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“商品”と“原価”……モノの値段にはたくさんの見えないものが詰まっています

おたくま経済新聞 / 2019年3月25日 17時46分

“商品”と“原価”……モノの値段にはたくさんの見えないものが詰まっています

コハラモトシさん( @kohara_motoshi)提供

 時々目にする、「○○の原価は△円だから」という話。原価だけ見るとその商品がとても高い、という話で、ハンドメイド作品を作っている人も時折そういった話をぶつけられてしまう様子。しかし、商品になるまでには原材料だけではないものが多く必要。そんな漫画がツイッターに投稿され、多くの人から支持されています。

 漫画家のコハラモトシさんが描く、義侠心溢れる兄貴のツッパリス(通称アニキ)と舎弟のシャテイヌ(通称シャテ)のコンビが世の中に喝を入れる「アニワル」がネット上で連載されています。その中のひとつ、「安売りするな」の回では、作家さんはもちろん、ハンドメイドで原価がどうとか材料費がいくらとか訴える“お客”にも伝えたいと、コハラさんのコメント付きでマンガが投稿されています。

 公園のベンチに座って、SNSでシャテが投稿した内容を見たアニキ。その内容は、シャテがアニキのぬいぐるみを自作したというもの。アニキはシャテの意外な一面に感心。しかし……アニキの前にしょんぼりと歩いているシャテが。

 どうしたのかと話を聞くと、「作った作品を売って欲しいと言われるが、材料費はたかが知れているから安くしろ」というふざけた話。当然、シャテも納得できず、しかし、自分の作品を認められて求められることが嬉しくて断り切れない、という……。

 そんなシャテにアニキは叱咤します。「その作品は……今まで培ってきた『知識』と『技術』と、そこに至る『時間』もかかっているんだぞ!!!」「材料費の話だけじゃねえ!!“作者の価値”が含まれているんだ!!!だから……対立してでもその価値を守れ!!!」

 「自分を安売りするな!!!!オマエはそんな安い男じゃねぇだろうが!!!!」とシャテに喝を入れるアニキ。そして、オレの仲間を安く見積もったヤツに話を付けに行くから案内しろ!と。そんなアニキの背中を見て思わず一礼するシャテなのでした。

 この漫画には多くの反響が寄せられており、「見えない部分にこそ対価を支払わなければ」「このお話はいろんなケースにも当てはまるのではないのかなぁと思いました。」「技術の安売りは同じ界隈のレートまで下げてしまうのでやってはいけないのです」といったコメントが。また、「材料費だけで買おうとする連中はそんな苦労を知らないんだ!!手間暇かけて作ったのを身勝手すぎる理由で安くしようとするなど消費者として3流以下だ!!」という声も。

 市販されているものでも、原材料だけではその商品は出来上がりません。その商品を作るのにはたくさんの技術や研究、そして設備投資などの上に材料の原価が加わってその値段になる訳です。手作りのものだと途端に買いたたくというのは、その市販品の工程と同じ以上に培ったスキルや知識、そしてその作品を作るための道具などを揃え、時間を掛けて初めて作品を形にすることができるという事実を完全にすっ飛ばしているわけで、買いたたくという行為自体がとても失礼なことにあたります。

 何かを直す技術や、絵や音楽などを無償で提供して欲しいと言われた、という話もよく耳にします。その技術をタダで欲しいのであれば、自分がその技術を身に付けて他人に披露できる程度になればいいだけの話なのではないでしょうか。技術も知識もないのに、安く見積もり過ぎたりタダで欲しいというのは、その技術と知識を何年もかけて積み上げてきた人たちにとって、タカリや泥棒に近いと言えるのではないでしょうか。

「安売りするな」
作家さんはもちろん、ハンドメイドで原価がどうとか材料費がいくらとか訴える“お客”にも伝えたい#アニワル pic.twitter.com/6IZ1h4xhei

— コハラモトシ@『アニワル』スタンプ&着せかえ発売中! (@kohara_motoshi) March 23, 2019

<記事化協力>
コハラモトシさん(@kohara_motoshi)

(梓川みいな)

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