右と左の判別にあたふたしてしまう「左右盲」実は結構多いんです
おたくま経済新聞 / 2019年5月28日 14時58分
三森みささん(@mimorimisa)提供
病気や障害ではないけど、右と左の判別が瞬時にできない「左右盲」という症状、皆さんご存知でしょうか?その「左右盲」について紹介した漫画がツイッターに投稿され、大きな反響を呼んでいます。
「この前、左右盲について呟いたら意外と知らなかった人がいたので。右と左の判断に時間かかる人です」と漫画を投稿したのは、厚生労働省が監修した依存症啓発漫画「だらしない夫じゃなくて依存症でした」を描いた三森みささん。三森さん自身の体験をもとに、左右盲についてのエピソードを漫画で紹介しています。
三森さんは元々右利きで利き手の矯正もなかったのですが、幼児時代の体験がきっかけになったらしく、右と左が瞬間的に判断できなくなり、混乱してしまうようになったそう。その後も、日常生活に大きな支障をきたしてはいないものの、左端のものを見るようにと指示されたのに逆のものをみてしまい、混乱が生じるなどということがしっよっちゅうあったそうです。
そんな三森さんの右手にはほくろがあり、それを目印に左右を判断していたのだそうですが、いつの間にか左手にもほくろが出来てしまい、さらに混乱してしまう原因となってしまいました。このように左右の判別がすぐにつかない「左右盲」の人にとって効果的な方向の示し方は、「クロックポジション」という方法。対象者の正面を12時の方向として、そこからアナログ時計の短針の時間で方向を表すという手段。ちなみに、この方法は視覚障害がある人にも有効な方法です。
この漫画が投稿されると、見た人たちからは「自分も思い当たる」という人が続出。大きな共感を生んでいます。また、カーナビや地図アプリを使っている時に、「右方向です」と言われて違う方向に行ってしまいがち……という人も。左利きを矯正された人が多いようですが、矯正されていなくてもこの状態に陥る人も多くいます。自動車の運転で緊張している時に、「あと○○m先を左に進みます」と言われても、車線変更が上手くできずに慌ててしまう、ということも。
この「左右盲」は、左利きを矯正された右利きの人がよく陥りやすいと言われていますが、空間認知能力の弱い人にもこの傾向がある様です。これらの症状は医学的には病気や障害とみなされていないため、医学的な研究文献もないのが現状。脳機能障害の中のひとつの症状としての左右失認はいくつもの研究文献がありますが、左右盲自体を解明する文献はないようです。
実は筆者の娘たちは二人とも生粋の右利き。しかし長女は空間認知力が高いのですが、次女は低く、3Dの立体的なゲームは苦手。長女はマインクラフトのような3D空間の認知を要するゲームや立体物の制作が得意ですが、次女は平面的な2Dの方が分かりやすいといいます。そして長女は左右盲の状態は見られず、初めて行くところもあまり迷わないといいますが、次女はどうやら左右盲である様子。地図アプリでも自分の位置と方向を上手く把握できないことが多いといいます。
そして編集部内にも、同じ状態の記者がいることがこのツイートにより判明。曰く、「どうもなんとなくなんですけど、頭の中で直感を変換してるような感覚がしますね。普段は何か基準になるとっかかりがあるんですけど、とっさに言われると本来の利き手の直感が出るというか」と。道案内でとっさに「右折」「左折」が逆になったりすることもあるそうです。確かに、とっさに左右を言い間違えるのってあるあるな気がします。
このような障害とは言えないけどちょっと困ることがある特性は、意外とあったりするものです。こうしたエピソードなどをきっかけに、自身の特性を把握し、生活しやすくなるように工夫していくのも生きやすくするための一つの方法かもしれませんね。
この前、左右盲について呟いたら意外と知らなかった人がいたので。右と左の判断に時間かかる人です。#エッセイ漫画#漫画 pic.twitter.com/GF3nPZiXlz
— 三森みさ@漫画『だらしない夫じゃなくて依存症でした』 (@mimorimisa) May 24, 2019
ちなみに、三森さんが描いている厚生労働省が監修した依存症啓発漫画「だらしない夫じゃなくて依存症でした」は、三森さんのサイト「MimoriMisa ART Graphics」などから読むことができます。こちらは厚労省監修という事で、依存症についてわかりやすく描かれていますので、こちらもぜひご一読を。
<記事化協力>
三森みささん(@mimorimisa)
(梓川みいな/正看護師)
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