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無機質な中に音を感じる アナログシンセ筐体刺繍が美しい!

おたくま経済新聞 / 2019年4月11日 14時21分

無機質な中に音を感じる アナログシンセ筐体刺繍が美しい!

アナログシンセ筐体刺繍(画像提供:刺繍する犬さん)

 刺繍というと、一般的には花や動物など可愛らしいものをモチーフに作られることがほとんどですが、それとは逆に、無機質でアナログなものに魅了され、それを刺繍で表現した人がいます。

 MacPC、基板などを鉛や手刺繍で再現しているという刺繍する犬さん。2007年に制作開始した当初は、PCや基板を刺繍で表現していたそうです。作品の中には、整列された基板の細部まで表現されており、息をのむほどの細かさ。

アナログシンセ筐体刺繍
音の波形刺繍 pic.twitter.com/JNF38bQGmh

— 刺繍する犬 (@sisyuinu) April 4, 2019

 そんな無機質な基板や、アナログシンセの筐体などをモチーフに作品づくりをしている刺繍する犬さんに、お話を伺いました。作品の中には、波形を刺繍で表現したものが多くあるため、音楽に精通した方なのかと思いきや、ノイズや電子音楽などの音楽は好きなものの刺繍する犬さん自身は、音楽は全く作ったことがなく、あくまで作品の中で表現されている波形はイメージで作ったものとのこと。


 刺繍する犬さんの数ある作品の中でも筆者が一番気になったものが、ポリエステルの防護ネットに黒の刺繍糸で表現された「Voice flower」という作品。「女性の抑圧された声」を表現しているそうで、筆者の予想にぴったり過ぎてびっくり! 作品の中には、どこか見る人の心の波にリンクするものがあるようでした。

 もともとPCや基板などデジタルで無機質なものを刺繍で再現していたそうで、昨年行った個展のテーマが「無効化された音の装置」だったそうです。「その流れで現在は音の装置シリーズとして、アナログシンセを刺繍しています」とのこと。

 本物の基板のようにピシッと整列し、無機質感を出すためには、とにかく根気と集中力が必要とのこと。こちらの作品は約2週間で制作したそうです。基板というと、花や動物を作るのとは違い、比較的単色での表現が多くなり飽きてしまいそうですが、「面白い点ややりがいは、ただの布が、私が刺繍をすることにより、ギークな存在に物資化していく過程です。完成品は小さな作品でも刺繍独特の存在感があります」と語る刺繍する犬さん。

 ちなみに今は、「ゲルを使用した刺繍作品を試行錯誤しているので、いい感じに完成させたいです」と、新たな作品作りに集中しているようでした。残念ながら、現在、国内での展示会はないそうですが、6月10日~6月15日にスイスで行われる「Basel VOLTA」というアートフェアの「YODギャラリー」への出品が決定しているそうです。

<記事化協力>
刺繍する犬(@sisyuinu)

(黒田芽以)

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