10年ぶりに空母も参加!アラスカでのアメリカ軍統合演習「ノーザン・エッジ2019」終了
おたくま経済新聞 / 2019年5月29日 16時42分
アラスカでの統合演習「ノーザン・エッジ2019」に参加した空母セオドア・ルーズベルト(Image:U.S.Navy)
アメリカの太平洋空軍が主催する、2年に1度の恒例の統合演習「ノーザン・エッジ2019」が5月13日~24日(現地時間)に実施されました。この演習はアラスカ地域における最大規模の演習で、空軍・海軍・海兵隊、そして州兵などから航空機約250機、人員1万人以上が参加しています。
統合演習「ノーザン・エッジ」は、インド太平洋地域における安全保障上の危機に対して、アメリカインド太平洋軍の指揮下にある各部隊が相互連携をスムーズに行うために実施されるもの。航空機はアラスカ州のイールソン空軍基地、エルメンドルフ・リチャードソン統合基地を拠点に活動したほか、2009年以来となる空母部隊の参加も実現。、空母セオドア・ルーズベルト(CVN-71)と第23駆逐隊(DESRON 23)、第11空母航空団(CVW-11)からなる第9空母打撃群(CSG-9)が演習に参加しました。
航空部隊の演習は、地上および海上の部隊を守るため、航空優勢(旧来の制空権)を確立するための戦技を主に訓練しました。具体的には、早期警戒管制機による空域の警戒監視と統制、戦闘機が迅速に進出するための空中給油、そして戦闘機の空中戦闘に関する能力に磨きをかけます。
空軍から参加した戦闘機は、地元アラスカのエルメンドルフ・リチャードソン統合基地に所在する第525戦闘飛行隊のF-22、沖縄県嘉手納基地の第18戦闘航空団、ネバダ州ネリス空軍基地の第57航空団に所属するF-15、フロリダ州エグリン空軍基地の第46試験航空団に所属するF-15EとF-16など。
空中戦闘の相手方となったのは、アラスカ州イールソン空軍基地に所在するアメリカ空軍第18仮想敵飛行隊。このほか、戦闘機の訓練を請け負う民間企業ATAC(エアボーン・タクティカル・アドバンテージ・カンパニー)のホーカー・ハンターMk.58(旧スイス空軍所属機)も相手方となって訓練を行なっています。
海兵隊からは、山口県岩国基地のVFMA-121に所属するF-35Bが参加しました。また海軍からは久々の参加空母として、空母セオドア・ルーズベルトが母港のサンディエゴから、はるばるアラスカ沖まで進出して訓練を行なっています。
2009年以来10年ぶりに空母が参加したことについて、第9空母打撃群(CSG-9)司令官のダニエル・ドゥイヤー少将は「10年ぶりに空母がノーザン・エッジに参加することになり、アラスカ湾にやってきていることに興奮を禁じえません。アラスカは戦略的に重要な場所であり、各軍が統合して任務に取り組み、演習を実施することは、自由で開かれたインド太平洋地域を維持する、ということにアメリカが関与するということを示す一端となります」とコメントしています。
また各軍が統合して演習を行う意義について、ドゥイヤー少将は「たとえば高校のアメフトチームで考えると、ライバル校と練習試合をすると、さらにレベルアップするでしょう。ノーザン・エッジはそれに似ています。空軍や海兵隊と共に訓練を行うことで、さらに技量が向上していくわけです」と、スポーツに例えて説明しています。
空母セオドア・ルーズベルトがアラスカ海域で訓練するのは、これが初めての機会となりました。艦長のカルロス・サルディエロ大佐は「新しい環境で各軍と統合訓練を行い、能力を磨くことができたのは非常に大きいことです。これによって我々空母ルーズベルトは、いつどこへ派遣されようとも、統合戦力の一員として任務遂行ができます」というコメントを残しています。
10年ぶりに空母を交えた演習となった「ノーザン・エッジ2019」。様々な懸念材料が存在するインド太平洋地域において、アメリカ軍がどのように関与していくのか、その一端を感じられる演習となったようです。
<出典・引用>
アメリカ海軍プレスリリース
アメリカインド太平洋軍プレスリリース
Image:USAF/U.S.Navy
(咲村珠樹)
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