「デニム着物」で冷え知らず 漫画家のレポートに反響
おたくま経済新聞 / 2019年3月7日 12時27分
画像提供:漣ミサさん
和装に触れる機会がどんどん減っているように感じます。当節、着物の着方がわからないという人は今や大半を占めているのかもしれません。着物に対するハードルをグッと下げてくれるようなツイートが投稿され、熱い視線が集まっています。
投稿したのは、漫画家イラストレーターの漣ミサさん(@3373misa)。「仕事着をデニム着物にして冷え知らず+姿勢が良くなったのでレポート」と、仕事着として「デニム着物」を採用したことで快適にすごしていることを報告しました。デニム着物は見かけよりやわらかくて着やすいそうです。合わせるのは浴衣などに使う「半幅帯」です。漣さんお気に入りの「かるた結び」で結べば、椅子に座っても邪魔になりません。帯の上から締める紐である「帯締め」は、国産で絹100%のものを使うのが漣さん流。ちょっと上質な品物は結びやすいのだといいます。
仕事着をデニム着物にして冷え知らず+姿勢が良くなったのでレポート。
今日のような寒い日も⛄着物の帯のお陰でおなかポカポカ☀️重ね着も暖房もいらず。カルタ結びで椅子に座れて姿勢も改善。
ゆる~く普段着として着てますが、帯を締めるとやる気もわいてくるしデスクワークでもいいこと尽くし👘 pic.twitter.com/CYDRlvomHI
— 漣ミサ ⚓︎ 春コミ新刊🐯通販中 (@3373misa) March 3, 2019
そもそも今回のツイートは、作家仲間の冷え対策の参考になればという思いからでした。漣さん自身もかつては冬場の耐え難い寒さに悩んでいたのです。帯があるから洋服より暖かいのではないかという思いつきから実際に着てみたところ、予感は的中しました。冷え対策はもとより、重ね着や暖房が要らなくなりました。ポカポカとお腹が温まるのを実感し、体の芯が温まる効能でしょうか、以前より集中力が上がった気がするそうです。胴体を包んでくれる帯がコルセットのような役割を担ってくれて姿勢もよくなりました。帯を締めれば気持ちが引き締まり、やる気がわいてくるそうです。近ごろ腰痛に悩める筆者は個人的に「コルセット」という言葉に反応してしまいました。確かに和装は帯が腰回りを支えてくれるため、腰痛の方にも悪くないかもしれません。
漣さんのツイートは結果としてデニム着物のよさを広く伝えることになりました。ネットからの反響も予想以上に大きかったといいます。「デニム着物を知らなかった」、「デニム着物とかるた結び私も大好き」。さらには、「着物は着られるけど楽に普段着として着る発想がなかった」などの多くの感想が届きました。あまりの反響や問い合わせの多さに驚いた漣さん。最初は個別に対応していましたが、ついに公式サイト「3373hp.com」の中に、「仕事着をデニム着物にしたら冷え知らずで姿勢も良くなったレポート」のページを作成し紹介していました。
【まとめ】デニム着物を着るためのアイテムをブログにまとめました👘https://t.co/MtEbOifCJT
— 漣ミサ ⚓︎ 春コミ新刊🐯通販中 (@3373misa) March 4, 2019
普段から着物を着るようになった漣さんが、デニム着物を選んだ理由は、気楽に着られること、洗えること、洋服との相性がいいこと。そして、お値段が5000円~と手ごろなことです。半幅帯もポリエステル製のものは手ごろな値段でおすすめなのだそう。デニム着物とポリエステルの帯の組み合わせは家で気兼ねなく洗えるのです。「着物用洗濯ネット」に入れて洗ったら、「着物用ハンガー」にかけて干します。このときに目立つしわは引っ張ったり手アイロンで取ってあげるといいですね。お手入れとして普段気をつけていることは、着物は湿気に弱いので、脱いだら必ず干すということ。漣さんはもちろん着物用ハンガーにかけています。着て目立つ衿などの気になるしわにはアイロンを使うそうです。
ここで、着つけ講師の資格を保持する筆者からもすこし解説したいと思います。着物を着るときは和装専用の肌着から身に着けていくのが一般的とされています。本来、「肌襦袢」「裾除け」「長襦袢」と着ていくのですが、最近では肌襦袢に替わり「礼装用きものスリップ」が主流となりつつあるようです。肌襦袢の下はなにも着けないのが昔からの着方ですが、長年洋服文化に慣れていると不安を感じる人もいるでしょう。そういう方には「和装用のショーツ」が伸びる素材を使用している品物であれば着脱不要でおすすめです。近ごろでは「和装ブラ」も売られているようです。そして、足には「足袋」をはきます。
漣さんのレポートでは、自身が楽しんでいる方法として下着に当たる部分を大胆に洋装のインナーで代用することを提案しています。タートルネック、シャツなどは長襦袢の代わりに着こむことができます。また、滑りの良い素材の薄手のスポーツウェア、レギンス、タイツは、裾除けや「(和装用)ステテコ」の代わりを務めてくれます。着物に関しては初心者だという漣さんですが、実はこうした着方そのものが、着物を着たいと思ってはいるものの敷居が高いと感じている人たちには新鮮に映り、今回多くの人たちから受け入れられたのではないでしょうか。
あらたまった場所へ行くために着る形式的な着物とは一線を画し、着たいから着るという現代的な着物文化。2000年代初めごろにおきたアンティーク着物ブームがそれを牽引し、デニム着物もその一端を担いました。以来、洋装と和装をうまく組み合わせて、好きな着方で着物を楽しむ人が増えてはいますが、その数はまだまだ。
漣さんが紹介してくれたデニム生地で仕立てた着物は、カジュアルであるばかりでなく、丈夫な生地なのでどんどん着ていけるという利点もあります。色落ちしてもジーンズのようにいい味になりますし、手芸に自信のある人は様々な色のデニムをパッチワークにしてもおしゃれだと思います。ちょっと縁遠くなってしまった和装に、こんな生地でも楽しめるということが広まれば、もっと普段の生活に取り入れてみようと思う人が増えるかもしれませんね。
<記事化協力>
漣ミサさん(Twitter:@3373misa / 公式サイト:3373hp.com)
(山口さゆり)
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