子どものうちから知っておきたいSNS情報リテラシー 未来の自分のために
おたくま経済新聞 / 2019年7月13日 7時0分
みるみる3世さん(@Mirumiru1972)
小学生向けのSNS情報リテラシー講座がとある小学校で、6年生向けに行われました。保護者参加も可能であったこの授業を見てきたという人が、その内容についてツイッターで発信、ネットユーザーたちに考えさせられると話題になっています。
「小学校に6年生向けSNS情報リテラシーの授業を見てきた。実際のトラブル事例も盛り込んだ結構ガチな授業だった。『会社の人事採用の人は検索しますよ。迷惑行為のある人採用すると思いますか?』締めの『未来の自分を泣かさないで』という言葉は心に残った」というツイートを投稿したのは、小学生の親である、みるみる3世さん。そのツイートを皮切りに、数ツイートにわたって授業の風景をツイートしていますが、特に心に引っ掛かったのがこのツイート。
「講師の先生『ネットをするな、という授業ではありません。ネットは包丁と同じです。うまく使えばとても有益です。世界も広がります。使い方を間違えると傷つけたり傷ついたりします。命にかかわる事も起こるかもしれません。なるべくポジティブな言葉を使って、楽しくやりましょう!』」
この授業は、和歌山市立少年センターの「情報モラル教室」が市内の小~高校の生徒や保護者、子ども会などを対象に行っている活動のひとつ。とある小学校で行われたこの教室は、保護者も自由参観できるもので、保護者からも評判も良かったのだそう。
そしてこのツイートを見た人たちからは、「これ年齢問わず最低一度は必修で受けるべき内容」「小学生だろうと前提条件満たしたらまず致命傷まで殴り倒すのが今も昔もネットだからなあ、これまじ大事」「小3ぐらいかなせなあかんわな~」「こういう講座はネットネイティブではない中高年世代こそ受けておくべきではなかろうか」といった意見が続々と集まり、関心の高さが伺えます。
小学校に6年生向けSNS情報リテラシーの授業を見てきた。
実際のトラブル事例も盛り込んだ結構ガチな授業だった。
「会社の人事採用の人は検索しますよ。
迷惑行為のある人採用すると思いますか?」
締めの「未来の自分を泣かさないで」という言葉は心に残った。
— みるみる3世 (@Mirumiru1972) July 8, 2019
インターネット社会はこの20年くらいの間に、飛躍的に変化していきました。一部のパソコンユーザーが使うにとどまっていたパソコン通信が、今や誰でも気軽にアクセスできるインターネットへと進化。そして個人発信も、掲示板~ブログ~SNSと変化していき、利用者も小学校低学年から使い始めているといった例も増え、低年齢化しています。
しかし、デジタルに興味のない大人たちがデジタルネイティブな子どもたちに対して、その知識が追い付いていないがゆえに指導や対策が取れていないのが実情。今の大人でも、子ども時代に家庭用ゲーム機やホビーパソコンが普及し始めたときには、その上の親世代からあまりいい顔をされなかったのと同じようなことが繰り返されているようです。
ゲーム機を通してみんなでワイワイとゲームを楽しんで友達との友好を深めたり、反対にソフト欲しさに犯罪行為に走る人も出たり。今のSNS社会でも同じようなことが言えましょう。
SNSを通じて、同じ環境や境遇の子たちとつながることによって自分の居場所を得られるというのは、仮想空間内でも自分の存在を認めてくれる場所として時には必要になります。しかし、インターネットという空間は一度発信して問題とみなされたり話題になったりすると、その記録は複数の場所に保存され、いつまでも残り続けます。
デジタルタトゥーという言葉がありますが、いわゆる問題行為や問題発言で「炎上」状態となったときは、たとえ匿名でも、発言者の住所や氏名など、個人情報を特定されてしまいます。そして、その問題行為と個人情報が結び付けられた形で、まるで消えないタトゥーのごとく、ネット上にずっと残り続けます。ネット上において、「匿名」という言葉は完全な匿名ではなく、容易に個人を特定できる、「ただの仮の名前」に過ぎないのです。
先のツイートの話の中で、「会社の人事採用の人は検索しますよ。迷惑行為のある人採用すると思いますか?」「未来の自分を泣かさないで」という言葉は、ここにかかってくるのです。面白半分でふざけたつもりの動画が、社会的な批判を浴びて個人を特定され、警察沙汰にもなり、会社としての信用をも落とす……。
小学生にはまだピンと来ない言葉かもしれません。しかし、中学生や高校生にもなると、将来の事について具体的に考え始める時期になってくる子も多いです。そんなころに、ついでき心で犯罪まがいのふざけを全世界に公開してしまうということは、その将来を潰すことにもつながりかねないのです。
また、SNS上で自宅付近の写真や動画を投稿した結果、投稿者個人の特定につながり、いじめや嫌がらせの対象となったり、子どもを狙った犯罪のターゲットにもつながっていきます。子どものSNS使用で一番危険なのは、個人の特定から犯罪に巻き込まれる可能性が高くなることです。
時々、中高年と思われるアカウントが問題発言を起こしてツイッターで物議をかもすこともあります。なかには、攻撃的な言葉ばかりをまき散らす人もいます。正当な批判・批評であれば、そこから建設的な議論につながることもあるでしょう。しかし、特定の人を誹謗中傷したり、自分の意見だけを押し付けるような発言は、ことを荒立て、権威ある人でもその権威や信用は失墜することもあるのです。
一度崩してしまった信用は簡単には戻りません。顔の見えない仮想空間内だからこそ、お互いを思いやり、不用意な言葉を慎み、問題行為とみなされそうな悪ふざけを投稿しないように、充分注意して取り扱う必要があります。
自分が問題の当事者にならないように、また、簡単に稼げるなどの誘惑にのって問題に巻き込まれることの無いように、全世代のネットユーザーが情報リテラシーに対して意識を高める必要があるでしょう。
<記事化協力>
みるみる3世さん(@Mirumiru1972)
(梓川みいな)
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