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「ちょうどいい破壊力」のレーザー誘導ロケット弾 アメリカ海軍が追加調達

おたくま経済新聞 / 2019年3月20日 17時44分

「ちょうどいい破壊力」のレーザー誘導ロケット弾 アメリカ海軍が追加調達

APKWSを発射するMH-60(画像:U.S.Navy)

 2019年3月19日(現地時間)、BAEシステムズはアメリカ海軍から、レーザー誘導式の70mmロケット弾「APKWS(Advanced Precision Kill Weapon System)」の追加分を数千発規模で受注したと発表しました。2012年に海兵隊で初度作戦能力(IOC)を獲得して以来、実戦を重ねているAPKWSの調達が、アメリカでは加速しています。

 APKWSは、1970年代以来アメリカ軍や日本の自衛隊など、各国の軍で標準的に採用されている70mmロケット弾「ハイドラ70」とランチャー互換性のあるロケット弾。ハイドラ70は無誘導の「撃ちっぱなし」式でしたが、APKWSはレーザー誘導で目標に向かう「レーザー誘導弾」。限りなくミサイルに近いロケット弾です。ミサイルとの相違点は、自分で目標を探知するのではなく、地上の誘導員や発射母機から目標に照射されるレーザーに導かれているというところ。ロケットモーターによる推進力を持った小型のレーザー誘導爆弾という感じです。

 既存の70mmロケットランチャーを利用でき、しかもレーザー誘導爆弾と同じく誘導員のレーザー照射で運用するため、APKWSは様々な航空機で運用可能なのが特徴。アメリカ軍ではAH-1やAH-64といった攻撃ヘリコプターだけでなく、UH-1やMH-60といったヘリコプターのほか、AV-8BやF/A-18、F-16、A-10のような固定翼機(一般的な飛行機)など、多種多様な航空機で運用し、中東などで戦果を挙げています。




 APKWSの優れている点は、その「小ささ」にあります。特にアメリカなどが中東地域で取り組んでいる“テロとの戦い”では、市街地の建物に潜んだ武装勢力を掃討する際、レーザー誘導爆弾では破壊力が大きすぎ、周囲の一般市民に危害を加えてしまうケースが多く、いわゆる「オーバーキル」の状態になりがちです。レーザー誘導で正確に目標をとらえるAPKWSは、70mmという弾体の大きさから、周りに被害を与えすぎない「ちょうどいい破壊力」で、目標をピンポイントで攻撃できる点が重宝されるのです。

 APKWSはアメリカだけでなく、現在までにヨルダン、イラク、レバノン、メキシコに対外有償軍事援助(FMS)の形で導入されています。既存の70mmロケットランチャーが利用できることから、これからも「ちょうどいい破壊力の精密誘導弾」を求めて、導入国が増加することが考えられます。

Image:BAE Systems/USMC/U.S.Navy

(咲村珠樹)

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