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意外な場所に出る「蒙古斑」を見た人が声高に偏見の言葉 虐待の痣ではない!

おたくま経済新聞 / 2019年9月2日 12時17分

意外な場所に出る「蒙古斑」を見た人が声高に偏見の言葉 虐待の痣ではない!

悠里さん(@daren_1280)提供

 大体は赤ちゃんのお尻に出ていることが多い青あざみたいな「蒙古斑」。たまに、こんなところにまで?と思うところに出てくることがあります。足に出ている蒙古斑を見た年配女性らが浴びせた、心無い言葉に憤るネット民たちが続出しています。

 「電車で見知らぬおばちゃん達に『あんな小さい子に虐待して…』『だから若い子は…』って聞こえるように言われた。子育ての経験あるなら蒙古斑と痣の違いくらいわかるでしょうに。お尻以外にも蒙古斑って出るのよ。それに若いのは関係なくないですか?酷い事言われ慣れてたけど流石にイラっとした…」と、心無い言葉を浴びせられたのはネットユーザーの悠里さん。わが子の蒙古斑の写真とともにツイッターに投稿しています。

 写真には、左足の足首の上あたりに出ている蒙古斑。パッと見ると青あざなのですが、虐待による青あざは内出血が伴うのでこのような均一な色味にはなりません。体のどこかをぶつけて青あざを作った人なら、ぶつけた時に出来る青あざと蒙古斑の違いを見比べて納得できるかと思います。

 しかし、年配女性たちにはその違いが分からなかったようです。そもそも本当に虐待していたら、公共交通機関を使ってお出かけなどしないで、自宅に引きこもって産後うつ状態に陥っている可能性の方が高いくらいです。

 周囲に聞こえよがしに声高に言うその性格自体、筆者自身も憤りを感じるのですが、このツイートを見た人たちも同じ気持ちの人が多い様子。「私だったら我慢できずに掴みかかってるかも」「こんなにかわいい足を見てそんな感想しか出ないなんてオバチャンの目は節穴なのかしら?」「デリカシーの無いオバハンは嫉妬と嘘でできてます」と憤るリプライとともに、「うちの子にも異所性蒙古斑があるけど、マンションの誰かが児相連絡したらしく児相の人達大人4人で押しかけてきた事がある」「うちの子も同じとこにありますよ、やっぱり分からないおばちゃん達には言われますよね…」など、やはりお尻以外の蒙古斑を虐待と誤解されている人も多い様子。

 悠里さんの息子さんは現在生後4か月。息子さんの蒙古斑は足以外に首の後ろからお尻まで背中全体に、濃いのから薄いのまでまばらにある状態だそう。ご主人も親族も、お尻以外に発生している蒙古斑について驚いていたそうです。

電車で見知らぬおばちゃん達に『あんな小さい子に虐待して…』『だから若い子は…』って聞こえるように言われた。
子育ての経験あるなら蒙古斑と痣の違いくらいわかるでしょうに。お尻以外にも蒙古斑って出るのよ。それに若いのは関係なくないですか?酷い事言われ慣れてたけど流石にイラっとした… pic.twitter.com/KDdh73IIyO

— 悠里 (@daren_1280) August 23, 2019

■ そもそも蒙古斑とは?

 公益社団法人日本皮膚科学会のサイトによると、「真皮にはメラノサイトが存在しないのが普通ですが、日本人など黄色人種では、大部分の赤ちゃんで、お尻から背中にかけて、真皮にメラノサイトがみられます。そのため、日本人の赤ちゃんのお尻から背中にかけて、青アザがあり、これを蒙古斑といいます。蒙古斑は生後2歳頃までには青色調が強くなりますが、その後徐々に薄くなり、10歳前後までには大部分が消失します」とあります。

 このメラノサイトという色素の元はお尻や背中以外にもあることがあり、腕や足、お腹や肩などにできる蒙古斑は、「異所性蒙古斑」と呼ばれています。蒙古斑自体は、黄色人種であれば決して珍しいものではないのですが、他の人種では遺伝子が持ち合わせている色素が異なるため、この蒙古斑は出ることがないということです。

 たまに、この蒙古斑が成人してからも残る事があり、その割合は3%程度と言われています。持続性蒙古斑と言われるものですが、特に大きな悪性変化はないものの、顔面などに出来る異所性蒙古斑(太田母斑)は自然に消えない上に見た目のこともあり、誤解を受けやすい人も多くいます。

 異所性蒙古斑は10歳くらいで色が薄くはなってくることが多いのですが、顔面など見えやすい場所などに出来ている場合など、必要に応じて保険が適応となるレーザーで治療できます。治療できる設備のある皮膚科で相談すると、詳しく教えてもらうことができます。

■ 先天性のあざは思った以上に持っている人がいる

 異所性蒙古斑以外にも、生まれつき存在する平らな単純性血管腫や生後まもなく生じ、1歳頃までに急激に大きくなり、その後徐々に小さくなるイチゴ状血管腫、表面に硬い毛(硬毛)が生えている有毛性色素性母斑も出生時から存在しています。

 この先天性のあざは、母体に問題があったとか、環境などが問題とかというものではなく、たまたま胎児が成長していく過程の中でできていくものなので、あざを持って生まれたからと言って母親が責められる筋合いは全くありません。大概のあざは治療で何とかなることが多いので、成長の様子をみながら治療の予定を皮膚科医と相談するのが一番です。

<引用・参考>
公益社団法人日本皮膚科学会 アザとホクロ – 皮膚科Q&A

<記事化協力>
悠里さん(@daren_1280)

(梓川みいな/正看護師)

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