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して欲しいことは言葉で伝えて ある駅員の体験談に大きな反響

おたくま経済新聞 / 2019年9月29日 18時0分

して欲しいことは言葉で伝えて ある駅員の体験談に大きな反響

現役駅員の本当の話さん(@n3cflFNAtq5B9o3)

 駅で自動改札を通れない時、有人改札で駅を出入りすることになります。しかし、最近は改札口でのマナーの悪さを感じる駅員さんも多いのだとか。そんなとある駅員さんのつぶやきが、ネット上で大きな反響を呼びました。

 「改札口にイヤホンしたまま来て、無言でICカードを出すのは止めて欲しいです。駅員も、どうやって処理していいか分かりません。口があるので、自動改札で出られなかったとか、間違って入場したとか喋ってください。そして、接客業全般に言えますが…人と対面するときはイヤホンを外して欲しいです」と、その気持ちをツイッターで吐露しているのは、とある鉄道会社の駅員さん。

 ICカードが上手く読み込めない時や、残高不足、定期券範囲外の駅での乗降など、ピンポーンの音とともにシャットアウトされる無人改札機。これを食らうと、「ゲッ」と思うことがありますが、こうなる原因を作ったのは、乗客その人なんですよね。

 しかし、これに気分を悪くする人も多いのか、有人改札で無言でICカードを差しだしてきたり、音漏れのするようなイヤホンで、人と会話をするような態度もない様子で来られると、駅員さんだって困ります。

 このツイートには約5.4万件のリツイートと、約12.3万件のいいねが付き、リプライにも接客業の人たちから同様な経験をした人、さらには、「イヤホンつけた客に『音楽聴いてるからもっと大きい声で言ってくれるか?』とさえ言われたことがあります」とまで言われた経験もあるという人も。

 また、最近の一般客のマナーの悪さを、他の一般客から見ても感じるといった意見も多くみられました。「イヤホン外さない人がいるから、イヤホンしてる人=周り見てない自己中って思ってる。ぶつかっても睨んでくるし、怖いから嫌い」といった声も。

 その一方で、聴覚過敏などでノイズキャンセリングイヤホンやイヤーマフなどの聴覚保護具を使っているけど、同じ様に思われていたら……と心配する声も。

改札口にイヤホンしたまま来て、無言でICカードを出すのは止めて欲しいです。駅員も、どうやって処理していいか分かりません。

口があるので、自動改札で出られなかったとか、間違って入場したとか喋ってください。

そして、接客業全般に言えますが…人と対面するときはイヤホンを外して欲しいです。

— 現役駅員の本当の話 (@n3cflFNAtq5B9o3) September 21, 2019

■ イヤホンで音楽を聴くことって、自分が何かを頼みたい時にも必要?

 ツイートした駅員さんによると、一般的に「老若男女、イヤホンをつけたまま無言で改札口に来る場面はありますが、比較的多いと思うのが20代~40代サラリーマン風、次に20代~30代OL風のお客さまです」とのこと。好きな音楽を聴いていたいけど、途中で止めたり途切れさせたりしたくない、という「ある種のわがまま」がイヤホンを外さず、自分の声を発することすらもできなくしてしまうのではないか、と筆者は考えます。

 そんなに音楽の方が大事?自分が困っている状況になった時に助けてもらう場合に、音楽って優先しないといけないものなの?優先事項としては低いですよね。

 優先させるべきは、自分が何を助けて欲しいかを助けてくれる側に明確に伝えること。だから、無言でICカードを出されても、何をどうして欲しいのかが伝わってこないのでどうにもしようがありません。「会話しなくても駅員に分かってもらいたい」、「察しろ」というのは、助けを求める側なのに傲慢な態度です。

 しかしこういった人はやはり来るので、「駅員もこのケースでは、苦情を頂かないように、極力会話を避けます。言葉を口にするだけで怒る人もいるので、駅員も最低限の単語で淡々と処理します」とのこと。面倒事を避けるためにも、ICカードを最低限の言葉数で預かって処理するなど、察して精算することも多いそうです。

■ 「お客様は神様」ではない。傲慢な客は来なくてもいい。

 駅員さんのこのツイートがここまで反響を呼んだのは、接客業をしている人たちに共通した感情があります。「クレームが来るのが嫌なのでうかつにイヤホンをはずせといえない」。コンビニでも、外食産業でも、どこにでもこういった傲慢さをもった客は現れます。その傲慢さの根底には「お金を出してやっている自分がえらい」という、ひずんだ認識があるように思えます。

 本来、何らかのサービスを受けたり技術提供を受けたり、また商品や食事を提供してもらうにはその対価としてのお金が必要です。「客」という立場は、お金を出している代わりにそういった提供を受ける側。偉い人でも何者でもない、お金に見合った物事を受け取るだけの、対等な立場のはずです。

 しかし、自分のすさんだ気持ちを憂さ晴らしする相手としてサービスや技術を提供する側、接客する側を選ぶこと自体、おかしな話。対等ではなく、ただの傲慢であり自分の気持ちをコントロールできない幼稚さをひけらかしているいるとすら言えるでしょう。こういった人を「悪質クレーマー」と世間では呼びますが、悪質クレーマーには、その自分の幼稚さを制御できないことに自分自身が気が付かないままそういった言動をあたり構わず、自分がぶつけやすいとターゲットにした人にぶつけていきます。

 果たして、こんな「客」が「お客様は神様です」なんて言えるのでしょうか?そして、面倒事を避けたい、事なかれ主義で行きたい企業は、そういった悪質クレーマーに対してこれまで毅然とした態度を取ってこなかったところが大半なのではないでしょうか?

■ 脱「クレーマー社会」に向けて

 クレーム自体は、サービスの提供や商品の販売などで行き届いていなかった部分を気付かせてくれるきっかけでもあります。しかし、感情的にまくしたてるクレーマーは結局何が言いたいのか趣旨がはっきりしないことがほとんど。「御社の○○の部分について、~~でしたよ」という、冷静な話であれば企業としても受け取りやすくなります。しかし、悪質クレーマーは、今どきでいうところの「カスタマーハラスメント(カスハラ)」とほぼ同一な部分があるのではないでしょうか?

 カスハラでは、企業の難癖をサービス電話窓口で何時間も延々としゃべり続けますが、先述のイヤホンで無言の客も、対照的ではあるものの、その根本には「自分が一番かわいい主義」がどちらにもあるように思います。

 これまでの日本の企業体質は、頭を下げることが業績につながるという風潮にあります。しかし、誰に対して何をもって頭を下げるか、下げる相手は誰か。誰にでも対して頭を下げ続けた結果、こうした悪質クレーマーがはびこりだしたのではないでしょうか?

 海外の企業では、こうした悪質な客に対して毅然とした態度をとるところも多くあります。コミュニケーションを大事にし、対話ができる顧客は大事に、そうでない客はうちの製品やサービスは買わなくても良い。きっぱりとした企業としての態度がその下で働く人たちを守ります。

■ コミュニケーションを取ろうという気持ちが何より大事

 件のツイートの中で、聴覚保護具を使っている人が、こういったイヤホンを使っている人と同じにされないか、心配の声をあげています。心配はいりません。何らかのハンディキャップを抱えている人は、自分が人の助けを必要としている事、そのためにきちんとコミュニケーションをとるべきこと、そしてそのコミュニケーションの取り方を分かっています。

 聴覚だけでなく、極度の人見知りでも、言葉がうまく出ない人でも、コミュニケーションを取ろうとする姿勢が相手に伝われば、大概の人はそこに真摯に反応してくれるはずです。

 どうか、自分を大きく見せようとする態度や赤の他人に対する変なプライドは捨てて、自分の「こうしてもらいたい」を、きちんとした言葉として発してみてください。

<記事化協力>
現役駅員の本当の話さん(@n3cflFNAtq5B9o3)

(梓川みいな)

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