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「クルードラゴン」3月2日に試験飛行 アメリカの有人宇宙船復活へ

おたくま経済新聞 / 2019年3月1日 17時28分

「クルードラゴン」3月2日に試験飛行 アメリカの有人宇宙船復活へ

ケネディ宇宙センターLC-39Aに設置されたファルコン9ロケット(画像:NASA)

 スペースシャトル・アトランティスがSTS-135ミッションから地球に帰還した2011年7月を最後に途絶えた、アメリカの有人宇宙船。その歴史が、再び動き出そうとしています。スペースXによる有人宇宙船「クルードラゴン」の第1回無人打ち上げ試験が、いよいよアメリカ東部時間の2019年3月2日午前2時49分、日本時間の2019年3月2日16時49分に迫りました。

 NASAは国際宇宙ステーション(ISS)への宇宙飛行士について、民間宇宙船による輸送を行うこととしており、スペースXの「クルードラゴン」と、ボーイングのCST-100「スターライナー」がまず民間宇宙船として認定されています。そのうち、物資輸送で十分な実績を持つドラゴン補給船の与圧モジュールをベースに開発されたスペースXの「クルードラゴン」が、最初の試験飛行を無人で行うことになったのです。

 クルードラゴンは、ドラゴン補給船と同じくリサイクル式のファルコン9ロケットで打ち上げられます。宇宙船は最大7人乗りで、10回程度の再使用も可能な設計です。これまでパラシュート降下試験などを順調にこなして安全性が確認されており、今回は宇宙船のシステムがロケットで宇宙に打ち上げられ、大気圏に再突入して帰還するまでの間、正常に作動するかを確かめる試験。これは「Demo-1」ミッションという名前で呼ばれています。

 宇宙船が取り付けられたファルコン9ロケットは、2019年1月にロールアウト。フロリダ州ケープカナベラルにあるケネディ宇宙センターの39A発射台に据え付けられ、発射台での試験が行われました。




 曲線が未来的な印象を与えるクルードラゴン。宇宙飛行士が乗り込む発射台の連絡通路も以前のアメリカ宇宙計画とは違ったスタイリッシュなデザインで、民間による有人宇宙船なんだということを強く感じさせます。

 計画のタイムラインによると、打ち上げから2分33秒後に第1段エンジンが燃焼終了、その5秒後に第1段と第2段の分離が行われます。打ち上げ後2分44秒から第2段エンジンに点火、さらに加速を続けます。切り離された第1段は、打ち上げ7分48秒後に大気圏再突入のためエンジンを点火。この再突入に向けてのエンジン燃焼は2回に分けて行われ、打ち上げ9分37秒後に着陸する予定です。

 クルードラゴンを乗せた2段目エンジンは、打ち上げ8分57秒後に燃焼を終了。慣性飛行モードに入ります。打ち上げから10分59秒後に宇宙船がロケットから分離、約1分後に宇宙船の先端を包んでいたノーズコーンを開き、国際宇宙ステーションにドッキングする準備を始めます。このクルードラゴンは無人ですが、内部には乗り込む宇宙飛行士の重量を想定して約400ポンド(181kg)の補給物資が搭載されており、国際宇宙ステーションへの補給も兼ねています。

 国際宇宙ステーションへのドッキングは、翌日の3月3日午前6時(アメリカ東部時間)の予定。ドッキングして5日間を過ごし、アメリカ東部時間の3月8日午前2時30分に国際宇宙ステーションから離脱し、帰還する予定です。大気圏に再突入し、大西洋上に設定された帰還ポイントに着水するのは8時45分を見込んでいます。

 NASAでは打ち上げから生中継を行うほか、スペースXの方でも独自の生中継を公式サイトで行う予定。こちらではロケットに取り付けられたカメラで、エンジンの燃焼の様子や第1段ロケットの着陸なども見られます。アメリカが有人宇宙船を再び宇宙に送る第一歩。この週末、歴史的瞬間を見届けましょう。

Image:NASA、SpaceX

(咲村珠樹)

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