地上発射型小直径爆弾 サーブとボーイングが試射に成功
おたくま経済新聞 / 2019年10月20日 7時0分
地上発射型小口径爆弾(GLSDB)(Image:SAAB)
スウェーデンのサーブは2019年10月14日(現地時間)、アメリカのボーイングと共同で地上発射型小直径爆弾の試験を行い、成功させたと発表しました。小直径爆弾が航空機からだけでなく、地上からロケット弾のような形で投射することが可能になったといえます。
発射試験はノルウェーのロフォーテン諸島にある、アンドーヤロケット発射場で行われました。地上発射型小直径爆弾(GLSDB)は、船舶用貨物コンテナとしては標準的な20フィートコンテナ(長さ約6m、幅約2.4m、高さ約2.6m)に納められたランチャーから発射されました。
発射までの操作は全て自動で、コンテナの天井が開いてランチャーを発射位置に設定し、発射。放たれた爆弾は130km離れた場所にある、あらかじめ決められた目標に着弾したといいます。
このGLSDBのプログラムを担当する、サーブのギョルゲン・ヨハンソン氏は「ボーイングとのコラボレーションにより、私たちは長距離における非常に能力の高い高精度なものを作り上げることができました。私たちはGLSDBに大きなポテンシャルを感じています。思い通りの場所で長距離砲撃が可能になるわけですから」と、今回の発射試験成功の意義を語っています。
GLSDBは最大有効射程150kmと長射程で高精度なだけでなく、飛翔中に進路を変更することも可能。これにより、従来の砲撃では不可能な場所を狙って攻撃することが可能になるといいます。
また、発射に用いられるランチャーは、陸上自衛隊も装備しているM270多連装ロケットシステム(MLRS)やHIMARSに使われるM26発射ポッドと互換性があり、運用面での柔軟性が高いのも特徴といえます。もちろん、陸上だけでなく艦船にランチャーを据え付けることも可能です。
ボーイング・ウエポンズのシンディ・グリュエンスフェルダー副社長は「ボーイングとサーブのノウハウを結集することで、開発速度も速くなりました。その結果、先進的で経済的なロケット砲システムを作り上げることができ、現在、そして将来兵士が直面する戦闘で望み通りの能力を発揮してくれるでしょう」と、GLSDBにおける両社の協業についてコメントしています。
今回の発射試験で示したとおり、一般的な20フィートコンテナにランチャーを格納できるため、テロリストの手に渡ると非常に危険な兵器になる可能性があります。しかし各国の軍にとっては、既存の装備を使いつつ最新の性能を得ることができる、便利な弾薬となることでしょう。
<出典・引用>
サーブ プレスリリース
Image:SAAB
(咲村珠樹)
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