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次世代型精密誘導爆弾「ストームブレイカー」性能確認の実地試験完了

おたくま経済新聞 / 2019年6月21日 7時0分

次世代型精密誘導爆弾「ストームブレイカー」性能確認の実地試験完了

GBU-53/Bストームブレイカーを投下するF-15E(Image:USAF/Raytheon)

 誘導爆弾の中でも、周囲への被害を抑えつつ狙った目標だけを精密に破壊する小直径爆弾(SDB)の必要性は、特に都市部に潜伏するテロ組織の拠点などを攻撃する機会が増えたアメリカ軍では、急速に高まっています。現在運用されているGBU-39シリーズの後継となる次世代型SDB、GBU-53/Bストームブレイカーの実地試験がアメリカ空軍によって行われ、無事完了したと2019年6月17日(現地時間)、パリ・エアショウが行われているフランスで、開発元であるレイセオンが発表しました。

 SDB(Small Diameter Bomb=小直径爆弾)は狙った目標だけを破壊し、周辺に被害を広げないために使用される精密誘導爆弾。炸薬にも工夫がなされ、爆発や破片の飛散する範囲をおおむね半径10m程度(弾着誤差含む)に限定するように作られています。また、その分小さくすることができ、飛行機が携行できる数が多くなるという利点もあります。特に21世紀に入って「テロとの戦い」を続けるアメリカにとっては、都市や集落の中に拠点を作って潜伏しているテロ組織や武装勢力を攻撃する際、一般市民の巻き添えを減らして新たな「アメリカの敵」を生み出さないためにも重要なものといえます。


 次世代型のSDBであるGBU-53/Bストームブレイカーは、現在アメリカ軍が運用しているGBU-39シリーズの後継としてレイセオンが開発したもの。弾体の先端には赤外線、ミリ波レーダー、そしてセミアクティブレーザー誘導の3モード複合シーカーがあり、移動する目標のほか、砂けむりや雨といった悪天候下でも昼夜問わず目標を正確に捉え、着弾させることができます。また、アメリカ軍の標準戦術データリンクシステム「リンク16」にも対応しており、ほかからの情報も得てより精密に誘導することも可能です。

 投下する高度や投下時の母機速度にもよりますが、爆弾が滑空できる距離は70km以上。これにより、投下母機は投下後速やかに迎撃されない位置に退避することができ、その分危険にさらされにくくなります。また、弾体の全長がAIM-120 AMRAAMの半分程度というコンパクトさも大きなポイント。最初にこのストームブレイカーの運用能力を獲得したF-15Eストライクイーグルの場合、7か所の兵装ステーションに各4発づつ装着できるため、合計で28発携行可能。1回の出撃で、より多くの目標に対して攻撃が実施できることになります。また、F-22やF-35の胴体内兵装ステーションにも装着可能な大きさなので、ステルス性を損ないません。


 実地試験では天候や目標など、実戦で遭遇するであろう様々なシチュエーションで、その誘導能力と破壊力が検証されました。この試験結果についてレイセオンのキム・エルンゼン担当副社長は「ストームブレイカーの全てのモデルにおいて、実際の戦場で遭遇するであろう様々なシナリオで試験が実施されました。3モードのシーカーとデータリンクにより、天候にかかわらず誘導誤差を小さくすることに成功しました」と発表しています。

 これにより、目標としていた能力の検証が完了したストームブレイカーは、初度作戦能力獲得へ向け、大きく前進したことになります。F-15Eに続き、F-16やF/A-18E/F、F-35への運用能力付与についても現在、試験が進行中です。

<出典・引用>
レイセオン プレスリリース
Image:USAF/Raytheon

(咲村珠樹)

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