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アメリカ空軍の新型救難ヘリHH-60Wの試作機組み立て終了 飛行試験へ

おたくま経済新聞 / 2019年2月28日 13時21分

アメリカ空軍の新型救難ヘリHH-60Wの試作機組み立て終了 飛行試験へ

試験の準備を行うHH-60Wの試作機(画像:Sikorsky)

 2019年2月27日(アメリカ東部時間)、アメリカ空軍の新型救難ヘリコプター、HH-60Wの試作機2機がシコルスキーのコネチカット州ストラットフォード工場で組み立てが終了。試験が行われるフロリダ州ウエストパームビーチに移動しました。シコルスキーによれば、地上試験が終了する2019年半ばには飛行試験を開始する予定だといいます。

 シコルスキーHH-60Wは、汎用ヘリコプターUH-60Mブラックホークをベースにして開発された救難ヘリコプターの最新モデル。現在使われているHH-60Gペイブホークに代わり、戦場での捜索救難に使用されることを前提にしたものです。現在はWのフォネティックコード(無線でアルファベットを区別しやすいように表現するために定められた言葉)である「ウイスキー(Whisky)」という仮の愛称で呼ばれています。

 ベースとなっているUH-60Mと比較すると、機内の燃料タンクが倍近くの容量に大型化されており、行動半径が195海里(351km)に拡大されました。これは捜索や要救助者の収容にかかる時間も考慮されたものであり、実際の航続距離はもっと長くなります。

 また、ヘリコプターに使われているターボシャフトエンジンをはじめ、ガスタービンエンジンは周囲の気温(吸気温度)が高いと出力が落ちてしまうという弱点がありますが、摂氏35度の外気温でもエンジン出力が落ちずに行動可能。また、高度についても40ヘクトパスカルの気圧でも出力を保てるように設計されています。より厳しい環境でも捜索救難が行える、という訳です。

 戦場で使われることを前提としているため、デジタル式のALQ-120レーダー警報装置、AVR-28レーザー警報装置、AAR-57ミサイル警報装置といった防衛システムも装備。自衛用に7.62mm、もしくは12.7mm機関銃も装備できるようになっています。もちろん、空軍標準の「リンク16」データリンクシステムも装備しています。

 この計画のプログラムディレクター、グレッグ・ハメス氏は「HH-60W最初の2機を飛行試験のためにウエストパームビーチへ迎えることができ、我々シコルスキーのチームにとって喜びに堪えません。これは今年後半に予定されている低能率量産に向けての最初の一歩であり、この新しい機体を一人前にするためのプロセスの始まりとなります」と、組み立てが終了した試作機を飛行試験に供する準備に入ったHH-60W「コンバット・レスキュー・ヘリコプター」計画について語っています。

 HH-60Wは、この2機を含む計9機の試作機を使い、様々な試験を行っていく予定。アメリカ空軍は112機のHH-60Wで、老朽化したHH-60Gペイブホークを置き換える計画です。

Image:Sikorsky, a Lockheed Martin company

(咲村珠樹)

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