若年人口の減少に伴う将来の防衛従事者不足に直面している国々に対しても、このシステムが役立つことを強調しています。
アメリカ太平洋艦隊司令官のジョン・アキリーノ大将は2019年2月26日、アメリカ連邦議会において海軍がいまだ6200名の人員不足に悩んでいると証言し、防衛力の担い手不足が深刻であることを強調しています。日本も少子化により、全産業において若年層の労働力が不足し、特に自衛官の募集については各地方協力本部でも苦労していると聞きます。より少ない人数で防衛力を維持するには、人を大事にした省力化・無人化は大きな課題です。2020年に初飛行が予定されているこの「ボーイング・エアパワー・チーミング・システム」が、その需要に応えられるのか、注目です。
Image:Boeing
(咲村珠樹)
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