ロシアのロボット宇宙飛行士Skybot F-850 国際宇宙ステーションでの活動開始
おたくま経済新聞 / 2019年9月3日 20時0分
エアロックでスクヴォルツォフ宇宙飛行士とサムアップサインをするSkybot F-850(Image:Roscosmos)
無人のソユーズMS-14宇宙船に乗って2019年8月22日(現地時間)に打ち上げられた、ロシアのロボット宇宙飛行士「Skybot F-850」。宇宙ステーション側の機器トラブルでドッキングが遅れましたが、8月27日に国際宇宙ステーションに到着。活動を開始しています。
計画当初は「ヒョードル(FEDOR)」と呼ばれていたSkybot F-850。AIを用いて稼働する自律モードのほか、ヘッドマウントディスプレイと操作アームを装着したオペレータの動きをトレースして動く遠隔操作モードで稼働します。
Skybot F-850の目的は、ロボットに宇宙飛行士の任務をサポートしてもらうこと。特に、危険が伴う船外活動(EVA)を代わって行うことが期待されています。
宇宙飛行士の船外活動の場合、まず船外活動用の宇宙服を着込んで宇宙服(人の形をした宇宙船)の動作確認をし、エアロックの動作状況の確認など、準備段階でかなりの時間がかかります。さらに船外に出た後も、ほぼ真空状態の宇宙空間で内外の気圧差により、パンパンに膨れ上がった宇宙服に動きを妨げられながら、任務をこなしていくことが要求されます。
船外での作業は数時間に及び、集中力と忍耐力が要求されます。船外活動を終えてエアロックまで帰ってきても、今度はエアロックの気圧調整(気圧差があるとエアロックと宇宙ステーションのモジュール間で風が発生し、物が散乱する恐れがある)に時間を要します。
宇宙服の生命維持システムを終了させ、脱いでいくのも一苦労。全体で見れば、ほぼまる1日、作業する宇宙飛行士とバックアップする人の時間を奪ってしまうのです。
もしこの船外活動をロボットに任せることができたら、まず船外活動用宇宙服を脱ぎ着して動作確認をする時間がなくなりますし、遠隔操作の作業であれば、それほど体力も消耗しません。結果として船外活動の時間は短くなり、その分だけ宇宙飛行士に時間的な余裕ができます。
今回はまず、ロボットが打ち上げのGや振動に耐えられ、無重量状態の国際宇宙ステーションで問題なく作動するかどうかを確かめます。現在、国際宇宙ステーションに滞在している、ロシアのアレクセイ・オヴチニン宇宙飛行士とアレクサンドル・スクヴォルツォフ宇宙飛行士によって、機能の確認試験が続けられています。
Skybot F-850は9月7日に国際宇宙ステーションを離れ、ソユーズMS-14に乗って地球に帰還する予定。ロスコスモスでは今回の試験結果を踏まえ、改良型のロボット宇宙飛行士を再び国際宇宙ステーションに送る計画です。
<出典・引用>
ロスコスモス プレスリリース
Image:Roscosmos
(咲村珠樹)
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